○職員の育児休業等に関する制度の取扱いについて

平成四年四月一日

三教総総一第四二五号

庁内各課(室)長

出張所長

教育事務所長

事業所長

地方公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第一一〇号。以下「法」という。)の施行に伴い、職員の育児休業等に関する条例(平成四年東京都条例第一〇号。以下「条例」という。)及び職員の育児休業等に関する条例施行規則(平成四年東京都規則第三五号)等が制定され、平成四年四月一日から下記により実施することとなったので通知する。

これに伴い、育児休業法の施行に伴う関係条例の整備について(昭和五一年四月一日付五〇総勤労第一九五号)及び育児休業の範囲拡大(法定外)に伴う条例、規則の改正について(平成三年二月一日付二教総総一第二〇四号)は、廃止する。

Ⅰ 従来の育児休業に関する制度及び新たな制度の概要

一 育児休業制度の経過

育児休業制度は、昭和五一年四月一日から義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律(昭和五〇年法律第六二号。以下「女子教育公務員等育児休業法」という。)に基づき、女子教員、看護婦及び保母等、特定職種の女子職員に対し、その身分を維持しながら一時的に職務に従事しない制度として実施してきたが、都においては、平成三年二月一日から「女子教育公務員等育児休業法」の適用を受けない女子職員についても、代替制度と育児休業給の支給関係等を除きほぼ同様の内容で育児休業制度を実施してきた。(昭和五一年四月一日付五〇総勤労第一九五号総務局長通知及び平成三年二月一日付二教総総一第二〇四号教育長通知参照)

二 新たな育児休業等に関する制度の概要

新たな制度の主な特徴は、次のとおりである。なお、育児休業等の「等」とは下記(六)の部分休業をいう。

(一) 一般職の男女職員を対象とする。

(二) 子が一歳に達する日まで育児休業をすることができる。

(三) 育児休業期間中は、給与を支給しない。

(四) 「女子教育公務員等育児休業法」の対象者については、当分の間育児休業給を支給する。

(五) 職員の配置換えその他の方法によって業務を処理することが困難であると認めるときは、臨時的任用を行う。

(六) 一歳に満たない子を養育するため勤務時間の一部(一日のうち二時間以内)を勤務しないことができる。(以下「部分休業」という。)

(七) 部分休業をした場合、その時間に応じて給与を減額する。

三 法及び条例等の適用関係

法は全任命権者の一般職の職員全部を対象としている。したがって条例及び規則も全任命権者に適用される。ただし、法附則第七条により、企業職員及び地方公務員法第五七条(昭和二五年法律第二六一号)に規定する単純な労務に雇用される職員については、法の規定のうち、部分休業、給与及び育児休業給に関する事項は適用除外となっているため、これらの職員の部分休業、給与及び育児休業給に関する事項については別途定めるところによる。

Ⅱ 育児休業の取扱いについて

一 育児休業をすることができる職員及びその期間

職員(二に掲げる職員を除く。条件付採用期間中の職員を含む。)は、一歳に満たない子を養育するため、当該子が一歳に達する日までの期間、育児休業をすることができる。この期間内であれば、産後休暇に引き続くかどうかは問わない。

「子」とは、職員と法律上の親子関係にある者をいい、実子はもちろん養子(特別養子も含む。)も含むが、配偶者の子で職員と養子縁組をされていないものは含まない。

「一歳に達する日」とは、満一歳の誕生日の前日をいい、再度の育児休業、育児休業期間の延長の場合もこの日までを限度とする。

二 育児休業をすることができない職員(法第二条、条例第二条)

次に掲げる職員は、育児休業をすることができない。

(一) 非常勤職員

(二) 臨時的に任用される職員

(三) 一年以内に、任期の満了する職員及び定年により退職することとなる職員

(四) 定年退職日の翌日以降引き続いて勤務している勤務延長職員

(五) 配偶者が育児休業をしている職員

(六) (五)のほか、子を職員以外の当該子の親が常態として養育できる場合の当該職員

「職員以外の当該子の親が常態として養育できる」とは、次のいずれにも該当する場合をいう。

① 育児休業により養育しようとする子と同居していること。

② 就業していないこと又は一週間の就業日数が二日以下であること。

③ 負傷、疾病又は心身の障害により子の日常生活上の世話をすることが困難な状況にないこと。

④ 産前又は産後の休業中でないこと。

三 育児休業の承認(法第二条)

育児休業の承認を受けようとする職員は、連続する一の期間について任命権者に対し承認を請求する。任命権者は、請求期間について当該職員の業務を処理するための措置を講じることが著しく困難な場合を除き、これを承認しなければならない。

四 再度の育児休業(法第二条、条例第三条)

育児休業を一回取得した場合は、同一の子について原則として再度育児休業をすることはできない。ただし、次に掲げる事情がある場合は、この限りでない。

(一) 育児休業中の職員が産前・産後の休業に入ったことにより育児休業の承認が効力を失った後、産前・産後の休業に係る子が死亡し、又は養子縁組等により職員と別居することとなったこと。

(二) 育児休業中の職員が休職又は停職の処分を受けたことにより育児休業の承認が効力を失った後、休職又は停職の期間が終了したこと。

(三) 配偶者が入院したこと、配偶者と別居したことなど育児休業の終了時に予測できなかった事実が生じたため、再度の育児休業をしなければ養育に著しい支障が生じることとなったこと。

五 育児休業期間の延長(法第三条、条例第四条)

育児休業期間は、一回に限り延長することができる。ただし、配偶者が入院したこと、配偶者と別居したことなど育児休業期間の延長の請求時に予測できなかった事実が生じたことにより、再度の延長をしなければその養育に著しい支障が生じることとなったときは、再度の延長をすることができる。

六 育児休業の承認手続

(一) 請求時期

育児休業の請求(再承認や期間延長の場合を含む。)は、育児休業を始めようとする日の一月前までに行うことを原則とする。(規則第二条)ただし、緊急な事情がある場合には、この限りでない。

(二) 請求の様式(規則第二条)

育児休業の請求(再承認や期間延長の場合を含む。)は、育児休業承認請求書(別紙一)により行うものとする。

なお、請求に当たっては、母子健康手帳等を提示させること。

(三) 事案決定

育児休業の承認は、東京都事案決定規程(昭和四七年東京都訓令甲第一〇号)第四条別表に基づく課長の決定すべき事案中の休暇等の決定権に含めることとし、一般職員にあっては所属課長が決定権者となる。

(四) 本人への通知

育児休業を承認した時は、昭和五一年四月一日付五一総人職第二〇号の例により、人事記録カードに記載すること。また、育児休業の承認又は不承認については、決定後すみやかに別紙四又は別紙五により本人あて通知すること。

七 育児休業の承認の失効(法第五条第一項)

育児休業中の職員が産前・産後の休暇に入った場合、休職、停職の処分を受けた場合又は育児休業に係る子が死亡し、若しくは職員の子でなくなった場合には、その効力を失う。

「職員の子でなくなった場合」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(一) 育児休業に係る子との特別養子縁組が取り消された場合

(二) 育児休業に係る子との養子縁組が取り消された場合

(三) 育児休業に係る子との親族関係が民法(明治二九年法律第八九号)第八一七条の二に規定する特別養子縁組により終了した場合

八 育児休業の承認の取消し(法第五条第二項、条例第五条)

育児休業中の職員が育児休業に係る子を養育しなくなった場合及び職員以外の当該子の親が常態として養育できることとなった場合は、承認を取り消す。

(一) 「子を養育しなくなった」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

① 職員と育児休業に係る子が同居しなくなった場合

② 職員が、負傷、疾病又は心身の障害により子の日常生活上の世話をすることができない状態になった場合

③ 職員が育児休業に係る子を託児するなどした場合

(二) 「職員以外の当該子の親が常態として養育できる」とは、二(六)の例による。

九 養育状況が変わった際の届出について(規則第四条)

育児休業に係る子が死亡した場合等、承認の失効及び取消しの事由が生じた場合は、養育状況変更届(別紙二)により届出を行うものとする。

一〇 代替措置(法第六条)

職員の配置換えその他の方法によって請求をした職員の業務を処理することが困難と認めるときは、臨時的任用を行うものとする。

なお、女子教育公務員等育児休業法の対象者に係る代替職員の取扱いについては、従前のとおりとする。

一一 不利益取扱いの禁止(法第八条)

育児休業を理由とした不利益取扱いは、禁止されている。

一二 育児休業期間中の休暇等の取扱い

育児休業は期間で承認するため、育児休業期間中は、年次休暇、公民権の行使、生理休暇、育児時間及び慶弔休暇の各休暇等の余地はない。また、職務専念義務の免除等との関係についても同様である。

一三 年次休暇の繰越しに当たっての育児休業の取扱い

年次休暇の繰越しの勤務実績の計算に当たって、平成四年四月一日以後の育児休業の日数は、勤務を要する日の総日数から除算すること。ただし、平成四年三月三一日以前の育児休業は、従前のとおり勤務実績から除くので、留意すること。

一四 出勤簿等の表示

出勤簿等の表示については、「育休」とすること。

Ⅲ 部分休業の取扱いについて

一 部分休業をすることができる職員及びその期間等(法第九条第一項、条例第七条)

(一) 職員(二に掲げる職員を除く。条件付採用期間中の職員及び臨時的任用職員を含む。)は、一歳に満たない子を養育するため、当該子が一歳に達する日までの期間、正規の勤務時間の始めと終わりに、一日を通じて二時間以内で部分休業をすることができる。ただし、職員又はその配偶者が育児時間(条例、規則による育児時間のほかこれに相当するものを含む。以下同じ。)を承認されているときは、二時間から育児時間を減じた時間について、又、同一の生児について職員及びその配偶者が育児時間を承認されている場合には、二時間から職員と配偶者の育児時間の合計時間を減じた時間について、部分休業をすることができる。(育児時間を減じた後の時間が三〇分未満の場合は、部分休業を取得できない。)

(二) 部分休業は三〇分を単位として行う。

(三) 同一の子について、配偶者が部分休業その他の短時間勤務の制度の適用を受けていても、時間帯が違えば職員が部分休業を取得することができる。この場合、両親の部分休業等(育児時間を含む。)の合計時間は、二時間を超えないものとする。

(例)

・ 配偶者が勤務時間の始めに九〇分の育児時間を取得している場合、職員は、勤務時間の終わりに三〇分を限度として部分休業を取得することができる(部分休業等の取得時間は両親合わせて二時間を限度とする。)

・ 配偶者が勤務時間の始めと終わりに四五分ずつ育児時間を取得している場合、職員は、部分休業を取得することができない(両親が同一の時間帯に部分休業等を取得することはできない。)

二 部分休業をすることができない職員(法第九条第一項、条例第六条)次に掲げる職員は、部分休業をすることができない。

(一) 非常勤職員

(二) 配偶者が育児休業をしている職員

(三) (二)のほか、部分休業をしようとする時間において、子を職員以外の当該子の親が養育できる場合の当該職員

「職員以外の当該子の親が養育できる」とは、Ⅱ二(六)の例のほか、職員が部分休業をしようとする時間において、職員の配偶者で当該子の親が、部分休業、育児時間等の制度の適用を受けている場合を含む。

三 部分休業の承認及びその手続

部分休業は、公務の運営に支障がないと認めるときは、承認することができる。その手続は次のとおりとする。

(一) 請求手続(規則第五条)

部分休業の請求は、部分休業承認請求書(別紙三)によりおおむね一月単位であらかじめ包括的に行う。

(二) 事案決定

育児休業の場合と同様に、一般職員の場合は所属課長が決定権者となる。

(三) 本人への通知

部分休業の承認又は不承認については、決定後すみやかに本人に通知すること。

(四) 部分休業の承認の変更又は取消し

おおむね一月間について包括的に承認した部分休業について、特定の日につき本人から承認時間の変更又は取消しの申請があり、公務に支障がないと認めるときは、部分休業承認請求書の裏面を使い、変更又は取消しを行う。

四 部分休業の承認の失効等(法第九条第三項、条例第九条、規則第六条)失効及び取消しの事由並びに養育状況変更届については、育児休業に準ずる。(Ⅱ七、八、九参照)

五 不利益取扱いの禁止(法第九条第三項)

部分休業を理由とした不利益取扱いは、禁止されている。

六 部分休業と休暇との関係

部分休業は、勤務することを前提とした制度なので、例えば一日八時間勤務のうち二時間を部分休業、六時間を年次休暇にして、一日全く勤務をしないというようなことは認められない。これは、他の休暇、職免等との関係でも同様である。

七 出勤簿等の表示

出勤簿等の表示については、「部休」とする。

Ⅳ 育児休業等に関する給与の取扱い

一 給与

育児休業の期間中は、給与を支給しない。したがって、月の中途で育児休業に入った場合又は終了した場合は、育児休業期間以外の期間について、日割り計算により給与を支給する。

また、部分休業の承認を受けて勤務しない場合には、部分休業の時間に応じて給与を減額する。給与の減額は一時間を単位とする。

二 昇給及び昇格

育児休業期間中は勤務実績がないことから昇給の対象とならず、昇格も行わない。なお、部分休業を承認されている場合には昇給及び昇格することができる。

欠勤日数の換算は、育児休業は一日を欠勤日数一日に、部分休業は八時間を一日とする。

三 復職時の給料調整

育児休業を終えて再び勤務に服した場合には、育児休業の期間の二分の一以下に相当する期間を勤務したものとみなして、復職の日又は復職の日から一年以内の昇給の時期に昇給の場合に準じてその者の給料月額を調整する。なお、具体的取扱いについては、別途定められているところにより処理すること。

四 期末・勤勉手当

基準日現在、育児休業中の者及び基準日前一月以内に退職又は死亡した者でも育児休業中に退職又は死亡した者に対しては期末・勤勉手当は支給しない。

また、期末手当については、育児休業期間の五割及び部分休業一回(一勤務中に二回に分けて取得した場合も一回とみなす。)につき八分の一日を在職期間から除算し、勤勉手当については、育児休業期間の一〇割及び部分休業一回(一勤務中に二回に分けて取得した場合も一回とみなす。)につき四分の一日を勤務期間から除算する。

五 初任給調整手当

助産婦、看護婦及び准看護婦の初任給調整手当については、支給期間内に育児休業の期間がある場合においても、当該支給期間の延長は行わない。(「初任給調整手当の改正について」平成三年一二月二五日付三総勤労第三一七号参照)

なお、医師、歯科医師についても同様である。

六 退職手当

育児休業の承認により現実に職務に従事することを要しない期間のある月が一月以上あるときは、その月数の二分の一を在職期間から除算する。

職員の育児休業等に関する制度の取扱いについて

平成4年4月1日 教総総一第425号

(平成7年7月13日施行)

体系情報
総務部総務課
沿革情報
平成4年4月1日 教総総一第425号
平成5年4月1日 教総総一第427号
平成7年7月13日 教総総人第149号