公開日:平成23年(2011)1月31日
最終更新日:平成23年(2011)1月31日
平成22年4月20日に実施した「全国学力・学習状況調査」の結果から、東京の子供たちの学力に関する課題が明らかになりました。
「平成22年度全国学力・学習状況調査」(平成22年4月20日実施)
国語B(活用)問題
赤太字の部分は、人間が何をどうすることを表したものですか。10字以内で書きなさい。
【資料】
〈略〉猫のように一年じゅう同じ物を着通せというのは、不完全に生まれついた彼らにとって、ちと無理かもしれんが、なにもあんなに雑多なものを皮膚の上へ載せて暮らさなくてものことだ。羊の御厄介になったり、蚕のお世話になったり、綿畑のお情けさえ受けるに至ってはぜいたくは無能の結果だと断言してもいいくらいだ。
(明治時代の小説 夏目漱石「吾輩は猫である」による。)
(「平成22年度全国学力・学習状況調査報告書」(東京都教育委員会作成)から)
本文中の比喩(例え)を用いて表現された内容について、その意味をとらえて簡潔に書く問題です。
この問題は、東京の中学校3年生の生徒の、およそ3人に2人の生徒が正しく解答できず、本文の一部を引用しただけの解答が多くありました。
「文を作り出すことに慣れていない」「比喩(例え)という技法を理解していない」「読解するための知識が不足している」といったことが原因と考えられます。
赤太字の部分は、人間が何をどうすることを表したものですか。 10字以内で書きなさい。
【資料】
〈略〉猫のように一年じゅう同じ物を着通せというのは、不完全に生まれついた彼らにとって、ちと無理かもしれんが、なにもあんなに雑多なものを皮膚の上へ載せて暮らさなくてものことだ。羊の御厄介になったり、蚕のお世話になったり、綿畑のお情けさえ受けるに至ってはぜいたくは無能の結果だと断言してもいいくらいだ。
(明治時代の小説 夏目漱石「吾輩は猫である」による。)
「この問題に解答するときの条件を、先生はこのように整理してみました。どのように解答したらよいのか、これからみんなで考えていきましょう。」
「「羊の御厄介になる」とか「蚕のお世話になる」ってあるけど、羊も蚕も人間が世話をするものなので、変な感じがします。」
「そうですね。だから、これは書いてある意味そのままだと考えると、不自然ですね。そのままではないとすると、どうでしょうか?」
「何か他のことを、この「羊の御厄介」という言い方で何かを例えているっていうことはありますか。ぜいたくをすることかな?」
「いいところに気付きましたね。こういう表現を「比喩」といいます。この「羊」「蚕」「綿畑」から何か思いつきますか?
文章の他のところも、ヒントがあるのでよく読んでください。」
「文章内に「着通す」とか「皮膚の上へ載せて暮らす」とあるから、これって着るもの・・・服のことを指しているのかな?」
「羊と蚕からできるものだから、ウールとシルクのこと?綿畑っていうのも綿のことでよさそうだね。どれも洋服の材料だ!」
「下線部が何を指しているのか、イメージができてきましたね。整理した「何を」「どうする」こと、に当てはめてみましょう。」
「「洋服を」「着る」こと!」
「そうですね。「洋服を着ること」で7文字なので解答するときの条件と合っています。ただ、この小説が書かれたのは明治時代ですので、着物も日常的でした。したがって、「衣服を着ること」とすると、もっとよいでしょう。」
学力の基礎となるこれらの能力を、「読み解く力」としています。
東京の子供たちの生活習慣や学習環境等の調査により、子供たちの基本的な学習習慣の確立と学力の向上との間には、密接な関係があることが分かっています。毎日の生活の中で、基本的な学習習慣を身に付けましょう。
必要な情報を得るために本や新聞を読み、学習したことを活用しようとしている中学生の方が、活用しようとしない中学生よりも正答率が高いということが分かっています。
東京都では、新聞やテレビのニュースに関心を持っている中学生の割合は、全国平均よりも高い67.4%となっています。色々なことに関心を持ち、様々な方法で情報に触れる習慣を作りましょう。
国語 平均正答率 |
数学 平均正答率 |
|
---|---|---|
している たいていしている |
76.4% | 67.2% |
しないことが多い しない |
70.8% | 62.1% |
疑問に思ったことを自分で調べようとしたり、調べるに当たって方法や計画を考える中学生の方が、これらを行わない中学生よりも正答率が高いということが分かっています。
また、読書習慣がある中学生や、自分を根気強いほうだと思っている中学生は、そうでないと思っている中学生よりも高い正答率となっています。
分からないことをそのままにしないで、自分なりに考えたり調べたりすることを心掛けましょう。
国語 平均正答率 |
数学 平均正答率 |
|
---|---|---|
している たいていしている |
77.2% | 69.5% |
しないことが多い しない |
69.8% | 59.7% |
「平成21年度児童・生徒の学力向上を図るための調査報告書」(東京都教育委員会作成)から
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