○職員の分限、懲戒に関する条例の施行について

昭和二六年一〇月一五日

総人発秘第一六四号

都民室長

局長(総務局内各課長)

部長

出納長

区長

地方事務所長

支庁長

職員の分限、懲戒に関する条例の施行について

地方公務員法(以下「法」という。)の適用を受ける職員の八月十三日以降の分限、懲戒に関する経過的措置については、八月十一日総人発秘第一一八号で通知いたして置いたのであるが、職員の分限に関する条例(東京都条例第八十五号)及び職員の懲戒に関する条例(東京都条例第八十四号)(以下「分限条例」又は「懲戒条例」若しくは両者を単に「条例」という。)が九月二十日公布即日施行され、画期的公務員制度の一環たる新しい分限、懲戒制度も完全に実施されることとなつたので、左記お含みの上遺憾のないよう取り扱われたい。

一 条例の適用範囲

分限条例及び懲戒条例は、これらの条例施行の日の昭和二十六年九月二十日から地方公務員法の適用を受ける職員に適用されることとなつたが、特別職、法附則第二十項に規定する公営企業従事職員及び法附則第二十一項に規定する単純労務に従事する職員には、適用されない。又法第五十七条に規定する公立学校の教職員は教育公務員特例法に特別の規定ある場合を除くほか、この条例が適用されるものであること。

従前、官吏分限令及び官吏懲戒令が吏員のみに準用されていたのと異り、この条例は、地方公務員法の適用ある以上吏員、雇傭員の別なく同様に適用されるものであること。

東京都臨時雇傭員規程による臨時雇傭員は、法第二十二条の条件付採用期間中の職員ではないので、この条例が適用されるが、法第二十二条の規定施行後におけるその職員の分限については、法第二十八条第四項の規定に注意すること。

従前の規定により休職を命ぜられた者、又は懲戒処分を受けた者の休職又は懲戒については、法附則第十項により、なお従前の例によることとなるので、この条例の適用を受けないこと。

二 条例に規定した事項

休職の事由を法定事由以外に条例で定め得るものとなつている外は、分限、懲戒の事由は、すべて法定事項であるので(法第二十七条第二項、第三項)、条例においては、主として法第二十八条第三項、第二十九条第二項によりこれらの処分の手続及び効果を規定したものであること。

三 分限、懲戒に関する規定の内容

(一) 共通事項

分限条例第三条第四項及び懲戒条例第二条に規定する「その旨を記載した書面」とは、従前の辞令を意味するものであること。

法又は条例に規定する分限、懲戒の処分は、原則として職員の意に反すると認められる不利益な処分であるので法第四十九条第一項に規定する処分説明書を交付しなければならないものであること。

なお法及び条例の分限に関する規定は、すべて職員の意に反する場合の規定であるので、本人の願い出又は同意ある場合は、これらの規定に拘束されないものであること。

(二) 分限に関する事項

1 分限の種類は、従来官吏分限令により免官、休職の二種であつたが、法第二十八条は、降任、免職、休職及び降給の四種について規定し、分限条例は、法第二十七条第二項の降給事由について規定を設けなかつたので、従来の免職、休職の外降任を加えた三種となること。

2 降任と免職の事由(法第二十八条第一項)は、同一であるが、その事由の程度等によつて区分せられるものであること。

休職の事由については、法第二十八条第二項に規定するものの外、条例で規定できるわけであるが、分限条例は、その事由を人事委員会規則に委任したので、人事委員会規則で別に定めない限り法定事由のみであること。但し、前記の通り本人の同意又は願い出があれば、法定事由以外の事由で休職できるものであること。

3 休職の期間は、分限条例第四条の通りであるが、分限令の休職が休職満期により当然退職となるのとは全く異り、法に基く休職は、休職期間が満了すれば当然復職せしめなければならないものであつて、たとえ休職期間中であつても、その事由が消滅したと認められる場合は、直ちに復職を命じなければならないこと。(分限条例第六条)従つて新たに処分するときは、その処分のための事由がなければならないこと。但し、引き続き同一の事由によつて同一の処分は、できないこと。

(註) 右但書の場合は、分限条例第四条第一項の規定に基き発令された休職期間が二年に満たない場合において、二年をこえない範囲内でこれを更新することができる旨の規定が設けられた場合は、この限りでない。

4 分限令による休職給は、三分の一であつたが、給料は、勤務に対する報酬であつて、勤務しない者は、給与を受けられないとの公務員法上の理念に基き、分限条例は、原則として休職給の観念を抹殺しているが、休職の事情又は官吏分限令の準用を受ける者との関係等を考慮するときは、或は支給の必要あるものもあると思われるので、それらのものの休職給については、人事委員会規則で定めるものとしたこと。

(註) 人事委員会規則は、法第二十八条第二項第一号によるいわゆる❜❜❜❜病気休職の場合に限り従前の分限令と同一の休職給を支給するものとしたこと。(昭和二十六年十月九日施行東京都人事委員会規則第七号)

5 休職及び復職発令の効力は、身分には影響がないが、その職(補職)に及ぶものであること。従つて休職期間中は、単にその身分を保有するに過ぎないこと。

6 結核性疾患により休養する職員は、この分限条例の適用外とし、別に条例で定めるまでは、従前通りとしたこと。(附則第二項)

(三) 懲戒に関する事項

1 官吏懲戒令では、懲戒の種類は、免官、減俸、譴責(雇員規程第五条第三項も同様)であつたが、法第二十九条は、新たに停職を加え、免職、停職、減給及び戒告の四種としたこと。

2 法第二十九条第一項に規定する事由は、各懲戒処分に共通であるが、事由の程度等に応じ区分せられるものであることは、従前の懲戒令、雇員規程第五条、傭員規程第七十四条の二の関係と同様であること。

3 新しく規定された停職と休職とは、職務に従事しない点においては両者同様であるが、前者が懲戒、後者が分限であることにより本質的に異るものであつて、実質的な面においても、休職が単に身分を保有するに過ぎずその職はこれを失うものであり、又人事委員会規則で定めるものにあつては、休職給が支給されるのに反し、停職は、その身分はもとよりその職を保有し、又停職期間中一切の給与は、支給されないものであること。

又休職にあつては、その事由が消滅したときは(休職期間満了した場合を含む。)復職を命じなければならないのに反し、停職は、停職期間満了の翌日において何等の発令を要せず当然停職前の状態に復帰するものであること。

4 停職は、停職期間中一切の給与を受ける権利をはく❜❜奪するものであるが、減給は、給料及び勤務地手当の一部のみを減ずるに止まるものであつて、その他の給与には影響がないこと。

5 戒告は、従来の譴責に相当するものであつて、文書をもつてその責任を確認し、その将来を戒めるものであること。

6 懲戒令においては、同一事件が刑事裁判所に係属中は、懲戒手続は進められないこととなつているのであるが、刑事裁判と懲戒とは、その性質を異にするものであるので懲戒条例は、第五条において、国家公務員法第八十五条の趣旨と同様に同一事件が刑事裁判所に係属する間においても、懲戒手続を進めることができるものとしたこと。

従つて刑事事件に関し起訴された事由による休職が法に基いてなされた場合は勿論、従前の官吏分限令に基いて休職されたため法附則第十項によりその休職に関しては、なお従前の分限令による場合においても、懲戒に関しては、懲戒条例が適用されることとなるので、右第五条の手続はできるものであること。

四 分限、懲戒の手続

条例の適用者は、条例施行の日から、吏員については、官吏分限令、官吏懲戒令の準用外となると同時に、職員委員会の審査の対象外(任用叙級は、従前通り。)となるものであり、又その他の職員についても東京都雇員懲戒規程、東京都嘱託員規程の廃止に関する件第六条第二号及び第九条、東京都雇員規程第四条第二号から第六号まで及び第五条、東京都傭員規程第十四条(第一項第七号を除く。)及び第七十四条の二等従前の分限、懲戒に関する各規定が適用されないこととなり、すべて地方公務員法第二十八条、第二十九条及び分限、懲戒の条例によることとなるので今後分限、懲戒に関する手続は、次によられたい。

(一) 分限に関する事務手続

1 吏員の場合

具体的な理由を具し、関係書類及び法第四十九条の処分説明書案(様式は、別紙の通り。)を添附の上内申(人事課)すること。決定の上は人事課において発令し、処分説明書を交付する。

なお、分限条例第三条第二項に該当する場合は、指定医師(都立病院、都立保健所の医師を指定する予定)の診断書を添附すること。

区配属の吏員については、雇傭員の手続に準じ副知事に合議すること。

2 雇傭員の場合

吏員と同様の書類を整備して総務局長(人事課)に合議の上所属長において発令し、処分説明書を交付すること。

3 刑事事件に関し起訴された事由による休職の場合は、次に掲げる懲戒の手続と同様まず遅滞なく事故発生報告をなし、決定を待つてそれぞれ処理すること。

(二) 懲戒に関する事務手続

1 事故発生報告

職員に事故が発生したときは、遅滞なく副知事(監査課)に報告すること。

2 事案の考査及び説明書の作成

事故発生報告があつた場合は、監査課において事案を調査し、考査する。処分説明書は、廻付された考査意見の内容及びその事実に対する処分の決定に基き、人事課において作成する。

3 発令

吏員については、事案につきなされた決定に基き、人事課において発令し、処分説明書を交付する。但し、区配属吏員にあつては、雇傭員の手続に準ずる。

雇傭員については、事案につきなされた決定を、人事課より処分説明書を添えて所属長に通知し、所属長において発令し、処分説明書を交付すること。

(三) 処分説明書は、交付の際必ず交付年月日を記入の上交付し、所属長は、交付した処分説明書の交付年月日を文書をもつて、直ちに人事課長に通知すること。

(四) 単純な労務に従事する職員に該当するかどうかが一応疑わしい者の(一)及び(二)の手続に当つては、単純労務者でないことが確認できるような職務内容を詳細に記載した書類を添付すること。

(五) 当然失職の場合

職員が法第二十八条第六項の当然失職(八月十一日付総人発秘第一一八号左記二、参照)の事由に該当するに至つたときは、直ちに副知事(人事課)に報告すること。

五 辞令式

画像画像

職員の分限、懲戒に関する条例の施行について

昭和26年10月15日 総人発秘第164号

(昭和26年10月15日施行)

体系情報
総務部総務課
沿革情報
昭和26年10月15日 総人発秘第164号