○教員等の休職による海外留学の取扱いについて
平成一二年三月三一日
一一教人職第九〇一号
区市町村教育委員会教育長
多摩教育事務所長
教育庁出張所長
都立学校長
学校経営支援センター所長
このことについては、従来「学校職員の海外旅行について」(昭和六三年九月一日付六三教人職第二八〇号)により取り扱ってきたところですが、平成一二年四月一日より下記により取り扱うこととしたので、通知します。
記
一 目的
教員等が外国の政府又はこれに準じる公共的機関の招きにより外国に留学する場合等について、職員の分限に関する条例(昭和二六年東京都条例第八五号。以下「条例」という。)及び職員の休職の事由等に関する規則(昭和二七年東京都人事委員会規則第一一号。以下「人事委員会規則」という。)により東京都教育委員会が休職とすることができる場合についての基準を定め、教員等の資質、能力の向上を図るとともに、適正な人事事務の処理に資することを目的とする。
二 対象
この基準は、都立学校及び区市町村立学校に勤務する常勤の職員のうち、東京都教育委員会を任命権者とする者で、教育公務員特例法(昭和二四年法律第一号)第二条により教育公務員とされる者(教育公務員特例法施行令(昭和二四年政令第六号)第十条第二項による準用規定の適用のある者を含む。以下「教員等」という。)を対象とする。
ただし、臨時的任用の者は除く。
三 教員等の要件
この基準により休職とすることができる教員等は、次の要件を全て満たす者でなければならない。
(一) 原則として、東京都教育委員会の任命にかかる教員等として五年以上の経歴を有すること。
(二) 留学終了後は、引き続き東京都の公立学校の教員等として五年以上の期間(地方公務員法の一部を改正する法律(令和三年法律第六三号)附則第四条第一項若しくは第二項又は第六条第一項若しくは第二項(これらの規定を同法附則第九条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により採用された職員としての任期を除く。)を勤務すること。
(三) 原則として一年以内の留学期間であること。
(四) 勤務成績が優秀であること。
(五) 留学先で行う調査、研究等の内容が、教員等の現在の職務と密接な関連性を有し、留学を行う教員等の資質・能力の向上が図れるものであるとともに、国内ではその調査、研究等を行うことが困難であるなど留学の必要性が認められるものであること。
四 取扱基準
人事委員会規則第二条第一号により、次の場合を休職とすることができるものとする。
(一) 教員等が外国の政府又はこれに準じる公共的機関の招きにより外国の大学等に留学する場合
(二) その他任命権者が特に認める場合
五 注意事項
(一) 上記三(四)の「勤務成績が優秀であること。」の要件を満たす者は、別紙一に掲げる要件を全て満たすことを要する。
(二) 上記四(一)の「これに準じる公共的機関」とは、外国の国立大学、国立の研究所、その他外国政府の附属機関をいう。
(三) 外国の政府又はこれに準じる公共的機関の招きによる場合には、外国の政府等の正式な招聘状が必要である。
(四) 上記四(二)の「その他任命権者が特に認める場合」とは、別紙二に掲げる場合をいう。
なお、上記四(二)による休職は、教員等の東京都の公立学校における勤務期間を通じて、一回に限る。
また、教員等のうち、校長及び副校長については、上記四(二)による休職は認めない。
(五) 休職による海外留学は、条例及び人事委員会規則の規定に基づくものであって、この基準は、「願い出れば休職できる」場合を認めるものではないことに注意すること。
六 休職の手続
(一) 都立学校の教員等の場合
イ 所属の教員等から上記アの申出があった場合には、校長は、上記三の要件を満たしているかについて厳密に審査した上で、それらを全て満たしていると認める場合には、意見書(校長用)(様式四)を作成する。
その上で、校長は、意見書(校長用)(様式四)の写し及び上記アで教員等から提出された全ての書類の写しを東京都教育委員会に送付し、教員等を休職とすることができるかについてあらかじめ確認すること。
ウ 上記イの確認に係る書類の東京都教育委員会への送付は、教員等が海外留学しようとする年度の前年度の九月末日までに行わなければならない。
エ 上記ウの確認を行った上で、この基準により休職とすることができる場合には、校長は、必要な書類を添付して、原則として休職期間開始日の四〇日前までに、東京都教育委員会に休職の具申を行うこと。
オ 必要書類及び具申書の提出先は、別紙三のとおりである。
(二) 区市町村立学校の教員等の場合
イ 所属の教員等から上記アの申出があった場合には、校長は、上記三の要件を満たしているかについて厳密に審査した上で、それらを全て満たしていると認める場合には、意見書(校長用)(様式四)を作成する。
その上で、校長は、速やかに意見書(校長用)(様式四)の写し及び上記アで教員等から提出された全ての書類の写しを区市町村教育委員会に送付する。
その上で、区市町村教育委員会は、速やかに意見書(区市町村教育委員会用)(様式五)の写し及び上記イで校長から送付された全ての書類の写しを東京都教育委員会に送付し、教員等を休職とすることができるかについてあらかじめ確認すること。
エ 上記ウの確認に係る書類の東京都教育委員会への送付は、教員等が海外留学しようとする年度の前年度の九月末日までに行わなければならない。
オ 上記ウの確認を行った上で、この基準により休職とすることができる場合には、区市町村教育委員会は、必要な書類を添付して、原則として休職期間開始日の四〇日前までに、東京都教育委員会に休職の内申を行うこと。
カ 必要書類及び内申書の提出先は、別紙三のとおりである。
七 休職者の給与
(一) 人事委員会規則第四条第一項第一号により、休職期間中、給料、扶養手当、住居手当並びに給料及び扶養手当に係る地域手当のそれぞれ一〇〇分の七〇以内を支給する。
(二) なお、支給の割合については、その個々の実情に応じて、任命権者がその都度定めることができる。
八 報告義務等
(一) 休職による海外留学期間中の教員等は、定期的に校長に連絡を行い、活動状況等について報告し、校長及び区市町村教育委員会は、教員等からの報告等に基づき、その活動状況等を把握し、適正な制度運用に努めること。
なお、休職による海外留学期間中の教員等は、少なくとも四半期ごとに一回、必ず校長に連絡を行い、活動状況等について報告を行うこと。また、校長は、教員等からの報告を受けて、四半期ごとに一回、留学状況報告書(様式六)を作成して、東京都教育委員会に(区市町村立学校においては、区市町村教育委員会を経由して)提出すること。
留学状況報告書の提出先は、上記六に規定する休職の具申書及び内申書の提出先と同じである。
(二) 都立学校の校長及び区市町村教育委員会は、海外留学期間中の教員等の休職の事由が消滅したと認めるときは、条例第六条に基づき、速やかに復職の具申又は内申を東京都教育委員会に行うこと。
具申書及び内申書の提出先は、上記六に規定する休職の具申書及び内申書の提出先と同じである。
なお、海外留学期間中の教員等が、上記(一)に規定する活動状況等の報告を適切に行わない場合は、休職の事由が消滅したものとみなす。
(三) 海外留学期間中の教員等は、海外留学期間中に、留学先の事情等の真にやむを得ない事情により、事前に提出した留学計画書等に記載した活動内容等を変更せざるを得ない状況が生じた場合には、速やかに校長を通じ東京都教育委員会に(区市町村立学校においては、区市町村教育委員会を経由して)報告し、その指示を受けること。
(四) 休職による海外留学を行った者は、復職(途中復職を含む。)後、遅滞なく留学結果報告書(様式七)を作成して、校長に提出しなければならない。
また、校長は、教員等から提出された留学結果報告書を東京都教育委員会に(区市町村立学校においては区市町村教育委員会を経由して)提出しなければならない。
なお、留学結果報告書の提出は、上記(一)の四半期ごとの留学状況報告書のうち、最終四半期の同報告書に添付し、行うこととする。
九 その他
(一) この基準は、平成一二年四月一日から実施する。
(二) 平成一二年三月三一日までに従前の取扱いにより発令された休職による海外留学で、平成一二年四月一日以降にかかるものについては、この基準により発令されたものとみなす。
別紙1
1 直近の3年間において、東京都立学校教育職員の人事考課に関する規則(平成11年東京都教育委員会規則第56号)又は東京都区市町村立学校教育職員の人事考課に関する規則(平成11年東京都教育委員会規則第57号)に基づき実施された業績評価結果が、優秀であること。
なお、校長及び副校長については、上記に準ずる。
2 過去に懲戒処分又は分限処分を受けた者は、個別に判断し、休職とすることについて支障がないと認められること。
なお、休職による海外留学を開始する年度の開始日から遡って過去5年間に、懲戒処分又は分限処分を受けた者は、これに当たらず、休職は認められない。
3 その他勤務の状況等からして、休職を認めるにふさわしくない事情等がないこと。
別紙2
| 団体名 | 摘要 |
1 | 日米教育委員会(フルブライト・プログラム) | フルブライト奨学金を受けて留学する場合 |
2 | インターナショナル・インターンシップ・プログラムス(IIP) | IIPのプログラムにより留学する場合(ただし、事前研修期間は対象外) |
別紙3
休職の内申・具申に必要な書類及び提出先等一覧