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とうきょうの教育 第93号 小学校版 学力向上

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公開日:平成23年(2011)1月31日
最終更新日:平成23年(2011)1月31日

東京の子供たち、文章を書く問題が少し苦手です。

平成22年4月20日に実施した「全国学力・学習状況調査」の結果から、東京の子供たちの学力に関する課題が明らかになりました。

「平成22年度全国学力・学習状況調査」(平成22年4月20日実施)
国語B(活用)問題

中島さんは、どの目覚まし時計を選べばよいでしょうか?

A・B・Cの中から一つ選んで、その目覚まし時計を選ぶ理由を、【資料】の情報と【決めたこと】の内容のどちらにもふれながら、書き出しの文(「選ぶ目覚まし時計は・・です。理由は・・・」)に続けて、60字以上、80字以内にまとめて書きましょう。

【決めたこと】

  • 5,000円より安いもの。
  • 音楽で目覚めることができるもの。

【資料】

A:3,150円
・設定した時刻になると「おはよう」という声を出す。
・針が、暗いところでも光る。
B:5,250円
・5種類の音楽の中から目覚まし音を選べる。
・午前・午後という表示がある。
C:4,200円
・好きな音楽を目覚まし音にすることができる。
・ボタンをおすと、表示が切りかわる。
  • 「選ぶ目覚まし時計は、Cです。4,200円で5,000円より安く、好きな音楽を目覚まし音にして目覚めることができるから、【決めたこと】とあっています。」
    このような正しい解答ができた児童は、全体の66.1%でした。
  • 「選ぶ目覚まし時計は、Cです。5,000円より安い時計だからです。」
    「決めたこと」のうち、「音楽で目覚めることができる」ことにふれずに解答した児童が、全体の13.3%いました。

(「平成22年度全国学力・学習状況調査報告書」(東京都教育委員会作成)から)

 

複数の資料を比べて、資料の内容と決めた条件とを関連付けながら、理由を明確にして説明する問題です。

この問題は、東京の小学校6年生の児童の、およそ3人に1人の児童が正しく回答できませんでした。

問題に示されている条件を踏まえて、複数の情報を比較・検討し、説明することができなかったためと考えられます。

 

東京の子供たちの学力向上のために、東京都教育委員会では、子供たちの読み解く力を伸ばす授業を行っていきます。

  • 文章や図表、グラフ等を手がかりに、問題を解くのに必要な情報を正確に取り出す力を伸ばします。
  • 取り出したいくつかの情報を比べたり、関連付けたりして、問題の内容を読み取る力を伸ばします。
  • 読み取った内容と、自分の知識や経験とを照らし合わせて、意図や背景、理由を考えて解決する力を伸ばします。

 

子供たちの「読み解く力」、東京都教育委員会ではこのような授業で伸ばしていきます。

【決めたこと】

  • 5,000円より安いもの。
  • 音楽で目覚めることができるもの。

【答えの書き方】

  • 「資料の情報」と「決めたこと」の両方にふれること。
  • 60字以上、80字以内で書くこと。
  • 書き出しは、「選ぶ目覚まし時計は・・です。理由は・・・」

【資料】

A:3,150円
・設定した時刻になると「おはよう」という声を出す。
・針が、暗いところでも光る。
B:5,250円
・5種類の音楽の中から目覚まし音を選べる。
・午前・午後という表示がある。
C:4,200円
・好きな音楽を目覚まし音にすることができる。
・ボタンをおすと、表示が切りかわる。

「この問題に解答するときの条件を、先生はこのように整理してみました。どのように解答したらよいのか、これからみんなで考えていきましょう。」

  時計A 時計B 時計C
目覚まし音
(特徴1)
おはよう 5種類の音楽 好きな音楽
特徴2 時計の針が光る 「午前」「午後」の表示 日付表示が出る
価格 3,150円 5,250円 4,200円

「表にしてみると、それぞれの時計を比べやすくなるんだ!問題を読むだけより、このほうが分かりやすいね。」

「「決めたこと」が二つありますね。「決めたこと」と、実際の時計の情報を比べると、どのようになりますか?表の中の「決めたこと」に合わないものに印を付けていきましょう。」

「音楽で目覚めることができる時計がほしいのだから、Aの時計は違います。」
「時計Bは音楽が流れるけれど、5,000円より高いから、これも「決めたこと」と違います。」

「これで、どの時計が、「決めたこと」と合っているかが分かりましたね。
それでは、答えを書くときには、どのようなことに気を付けるといいですか?」

「「答えの書き方」をしっかりと守って書くことです。」

「みんな、どのような答えを書きましたか?どのようなことに気を付けるといいかを思い出しながら、友だちどうしで作文を見直してみましょう。」

「「決めたこと」の両方にふれているか、確かめよう。」

「書き出しも決まっているから、そこも見ないといけないね。」

「それでは、みんなの書いた答えの中から、いくつか発表をしてもらいます。見直すポイントを考えながら、友だちの答えを一緒に考えて、授業のまとめをしていきます。」

 

「読み解く力」は、単なる「読解力」とは異なります!

  • 文章や図表、グラフ等から、解決に必要な情報を正確に取り出す力
  • 取り出した複数の情報を比較・関連付けて読み取る力
  • 読み取った内容と、自分の持っている知識・経験を照らし合わせて推論し、根拠を明確にして解決する力

学力の基礎となるこれらの能力を、「読み解く力」としています。

Q. 「読み解く力」はどうして大切なのですか?
 また、子供の「読み解く力」を伸ばすために、日ごろから家庭でもできることはありますか?
A. ある程度長さのある文章を読んで必要な情報を見付けたり、いろいろな条件が示されている中から、必要な情報を選んで活用したりする能力は、国語科の学習だけでなく、どのような教科でも、またこれから様々な情報に触れていく中でも必要となる、大切な基礎です。
学校の授業だけではなく、家庭での毎日の学習習慣を大切にすることで、「読み解く力」を伸ばしていくことができます。分からないことを家族一緒に調べたり、新聞やテレビのニュースで気になったことを話し合って、自然に伸ばしていきましょう。

 

4月からは中校生!基本的な学習習慣を身に付けよう!

東京の子供たちの生活習慣や学習環境等の調査により、子供たちの基本的な学習習慣の確立と学力の向上との間には、密接な関係があることが分かっています。毎日の生活の中で、基本的な学習習慣を身に付けましょう。

必要な情報を手に入れよう!

必要な情報を得るために本や新聞を読み、学習したことを活用しようとしている児童の方が、活用しようとしない児童よりも正答率が高いということが分かっています。

東京都では、新聞やテレビのニュースに関心を持っている児童の割合は、全国平均よりも高い71.6%となっています。色々なことに関心を持ち、様々な方法で情報に触れる習慣を作りましょう。

情報収集のために本や新聞を読むことと平均正答率の関係
  国語
平均正答率
算数
平均正答率
している
たいていしている
84.8% 75.4%
しないことが多い
しない
79.7% 69.0%

分からないことは調べよう!

疑問に思ったことを自分で調べようとしたり、調べるに当たって調べ方やまとめ方などの計画を立てている児童の方が、これらを行わない児童よりも正答率が高いということが分かっています。

また、読書習慣がある児童や、自分を根気強いほうだと思っている児童は、そうでないと思っている児童よりも高い正答率となっています。

分からないことをそのままにしないで、自分なりに考えたり調べたりすることを心がけましょう。

疑問点を自分で解決しようとする意識と平均正答率の関係
  国語
平均正答率
算数
平均正答率
している
たいていしている
84.7% 75.6%
しないことが多い
しない
79.1% 67.7%

「平成21年度児童・生徒の学力向上を図るための調査報告書」(東京都教育委員会作成)から

 

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