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子供たちを守る責任を果たしたい -東京都教育委員会からのお願い-

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最終更新日:平成24年(2012)10月4日

最近、全国的にいじめによる取り返しのつかない事件が多発しており、文部科学省をはじめ多くの教育関係者、地方自治体等が対策を講じています。いじめ問題はこれまでも繰り返し大きな課題となっており、その都度対応が強化されてきたところでありますが、東京都教育委員会でも改めていじめの実態調査を行うとともに、区市町村教育委員会とも連携を強めて対応しているところです。

いじめに関し、教育に関わる者の責任は重大です。いじめが学校で行われることが多いからです。当然ながら、学校には子供たちが安心して学べる環境を用意する責任があります。それでもいじめが生じた場合には、それを早期に発見し、適切に対応する必要があります。また、教育行政に関わる者にはそれをサポートする責任があります。教育に関わる全ての者は、協力し合い、その総合力を高める努力が一層必要です。

一方、子供たちは学校だけではなく、家庭でも社会でも育てられています。つまり、保護者はもちろん、子供たちを取り巻く多くの大人の力がなければ、いじめ問題に十分な対応ができないことは明らかなのです。

その際に私たちが留意しなければならないのは、これまでの経緯から見て、いじめを一朝一夕になくすことは難しいという現実です。それを認識することによって、より大きな努力や早期発見、適切な対応への思いも強くなってくるものと考えます。しかし、いじめの原因は一様ではなく、大人にとって思いもかけないこともあり、被害者の受ける傷の大きさも大人には想像できないほど大きい場合があります。

このように考えますと、いじめ問題は解決が容易ではありませんが、私たちには、それでも子供たちを守るために、これまで以上の取組を進める責任があります。私たち東京都教育委員会はこのように考え、これまで区市町村教育委員会や学校との連携を強化し、対応してきましたが、今回、新たに、私たちの思いを子供たちに直接伝えることにいたしました。子供たちにもう一度考えてもらいたいという趣旨で、子供向けメッセージ「いじめとどう向き合いますか」を作成し、学校を通じて、都内公立学校の全ての児童・生徒に渡すこととしております。

こうしたいじめ対策を進めることが、子供たちを警戒させたり、萎縮させたり、大人の責任逃れのような印象をもたれるようなことがあってはなりません。私たちは、子供たちはいじめ問題に向き合う力をもっていると思います。それを信じ、大人が防いでやるというだけではなく、子供たちにも乗り越えて生きる力を付けてもらいたいのです。そのための取組を進める必要があります。

このような考えから、保護者の皆さんや学校の先生、更に地域社会の皆さんに私たちは別紙のようなお願いをいたします。

平成24年10月4日
東京都教育委員会

 

 【別紙(大人向け)】

いじめを決して許さず、社会全体で子供たちを守るために

<保護者の皆さんへ>

子供向けメッセージ「いじめとどう向き合いますか」を素材にして、子供と日頃からよく話し、互いに心を通じ合うようにしてください。そのために、子供がいつでも相談できるような温かい雰囲気を家庭の中に築いてください。

話をする子供の様子をよく見たり、子供の思いや考えを感じ取ったりすることなどで、子供の心の変化に気付いてください。そして、保護者にとって、子供がかけがえのない存在であるということを示し、「困ったこと、苦しいことがあったら、小さいことでも話してほしい。」「わたしが必ずあなたを守る。」といった言葉にして、繰り返し伝えてください。保護者に愛されているという実感は、子供に苦難を乗り越える力や守られているという安心感を与えます。

もしも、子供の話から、自分の子供に限らずいじめの気配を感じた場合は、まだ確証がつかめない段階であっても、学校にためらわずに御相談ください。

また、東京都いじめ相談ホットラインも御活用ください。

<全ての先生へ>

子供向けメッセージ「いじめとどう向き合いますか」を子供たちと一緒に読んでください。そして、先生自身の考えを子供たちに話してください。子供たちにも意見を求め、議論してみてください。子供たちは、自分なりの考えをもって意見を表明する力をもっているものです。そういう議論を通じて、いじめ問題を深く理解できるように努めてほしいと切に願っています。

「いつでも話を聞いてほしい。」「小さなことにも気付いてほしい。」

子供たちが抱く先生への望みです。子供が話しに来たら、また、話したそうにしていたら、忙しくても子供と向き合い、話を聞いてください。子供たちの思いや考えをしっかりとつかみ、その思いに応えてください。もしもいじめられている子供がいたら、全力で守り必ず助けるということを、言葉で伝え行動で示してください。先生のその姿勢を、広く他の子供たちにも分かるようにしてください。真っ先に子供たちが頼るのは、先生なのです。

日常から、子供たちが互いに認め合い、切磋琢磨(せっさたくま)して成長するために、互いの思いや考えを率直に出し合い、分かり合う経験をさせてください。授業や部活動において、子供たちが心を開いて自らの考えを伝えたり、話し合ったりする場面はあるでしょうか。子供たち一人ひとりが自分の力を発揮できる場面はありますか。

いじめは、いつでもどこでも起こりうるものです。それを今こそ認識する必要があります。いじめの兆候を感じたら、先生が一人で抱え込まず、学校の全ての先生の協力を求め、解決するようにしてください。また、学校が保護者や地域の方々と連携を図り、いじめのない安全で安心な学校づくりを推進してください。

<全ての地域の方々へ>

通学途上や塾の行き帰りなど、学校や家庭以外での生活の中で、子供たちがいじめられているケースも少なからずあります。学校や家庭では発見しにくいいじめの実態を把握できれば、対策を早期に講じることができます。

例えば、子供たちの安全を見守る大人がいじめを発見することがあると思います。もちろん、その場で良識ある大人としての注意が望まれますが、場合によっては学校などへ御連絡いただければと思います。また、重大ないじめ事件については警察と協力して対応することとしておりますが、多くの行政機関やボランティア団体の方々にも子供たちの見守りをお願いいたします。

印刷用ファイル(PDF形式)

 大人向けメッセージはこちらに掲載しています

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