○不適正な区域外就学の規制措置について

昭和四一年一月二七日

四一教学学発第二八号

各区市町村教委教育長

不適正な区域外就学は、各区市町村教育委員会において教育計画を立てるうえで重大な支障となるばかりでなく、正常な義務教育の発展を阻害するものであり、一方、児童生徒のためにも過剰収容、遠距離通学等から生ずる多くの障害により教育上好ましくない結果を招来するものであります。

こうした観点から本都教育委員会は、これまで数次にわたって就学事務の正常な運営について通達し、貴職におかれても、努力されているところでありますが、その実態は、依然跡を絶たない現状であります。

かかる情勢にかんがみ、本都教育委員会は、昭和四〇年四月「東京都区域外就学対策協議会」を設置し、不適正な区域外就学の防止対策について協議検討を委嘱し先般別添のとおりその実態と対策について報告を得たものであります。

ついては、下記事項に御留意のうえ、重ねて一層の御配慮を願います。

なお、各区市町村においても相互に緊密な連絡をとり、実効のあがるように本通達ならびに別添報告書の趣旨を十分に生かし実施されるようお取り計らい願います。

一 正規の手続きを経ない区域外就学は、絶対にこれを認めないこと。

二 学校教育法施行令第九条に定める隣接する区市町村教育委員会間の協議に基づく区域外就学については、適正な基準等を設け、実情に即した措置を講ずること。

三 区市町村教育委員会が、正規の手続により区域外就学を承認した場合においても、その保護者から委託金、教育寄附金などその名称のいかんを問わず金銭を徴収してはならないこと。

四 集団住宅の建設など、社会増等による一時的な教室の不足その他特別な理由がある場合を除き、都が定める当該年度の学級編制基準を厳守し、いやしくも不適正な区域外就学を是認することにより、過剰収容、学級増加等を招来することがあつてはならないこと。

五 住民登録制度の正確を期するため、住民登録法第三〇条の規定による事実の調査に万全の措置が講ぜられるよう、住民登録事務を所轄する区市町村の関係機関とも十分連絡をとり、かつ協力体制を強化すること。

六 住所地をいつわつて、架空の住民登録を行なうなどの方法による不適正な区域外就学の事例を発見した場合には、関係機関と連絡のうえ適切な措置を講ずること。

七 区市町村教育委員会においても、それぞれの実情に即した実効ある対策を、より具体的に検討し、今後とも適正な就学事務の実施に努めるため、区域外就学対策委員会等を設けることが望ましいこと。

八 管下、各小、中学校に対して不適正な区域外就学が児童生徒の教育指導、学校経営の面からも好ましくない実情にあることから、教育委員会と一体となり不適正な区域外就学の防止に努めるよう適切な指導を行なうこと。

九 管下、各小、中学校のP・T・Aをはじめ各種団体および広く住民に対しても適正な就学について、周知徹底をはかるとともに、義務教育の正常な運営について協力を求めること。

別添(略)

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昭和四一年一月二七日

四一教学学発第二八号

公立小・中学校長

昭和四〇年四月都に設置された「東京都区域外就学対策協議会」から先般別添のとおり、その実態と対策について、本都教育委員会あて報告書が提出されました。

もとより義務教育における就学事務については、設置者である区市町村教育委員会の事務でありますが、各学校においても当該教育委員会と協力して、不適正な区域外就学の防止につとめるようお願いします。

(報告書「写」添付)

別添(略)

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昭和四一年四月二七日

四一教学学発第二六二号

埼玉、千葉、神奈川、茨城県教委教育長

本都においては、これまでも不適正な区域外就学の規制について種々努力してきたところでありますが、なお、十分な効果をあげることができず、教育計画を立てるうえに重大な支障となつております。区域外就学は、児童生徒にとつても遠距離通学、過剰収容等から生ずる結果が教育上好ましくないことはもとより、義務教育の運営を阻害する幾多の支障を招来しております。

本都教育委員会は、かかる事態の解消を積極的に推進するため、昭和四〇年度において、「東京都区域外就学対策協議会」を設置し、その実態と対策を検討したところ、都外から不適正な区域外就学該当児童生徒数は約一万一千人に及んでおり、この数は、全都の区域外就学者数の内で、小学校約二〇%、中学校約三二%に及んでおります。

しかも、これらの就学については、そのほとんどが学校教育法施行令第九条の規定に基づく協議により正式に承認されたものではなく、架空の住民登録によるものであると考えられます。

ついては、都教育委員会としては、管内各区市町村と一体となつて、更に強力に不適正な区域外就学の規制を行なう方針でありますので、貴職におかれても、本都の意とするところをご賢察のうえ、貴管下各関係機関はもとより地域父兄に対しても、この趣旨の徹底方について、よろしく御指導ご協力をいただけますようお願いいたします。

なお、参考に通達、報告書の「写」、各一部を添付します。

参考(略)

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昭和四一年一一月一七日

四一教学学発第六六〇号

各区市町村教育委員会教育長

このことについては、既に貴職においても十分配慮されているところであるが、都教育委員会では、都立高等学校の入学者選抜にあたつて、「居住関係調書」ならびに「保護者の住民票(抄本)」の提出等、一連の改正を四二年度から実施することになつた。さらに四三年度からは、その応募資格に「志願者と保護者の同居」を原則とすることを明らかにするなど、対策の推進に努めている。

しかしながら、多年にわたつて習慣化された違法な就学方法を正常化するには、なお強力に、義務教育段階から不適正な区域外就学に対する規制措置を講じて行くことが必要である。

ついては、さきに通知した東京都区域外就学対策協議会報告書および昭和四一年一月二七日付四一教学学発第二八号による通達の趣旨に沿つて、今後とも就学事務が適正に行なわれるよう、貴教育委員会の決意と善処方を重ねてお願いする。

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昭和四三年一月二五日

四三教学学発第三二号

各区市町村教育委員会教育長

このことについては、さきに昭和四一年一月二七日付四一教学学発第二八号及び昭和四一年一一月一七日付四一教学学発第六六〇号をもつて通知したところでありますが、貴職の特段の御努力により、その成果はかなり顕著なものがあると見受けられます。

しかしながら、なお十全の成果を見ることができず、このことが区市町村の教育行政計画に少なからず支障をきたしているものと思われ、一方、児童生徒に対しても教育上好ましくない影響を及ぼしているものと考えられます。

この問題については、あらゆる手段をもつて積極的にかつ継続して是正をはかる必要がありますが、このほど住民基本台帳法の施行に伴い就学事務の一部が改正されることになりましたので、これを契機として新たな手段により教育的配慮をもつて、不適正な区域外就学の防止に努力されますようお願いいたします。

なお、都教育委員会としてはこれに関連して下記のように考えますので是正措置にあたつて御考慮願います。

一 学級の許可にあたつて、その基礎となる児童生徒の中に明らかに不正の手段による在籍者が含まれている場合にはこれを除外して認可するものとする。

二 保護者及び児童生徒の特別な事情により学校教育法施行令第八条又は第九条の規定に基づき指定校の変更又は、区域外就学を認める場合にあつては児童生徒の身体的理由交通事情等の真に止むを得ない場合に限つて認めるべきものであること。

不適正な区域外就学の規制措置について

昭和41年1月27日 教学学発第28号

(昭和41年1月27日施行)

体系情報
地域教育支援部義務教育課
沿革情報
昭和41年1月27日 教学学発第28号