○大震災時における学校教職員の避難所業務従事等について

平成一〇年七月一日

一〇教人職第一七八号

区市町村教育委員会教育長

都立学校長

平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災においては、多くの学校が避難所として利用され、教職員が被災住民の救助活動に当たるなど、学校及び教職員が災害応急活動に大きな役割を果たした。

このことは、学校が、地域社会における住民の生活の中で大きな期待と役割を担っているものであることを、あらためて示したものと言える。

もとより、学校は、教育活動の場であり、災害時における学校の役割は児童生徒の安全確保と教育活動の再開に努めることが基本であり、避難所としての機能は応急的なものといえる。しかしながら、今回の教訓によれば、学校の防災体制の整備に当たっては、避難所としての機能をも十分念頭に置きながら、教職員の役割を明確にし避難所運営への協力体制と教育活動再開への体制を図ることが重要である。

このような教訓に基づき、大震災時における公立学校教職員の避難所業務従事等について東京都教育委員会としての基本的な考え方をまとめた。貴職におかれては、この考え方をふまえ、防災体制の整備を図っていただきたい。

別紙

大震災時における学校教職員の避難所業務従事等の扱いについての基本方針

一 避難所業務と学校教職員との基本的関係

(一) 学校と避難所の関係

教育委員会及び学校は、区市町村長が、災害対策基本法第五〇条及び災害救助法第二三条等に基づいて設置する避難所について、避難所の設置と運営に協力する。

(二) 避難所の指定

ア 都立学校

都立学校長は、区市町村長から避難所指定について要請があった場合には、「都立学校の避難所指定に関する要綱」(平成八年一月八日付七教総総第八五七号)に基づき、区市町村長と避難所施設利用に関する協定書を締結する。

イ 区市町村立学校

区市町村教育委員会は、上記、要綱に準じて、避難所指定の取扱いを定めることが望ましい。

(三) 学校における避難所業務の位置づけ

ア 都立学校

(ア) 避難所運営等に対する学校の協力

都立学校は、東京都災害対策本部条例施行規則に基づき、避難所の開設・管理運営に協力する。

(イ) 学校教職員の参集態勢

都立学校の教職員は、東京都教育委員会災害対策要綱の別表第二に定めるとおり、特別非常配備態勢(夜間、休日等の勤務時間外に震度六弱又はこれに準ずる地震により災害が発生したとき。)においては、「発災初期の活動態勢を確保するため、災害応急対策に従事することができる全職員が自宅及び家族の安全を確認した上、自発的に」、原則として、現所属校に参集する。

イ 区市町村立学校

各区市町村において、都立学校と同様に、避難所の開設・管理運営に対する学校の協力や教職員の参集態勢について、要綱等に明記することが望ましい。

(四) 避難所の管理運営と学校教職員の役割分担

ア 避難所の管理運営責任

避難所の管理運営は、区市町村長の責任体制の下に行われるものであり、学校教職員は、学校長の管理の下において、緊急対応として避難所管理運営業務に従事するものである。

イ 区市町村職員と学校教職員との役割分担

避難所に指定された学校の校長は、区市町村の教育委員会及び防災担当部局とあらかじめ協議を行い、学校教職員の職務分担、避難所業務に従事する期間、初動体制等の具体的計画を策定する。

ウ 避難所に指定されていない学校

避難所に指定されていない学校において、避難してきた住民がいる場合、当該学校長は、関係区市町村防災担当部局との緊密な連絡の下に、所属教職員に対し、避難所管理運営業務への従事を指示する。

エ 避難所管理運営業務の行政部局職員への移行

避難所管理運営の業務は、教育活動再開のための準備を考慮し、おおむね一週間程度を目途として計画し、徐々に区市町村の行政部局職員による管理運営へと移行させていくこととする。

二 学校教職員の身分について

学校教職員が避難所管理運営業務に従事する場合、正規の勤務時間外等にあっても学校教職員としての身分の変更はない。

三 避難所業務に従事した場合の手当について

(一) 教育職員

教育職員(実習助手及び寄宿舎指導員を含む。)が正規の勤務時間外等において、避難所管理運営業務に従事した場合で、手当の支給要件に該当する場合、教員特殊業務手当を支給する。

(二) 行政系職員

行政系職員が正規の勤務時間外等に避難所管理運営業務に従事した場合は、時間外勤務手当等を支給する。

四 防災訓練等における学校教職員の服務の取扱い

地震発生後の避難所管理運営業務に円滑に従事するために、平常時(週休日等を含む。)において防災訓練に参加したり、関係者による協議会や連絡会等に参加する場合においても、通常の勤務の一環として取り扱って差し支えないものとする。

五 公務災害の取扱い

学校教職員が避難所業務に従事し、又は上記四の通常の勤務の一環として取り扱う防災訓練等に参加し、災害を被った場合、地方公務員災害補償法による公務災害の対象になる。

大震災時における学校教職員の避難所業務従事等について

平成10年7月1日 教人職第178号

(平成18年11月14日施行)

体系情報
人事部職員課
沿革情報
平成10年7月1日 教人職第178号
平成18年11月14日 教人職第1319号