○東京都教育委員会監察事務規程の施行について

昭和三〇年一二月二四日

教監発第五号

教育庁各部

課長

教育長各出張所長

教育庁各事業所長

各都・区立学校長

標記の規程(昭和三〇年一二月東京都教育委員会訓令甲第一五号)が別紙のとおり制定され、昭和三〇年一二月二四日公布即日施行されることになつたので、下記事項御留意の上、その取扱いに遺憾のないよう御配慮願います。なお、この機会に事務事業を一層整備しその適正執行につとめられるとともに、学校においては関係のあるPTA後援会等の団体の長その他の役職員に対してもこの規程を周知せられたく申添えます。

第一 制定の主旨

事務事業の適正な執行及び職員(教職員を含む。)の服務規律の厳守については、従来しばしば通達したとおりであるが、現下の情勢からさらにこの強化が要請されているので、これに応えるため先般教育庁の機構改革に際し監察員制度が創設されたのである。この規程は、この監察事務の具体的実施の基準を設けるため制定されたものである。この制度の主眼とするところは、監察員が常時指導的監察を実施して業務及び服務の適正な執行を推進し特に金銭上の事故発生を未然に防止しようという点にあり、従つてこの規程は、この趣旨を重点として規定したものである。

第二 監察の対象

一 業務監察の対象としては、区立学校は直接の対象とはならないが学校長の職務をとおし間接的に対象となり、業務監察項目について実施するものである。

二 業務監察についてPTA後援会、その他関係団体との連携事項が監察の対象となつているが、PTA等は勿論民主的な任意団体でありそれ自体何等対象とはなり得ないものである。しかしながら学校長その他職員はこれらの団体が学校運営と密接不離の関係にあるので、その団体の事務、特に会計経理等については、学校または学校長その他職員たる身分によつて委託を受けており、しかも校務の一環として処理されている実情にあるので、これが適正かつ明朗な執行を期するため監察項目としたものである。

三 服務監察の対象になる職員(教職員を含む。)については、都教育委員会の任命にかかる職員のみでなく広くその管理監督する業務に従事する職員及び職場を同じくする各種団体の職員を含むもので、それぞれ都教育委員会の管理監督権の作用の範囲内において服務監察を実施するものである。

第三 監察の申請

監察の申請として部課及び事業所の長は、特命監察を受けることを教育長に申請し得るようになつているが、これは部課及び事業所の長の積極的な業務及び服務の改善意欲に資するため、民主的な申請方式として設けたものである。また、この申請に基く特命監察の実施にあたつては、一般の特命監察と異り申請主旨及び内容を特に考慮して実施するものである。

第四 運用上特に留意すべき事項

この規程の運用について、特に留意すべき事項は次のとおりである。

一 第三条(業務監察)について

(一) 第一号の「経理事務」とは、都会計事務規則に定める事務及び都契約事務規則に定める事務をいう。

(二) 第二号の「歳入出外現金」とは、入札、契約その他の保証金、私用電話料その他の保管金、公売代金等をいい、「有価物件」とは、郵便切手類、収入印紙、収入証紙、一時保管有価証券等をいう。

(三) 第三号の「整備及び管理の状況」とは、実質的に整備されているか否か、またそれが書類上は勿論実体上にも正確に把握され適切に整理保管されているか否かの状況をいい、「効率的な使用状況」とは、有効適切に活用されているか否かの状況をいう。

(四) 第四号の「補助金等にかかる予算」とは「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(昭和三〇年法律第一七九号)の適用を受ける学校施設費、産業教育振興費、学校図書館整備費、職員の諸給与費等の予算をいう。

(五) 第五号の「委託を受けた経理事務等」とは、日本育英会による育英資金貸与事務等及び学校における学校給食費、PTA会費、後援会費、教材教具費、実習費、演習書費、修学旅行費等の経理事務等で部、課及び事業所または、部、課及び事業所の長その他職員たる身分によつて委託を受け、しかも業務の一環として処理される経理事務等をいう。

(六) 第六号の「連絡提携の状況」とは、部、課及び事業所が関係団体に対して業務の適正かつ能率的な運営に適合するように連絡提携しているか否かの状況をいう。

二 第四条(服務監察)について

(一) 第一号の「職務に関し発生し、または発生のおそれがあると認められる職員の非行及び事故」とは、職員の公務執行に関連し検察当局に参考人として召喚されまたは拘留、逮捕を受け若しくはこれらの事態を招来するおそれがあると認められるような場合におけるその直接原因たる行為及び職員の公務の執行に関連し都または第三者に損害を与えまたは与えるおそれがあると認められる火災、盗難、交通事故等の一切の事件を指すものである。

(二) 第二号の「職員の信用失墜行為」とは、私行上の些細な不行跡のように単に個人の道徳的問題に過ぎないような行為を指すものでなく職員が全体の奉仕者としていやしくも住民から信託を受けている以上、その職の信用を傷つけ、ひいては、職員全体に対して住民の不信を招くような特に著しい不名誉な行為を指すものである。

三 第九条(機密の保持)について

本条は監察事務の内容が職員等の個人的な秘密に関する事項を含むほか、住民に対して誤解や不信を過大に生じさせるような事項を含んでいるので監察員及び監察事務に従事する職員は勿論のことこれを受ける者の側においてもこの機密を保持すべき義務を課したものである。

四 第一〇条(特命監察の申請)について

本条の主旨は、前記「第三監察の申請」において述べたとおりであるが、申請に当つては、その主旨、内容、希望事項等に留意し、これらの事項を記載した書面によつて申請することが望ましい。

五 第一一条(非行及び事故の報告等)について

本条の主旨は、前記「第四の二第四条(服務監察)について」において述べたとおりであるが、報告に当つては、時宜を失するようなことのないように留意し、事件の性質上至急を要するものについては、一応電話通報等敏速な方法により報告した後所定の書類報告をなす等適宜な措置を講じなければならない。

六 第一四条(監査等との関係)について

第一項の報告を要する事項は、監査等を直接受ける場合に限る。

「直接」とは、一般には直前に通知されることが例となつているのであるが、この通知を欠いて直接行われる場合を指すものである。報告に当つては、一応電話通報等により敏速に報告した後書類報告をなす等時宜に適した方法によることが望ましい。

東京都教育委員会監察事務規程の施行について

昭和30年12月24日 教監発第5号

(昭和30年12月24日施行)

体系情報
総務部法務監察課
沿革情報
昭和30年12月24日 教監発第5号