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とうきょうの教育 第99号 小学校版 いじめ問題に関する緊急アピール

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公開日:平成25年(2013)1月30日
最終更新日:平成25年(2013)1月30日

とうきょうの教育第99号 小学生版

平成24年1月30日発行

いじめ問題に関する緊急アピール

いじめによって子供たちの心や体が傷ついたり、前途ある尊い命が失われたりすることは決してあってはならないことです。

東京都教育委員会は、東京の子供たちを守るために、より一層学校と家庭、地域社会が連携を強めることが重要と考え、平成24年10月4日にこの緊急アピールを発表しました。

いじめとどう向き合いますか
-東京都教育委員会から子供たちへのメッセージ-

私たち東京都教育委員会は、学校などと同じように、みなさんが元気に育ってくれるように、見守り、心配りをする責任を負っています。6人の教育委員が、多くの職員と一緒にそのための仕事をしています。

いじめ問題も私たちにとって、心配なできごとです。滋賀県でのいじめが原因とみられる当時中学2年生の自殺に衝撃を受け、私たちは、都内でのいじめは大丈夫なのかと緊急に調査しました。その結果、11,507件にものぼるいじめや、いじめかもしれないものが報告されました。

これまで、このようないじめを一刻も早くなくし、取り返しのつかないことが起こらないようにと、学校をはじめ多くの人が、できるだけの努力をしてきたのです。私たちも、東京都いじめ相談ホットライン(24時間対応)を活用し、多くの子供たちや保護者のみなさんの相談にのり、問題の解決を助け、安心してもらえるようにしてきました。

ところが、9月下旬に品川区の中学1年生が自殺するという、大変悲しいことが起こってしまいました。現在、いじめがあったのではないかと関係者が調査しています。

このような中で、私たちは、みなさんに私たちの思いを伝えたい、それを基に、みなさんにもう一度考えてもらいたいと思いました。

みなさんは学校でさまざまなことを学び、社会人となるための準備をしています。学校は多くの子供たちが通うひとつの社会です。そこでの生活は、楽しく過ごすことばかりではなく、友達と意見がぶつかったり、誤解されたり、努力がなかなか実らなかったり、いろいろとおもしろくないことも起こります。

私たち大人の社会も同じようなもので、大人たち自身ももがきながら生きています。そんな経験を重ねる中で、人間にとって大切なものが何かを考え、社会で生きる知恵を身に付けていくのです。すべての大人がそうだと思います。

ですから、大人たちは、いじめというものがどれだけ他人を傷つけ、結局は自分を傷つけることになると分かっています。

そこで、私たちはみなさんに、別紙のような問いかけをしたいと思います。また、考えてほしいことも書き添えました。

私たちが、みなさんに願っていることは、人を思いやり、どのような状況も乗り越えられるたくましい力を身に付けてもらうことです。確かに、苦しい状況におかれることもありますが、そのときは、大人を信頼して、思い切って話してみませんか。ときには納得できないことを言う人もいるかもしれませんが、大半の大人はみなさんの味方です。

面と向かって話すことがどうしてもできないのであれば、次の番号に電話をかけてください。親身になって話を聞いてくれます。

東京都いじめ相談ホットライン(24時間対応)

電話 03-5800-8288

東京都いじめ相談ホットライン(24時間対応)
2月11日以降、次の電話番号になります。

電話 03-5331-8288

 

いじめについて考え、話し合い、行動しよう

あなた自身を見つめ直してください。
今、つらいことや苦しいことはありませんか。悩みはありませんか。

つらいことや苦しいことがあったなら、自分一人だけで悩むことはありません。我慢したり、思いつめたりしないでください。家族や周りの大人に相談し、助けを求めてください。相談することや助けを求めることは、人間が生きていく上で当たり前のことです。大人だってそうやって生きているのです。あなたの思いは、必ず私たち大人が受け止めます。あなたの人生は、これからが楽しく、そして輝く日々が待っているのです。今、つらいこと、悲しいことがあっても、その未来を、その命を、自分で絶つことは決してしないでください。

あなたは自分のしていることを軽く考えてはいませんか。

あなた自身は意識していなくても相手の受け止め方はさまざまです。あなたの何気ない言葉や行動で傷ついている人がいるかもしれません。もし、あなたが、ちょっとしたからかいや冗談のつもりで、仲間につらい思いをさせているなら、今、すぐにやめてください。あなたの言葉や行動によって、仲間の命が失われるかもしれないのです。もしそうなったときのたくさんの苦しみを、よく考えてみてください。

あなたは、いじめを自分には関係ないことだと思っていませんか。

何もしないことは、仲間がいじめられることを認めていることと同じです。あなたが助けてくれることを待っている仲間がいるかもしれません。もし、あなたの仲間がいじめられていたら、周りの大人にそっと相談してください。大人は、必ず味方になって、解決の方法を探します。もちろん、相談したあなたや、いじめられているあなたの仲間を守ります。あなたの勇気と行動によって、一人の仲間を助けることができます。見ているだけの人間にはならず、勇気をふりしぼって行動してください。

あなたは、いじめられる人にも問題があると思ってはいませんか。

そのように考えることは、一人ひとりの違いや相手の人格を認めないことと同じです。いじめていることや、いじめをただ見ていることの言い訳にしているのかもしれません。

 

いじめられている人の気持ちを考えてください。

いじめられている人の中には、なぜいじめられているかが分からずに苦しんでいる人がいます。また、自分ではどうすることもできないことでいじめられている人もいます。

 

いじめについて真剣に考えてください。

何をすべきか友達同士、本気で話し合ってください。

そして、いじめをなくすための一歩を踏み出してください。

 

子供たちを守る責任を果たしたい
-東京都教育委員会からのお願い-

最近、全国的にいじめによる取り返しのつかない事件が多発しており、文部科学省をはじめ多くの教育関係者、地方自治体等が対策を講じています。いじめ問題はこれまでも繰り返し大きな課題となっており、その都度対応が強化されてきたところでありますが、東京都教育委員会でも改めていじめの実態調査を行うとともに、区市町村教育委員会とも連携を強めて対応しているところです。

いじめに関し、教育に関わる者の責任は重大です。いじめが学校で行われることが多いからです。当然ながら、学校には子供たちが安心して学べる環境を用意する責任があります。それでもいじめが生じた場合には、それを早期に発見し、適切に対応する必要があります。また、教育行政に関わる者にはそれをサポートする責任があります。教育に関わる全ての者は、協力し合い、その総合力を高める努力が一層必要です。

一方、子供たちは学校だけではなく、家庭でも社会でも育てられています。つまり、保護者はもちろん、子供たちを取り巻く多くの大人の力がなければ、いじめ問題に十分な対応ができないことは明らかなのです。

その際に私たちが留意しなければならないのは、これまでの経緯から見て、いじめを一朝一夕になくすことは難しいという現実です。それを認識することによって、より大きな努力や早期発見、適切な対応への思いも強くなってくるものと考えます。しかし、いじめの原因は一様ではなく、大人にとって思いもかけないこともあり、被害者の受ける傷の大きさも大人には想像できないほど大きい場合があります。

このように考えますと、いじめ問題は解決が容易ではありませんが、私たちには、それでも子供たちを守るために、これまで以上の取組を進める責任があります。私たち東京都教育委員会はこのように考え、これまで区市町村教育委員会や学校との連携を強化し、対応してきましたが、今回、新たに、私たちの思いを子供たちに直接伝えることにいたしました。子供たちにもう一度考えてもらいたいという趣旨で、子供向けメッセージ「いじめとどう向き合いますか」を作成し、学校を通じて、都内公立学校の全ての児童・生徒に渡すこととしております。

こうしたいじめ対策を進めることが、子供たちを警戒させたり、萎縮させたり、大人の責任逃れのような印象をもたれるようなことがあってはなりません。私たちは、子供たちはいじめ問題に向き合う力をもっていると思います。それを信じ、大人が防いでやるというだけではなく、子供たちにも乗り越えて生きる力を付けてもらいたいのです。そのための取組を進める必要があります。

このような考えから、保護者の皆さんや学校の先生、更に地域社会の皆さんに私たちは別紙のようなお願いをいたします。

平成24年10月4日 東京都教育委員会

いじめを決して許さず、社会全体で子供たちを守るために

保護者の皆さんへ

子供向けメッセージ「いじめとどう向き合いますか」を素材にして、子供と日頃からよく話し、互いに心を通じ合うようにしてください。そのために、子供がいつでも相談できるような温かい雰囲気を家庭の中に築いてください。

話をする子供の様子をよく見たり、子供の思いや考えを感じ取ったりすることなどで、子供の心の変化に気付いてください。そして、保護者にとって、子供がかけがえのない存在であるということを示し、「困ったこと、苦しいことがあったら、小さいことでも話してほしい。」「わたしが必ずあなたを守る。」といった言葉にして、繰り返し伝えてください。保護者に愛されているという実感は、子供に苦難を乗り越える力や守られているという安心感を与えます。

もしも、子供の話から、自分の子供に限らずいじめの気配を感じた場合は、まだ確証がつかめない段階であっても、学校にためらわずに御相談ください。

また、東京都いじめ相談ホットラインも御活用ください。

全ての先生へ

子供向けメッセージ「いじめとどう向き合いますか」を子供たちと一緒に読んでください。そして、先生自身の考えを子供たちに話してください。子供たちにも意見を求め、議論してみてください。子供たちは、自分なりの考えをもって意見を表明する力をもっているものです。そういう議論を通じて、いじめ問題を深く理解できるように努めてほしいと切に願っています。

「いつでも話を聞いてほしい。」「小さなことにも気付いてほしい。」

子供たちが抱く先生への望みです。子供が話しに来たら、また、話したそうにしていたら、忙しくても子供と向き合い、話を聞いてください。子供たちの思いや考えをしっかりとつかみ、その思いに応えてください。もしもいじめられている子供がいたら、全力で守り必ず助けるということを、言葉で伝え行動で示してください。先生のその姿勢を、広く他の子供たちにも分かるようにしてください。真っ先に子供たちが頼るのは、先生なのです。

日常から、子供たちが互いに認め合い、切磋琢磨(せっさたくま)して成長するために、互いの思いや考えを率直に出し合い、分かり合う経験をさせてください。授業や部活動において、子供たちが心を開いて自らの考えを伝えたり、話し合ったりする場面はあるでしょうか。子供たち一人ひとりが自分の力を発揮できる場面はありますか。

いじめは、いつでもどこでも起こりうるものです。それを今こそ認識する必要があります。いじめの兆候を感じたら、先生が一人で抱え込まず、学校の全ての先生の協力を求め、解決するようにしてください。また、学校が保護者や地域の方々と連携を図り、いじめのない安全で安心な学校づくりを推進してください。

全ての地域の方々へ

通学途上や塾の行き帰りなど、学校や家庭以外での生活の中で、子供たちがいじめられているケースも少なからずあります。学校や家庭では発見しにくいいじめの実態を把握できれば、対策を早期に講じることができます。

例えば、子供たちの安全を見守る大人がいじめを発見することがあると思います。もちろん、その場で良識ある大人としての注意が望まれますが、場合によっては学校などへ御連絡いただければと思います。また、重大ないじめ事件については警察と協力して対応することとしておりますが、多くの行政機関やボランティア団体の方々にも子供たちの見守りをお願いいたします。

 

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