○教育管理職任用制度の改正について

平成一一年六月一〇日

一一教人勤第四七号

Ⅰ 教育管理職任用制度の改正内容

一 選考

(一) 選考系列の一本化

現行の二系列の選考は、選考合格後、それぞれの系列間での人事交流が少ないため、教頭・校長選考合格者は、学校の慣例・慣行等にとらわれずに幅広い視野に立って問題解決を図る能力が十分培われにくく、指導主事選考合格者は、学校の実情を踏まえた経営指導が十分に行われにくい等の問題がある。また、教育現場と都教委の相互理解が不十分となりやすく、教育行政の施策の企画・立案やその浸透がスムーズにおこなわれにくい等の問題がある。

そのため、現行の二系列の選考制度を教育管理職選考として一本化し、比較的に若い層を対象としたA選考と中堅層を対象としたB選考を設け、受験機会の拡大を図るとともに、選考合格後管理職として任用されるまで、A選考は五年間、B選考は二年間ジョブ・ローテーションや管理職候補研修を行うことにより、管理職としての資質を身につけるとともに、適材適所の人材配置をより一層推進していく。

任用体系と選考の関係は、図一のとおり。

図1 教育管理職任用体系と選考区分の関係図

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(二) 受験機会の拡大

選考合格者の大半を占める教頭選考の受験資格が、現行では三七歳以上五〇歳未満となっており現在及び将来の教員年齢構成を考慮したものとなっていないため、受験者が年々減少傾向にある。

そのため、選考を、意欲ある若手職員から選抜し、行政感覚にも優れた教育ゼネラリスト的な管理職の育成を図るA選考と教育実践に優れた中堅教員から選抜し、学校運営のスペシャリスト的な管理職の育成を図るB選考の二区分とするとともに、受験資格年齢を前後に延長し、受験機会の拡大を図る。

また、A選考・B選考によらない特別選考を実施する。特別選考による管理職の任用のあり方は、中央教育審議会の提言にある学校外の人材からの管理職登用や特定の分野において専門的な業務の遂行を主たる職務とする管理職等を念頭に置いて検討していく。

表一 教育管理職選考受験資格

A選考

年齢―満33歳以上42歳未満(ただし、受験機会が5年未満の者は、引き続く5年間は受験可)

都教職歴―7年以上

B選考

年齢―満44歳以上56歳未満

都教職歴―14年以上

主任経験を有する者

特別選考

別に定める

(三) 選考内容

ア 教育管理職選考(A選考・B選考)

表三 教育管理職選考(A選考・B選考)方法及び合格予定者規模

 

A選考

B選考

選考方法

一次選考 筆記試験

・択一(40問)

・論文(1題)

業績評定

二次選考 面接試験

一次選考 筆記試験

・択一(40問)

・論文(1題)

業績評定

二次選考 面接試験

合格予定規模

合格者数のAとBの比率は概ね1:3で、Aを一定数確保し、Bで必要数を調整する。

イ 校長選考方法の改善

校長選考の受験資格(五四歳まで)を過ぎた教頭の士気が低下する傾向にある。また、一次選考に論文試験が課されているため、受験勉強のための負担が大きく、計画的に管理職としての自己研鑽を積むことが難しい状況にある。

そのため、現行の論文・面接による校長選考を見直し、業績・面接等により選考する方式に改め受験者の負担軽減を図るとともに、計画的に管理職としての自己研鑽を積むことができるようにする。また、校長昇任選考の受験資格年齢を引き延ばすことにより、現行制度でいう受験資格年齢を過ぎた者の士気の低下をある程度防ぐことができる。

さらに、選考合格者に対し、管理職候補及び教頭職等の期間中に、ジョブ・ローテーションや管理職候補者研修及び管理職研修を行うことにより、管理職としての資質の向上を図るとともに管理職任用審査において、管理職としての適格性をより厳しく判定することにより、校長昇任までを視野においた任用管理を行っていく。

校長昇任選考の資格及び選考方法は、表五のとおり。

表五 校長昇任選考資格及び選考方法

選考資格

選考方法

年齢 59歳未満

都職歴 ―

都教職歴 ―

教育管理 4年以上

職歴

業績評定及び面接等

二 任用管理の改善

(一) 管理職候補期間

現行制度は、任用前研修期間が一年と短く、人材育成期間及び管理職としての適性検証期間としては不十分である。

そのため、A選考は五年間、B選考は二年間の管理職候補期間を設け、学校間及び学校以外の職場間でのジョブ・ローテーションを行うとともに、管理職候補研修をより一層充実させることにより、管理職としての資質の向上を図る。また、A選考の合格者は、管理職候補期間及び管理職任用後も積極的に学校現場と行政系職場とのジョブ・ローテーションを行う。

選考区分別管理職候補期間育成方針は、表七のとおり。

表七 選考区分別管理職候補期間育成方針

 

A選考

B選考

育成方針

・行政感覚にも優れた教育ゼネラリスト的な管理職の養成を図る。

・即戦力として活用する学校運営のスペシャリスト的な管理職の養成を図る。

任用方針

・5年間の管理職候補期間

・指導主事等行政系の職への任用

・学校基幹要員への配置(学校経営未経験、経験不足者の場合)

・2年間の管理職候補期間

・主に学校基幹要員への配置

管理職候補者研修

・5年間の研修期間

・経営管理、危機管理などマネジメント能力の育成

・演習や事例研究等、参加型の研修

・長期派遣研修等の計画的な実施

・2年間の研修期間

・人事労務管理の法令や会計等、学校経営に必要な実務的能力の養成

・短期間での能力取得のため、講義中心の研修。経営感覚の育成

任用審査

・研修受講状況、課題論文、職務論文、面接及び業績評定結果等を踏まえ、任用審査会で総合的に判定

・任用審査の限度は3回まで

・研修受講状況、職務論文、面接及び業績評定結果等を踏まえ、任用審査会で総合的に判定

・任用審査の限度は3回まで

(二) ジョブ・ローテーションの導入

現行制度では、学校・行政間での交流が困難なため、幅広い視野に立ち、都民ニーズに対応した学校経営が行われにくい。

そのため、任用管理の所管を一本化し、管理職候補者期間中において、学校間、校種間及び学校と行政系職場間でのジョブ・ローテーションを行い、計画的に人材育成を図り、教育管理職として一層の資質向上を図る。また、A選考の合格者については、管理職候補期間及び管理職期間中に積極的に学校と行政系職場間でのジョブ・ローテーションを行い、行政感覚を身につけた教育管理職の育成を図る。

任用体系は、図三のとおり。

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Ⅱ 改正時期

この教育管理職任用制度の改正は、平成一二年度選考から実施する。

Ⅲ 経過措置

教育管理職任用制度の改正に伴う新制度への移行を円滑に行うため、経過措置期間を設ける。

一 選考実施時期

(1) A選考

平成14年度まで、旧教頭選考とA選考の受験資格の合計が3年未満の者は、B選考の受験資格が発生するまで、その合計回数が3回に達するまでA選考の受験機会を設ける。

(2) B選考

経過措置なし(平成12年度より実施)

(3) 校長昇任選考

平成17年度より実施(平成16年度までは現行制度)

(4) 特別選考

別に定める

二 管理職候補者期間

(1) A選考

平成12年度合格者 4年間から5年間

平成13年度合格者 4年間から5年間

平成14年度合格者 4年間から5年間

平成15年度以降 本則(5年間)

(2) B選考

経過措置なし(平成12年度合格者より本則)

(3) 特別選考

別に定める

三 任用審査実施時期

(1) A選考

平成12年度合格者 平成16年度(管理職候補4年目)

平成13年度合格者 平成17年度(管理職候補4年目)

平成14年度合格者 平成18年度(管理職候補4年目)

平成15年度以降 本則(管理職候補5年目)

(2) B選考

経過措置なし(平成12年度合格者 より本則)

(3) 校長昇任選考

平成17年度(平成16年度までは現行制度)

(4) 特別選考

別に定める

教育管理職の任用に関する基準

平成一一年六月一〇日

一一教人勤第四七号

(目的)

第一 この基準は、東京都教育庁(以下「都教育庁」という。)及び東京都公立学校の教育管理職の任用に関する基準を定めることを目的とする。

(定義)

第二 この基準にいう教育管理職とは、次のものをいう。

(一) 東京都公立学校の校長及び副校長

(二) 都教育庁において教員系から任用される参事及び副参事級職員

(三) 統括指導主事、統括学校経営支援主事及び管理主事(以下「統括指導主事等」という。)

(任用の方法)

第三 教育管理職への任用については、選考及び第五によるものとする。選考に関する基準は別途定める。

(教育管理職候補)

第四 教育管理職選考合格者を教育管理職候補とし、その期間は、教育管理職の選考に関する基準第二による選考区分(二)のうち、A選考の合格者は原則として選考に合格した翌年度から五年間、B選考の合格者は選考に合格した翌年度から原則として二年間、C選考の合格者は原則として選考に合格した当該年度間とする。ただし、A選考の合格者のうち、教育管理職候補としての任用前に指導主事の職務に従事した期間がある者については、三年間を上限として当該期間を教育管理職候補期間から控除し、A選考の合格者のうち主幹教諭又は指導教諭の業務に従事した経験を有しない者については、原則として選考に合格した翌年度から六年間とし、B選考の合格者のうち主幹教諭又は指導教諭の業務に従事した経験を有しない者については、原則として選考に合格した翌年度から三年間とする。

二 A選考を合格した教育管理職候補は、その期間中、原則として指導主事の職の業務に従事し、B選考を合格した教育管理職候補は、その期間中、原則として主幹教諭の職の業務に従事する。

三 A選考の合格者のうち主幹教諭又は指導教諭の業務に従事した経験を有しない者は、前項の規定にかかわらず、原則として、主幹教諭の業務に一年間従事した後、指導主事の職の業務に従事する。

(校長、副校長及び統括指導主事等への任用)

第五 副校長及び統括指導主事等への任用は、任用審査会において、教育管理職候補期間中の業績、研修、面接結果等を総合的に評価し、教育管理職として適格の判定を受けた者から行う。ただし、C選考の合格者については、教育管理職選考の判定結果をもって任用審査会における適格の判定を受けたものとみなし任用を行う。

二 校長への任用は、東京都教育委員会教育長(以下「教育長」という。)により、副校長又は統括指導主事等としての在職期間が四年以上の者で、当該在職期間中の業績、研修、面接結果等を総合的に評価し、校長として適格の判定を受けた者から行う。なお、当該在職期間に含むことができる期間については、別に定める。

三 前項の場合において、任用審査会は教育長からの諮問により審査原案の調製を行う。

四 学校外の人材を校長又は副校長に任用する場合においては、教育管理職の特別選考に合格した者から行う。

五 都教育庁において教員系から任用される参事及び副参事級職員の任用に関する基準は別に定める。

六 教育管理職及び教育管理職候補の配置に関する基準は別に定める。

(任用審査会)

第六 任用審査会の設置及び任用審査の基準については別に定める。

(補則)

第七 この基準に定めるもののほか、教育管理職の任用に関し必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

第一 この基準による改正後の教育管理職の任用制度(以下「新制度」という。)は、平成一二年四月一日から施行する。

(経過措置)

第二 この基準による改正前の校長及び教頭の任用制度並びに指導主事の任用制度(以下「旧制度」という。)による校長選考は、校長任用有資格者の出現状況を勘案し、平成一六年度まで実施する。なお、平成一六年度までに旧制度で教頭として任用された者については、平成一七年度以降は、新制度で教頭に任用された者とみなす。

二 旧制度で教頭選考に合格した者は、平成一四年度までは旧任用基準(「校長及び教頭の任用に関する基準」平成二年九月二七日)を適用する。

三 旧制度で指導主事選考に合格した者の教育管理職への任用に当たっては、旧任用基準(「指導主事任用基準」平成八年三月二五日)を適用する。

(施行期日)

この基準は、平成一五年四月一日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成一七年一一月一〇日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成一八年一一月二四日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二〇年四月一日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二一年三月六日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二五年一〇月一八日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二七年四月一日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二九年四月一日から施行する。

(施行期日)

この基準は、令和四年一一月七日から施行する。

教育管理職の選考に関する基準

平成一一年六月一〇日

一一教人勤第四七号

(目的)

第一 この基準は、東京都公立学校及び東京都教育委員会(以下「都教育委員会」という。)の教育管理職の選考に関する基準を定めることを目的とする。

(選考の種類)

第二 選考は、次に定める区分により行うものとする。

(一) 校長選考

(二) 教育管理職選考

ア A選考

(ア) 申込区分

(イ) 推薦区分

イ B選考

(ア) 申込区分

(イ) 推薦区分

ウ C選考

(ア) 申込区分

(イ) 推薦区分

(三) 特別選考

(受験資格)

第三 選考を受験できる者は、それぞれの区分ごとに次に定める基準による。

(一) 校長選考

選考を実施する年度の末日において、東京都教育管理職(副校長、統括指導主事等)としての経験年数が三年以上で、年齢満五九歳未満の者、なお、一年未満の経験は、一〇箇月以上の場合は、これを一年とみなす。東京都教育管理職としての経験年数に含むことができる期間については、別に定める。

(二) 教育管理職選考

ア A選考

選考を実施する年度の末日において、年齢四四歳未満で、現に主幹教諭若しくは指導教諭の職にある者又は主任教諭若しくは主任養護教諭の職にあり、その在職期間が二年以上の者

イ B選考

選考を実施する年度の末日において、年齢三九歳以上五四歳未満で現に主幹教諭若しくは指導教諭の職にある者又は年齢四六歳以上五四歳未満で現に主任教諭若しくは主任養護教諭の職にあり、その在職期間が二年以上の者

ウ C選考

選考を実施する年度の末日において、年齢五〇歳以上六〇歳未満で、現に主幹教諭又は指導教諭の職にあり、主幹教諭歴又は指導教諭歴が合わせて三年以上の者

(三) 特別選考

別に定める。

(選考方法)

第四 選考は、それぞれの区分ごとに次に定める方法により行う。

(一) 校長選考

筆記試験、業績評価及び面接試験

(二) 教育管理職選考

ア A選考

(ア) 申込区分

筆記試験、業績評価及び面接試験

(イ) 推薦区分

東京都教育委員会が別に指定する研修における成績、筆記試験、業績評価及び面接試験

イ B選考

(ア) 申込区分

筆記試験、業績評価及び面接試験

(イ) 推薦区分

業績評価及び面接試験

ウ C選考

(ア) 申込区分

業績評価及び面接試験

(イ) 推薦区分

業績評価及び面接試験

(三) 特別選考

別に定める。

(補則)

第五 この基準に定めるもののほか、教育管理職の選考に関し必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

この基準は、平成一二年四月一日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成一五年四月一日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成一八年一一月二四日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成一九年五月一六日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二〇年四月一日から施行する。

(施行期日)

第一 この基準は、平成二一年四月一日から施行する。

(経過措置)

第二 平成二一年度に実施する教育管理職選考においては、第三(二)アの規定にかかわらず、A選考を受験できる者は次のとおりとする。

選考を実施する年度の末日において、年齢三二歳以上四四歳未満で、現に主幹教諭の職にある者、主任教諭若しくは主任養護教諭の職にある者又は国公私立学校教職経験歴七年以上で東京都公立学校教職経験を継続して三年以上有する者

二 平成二二年度に実施する教育管理職選考においては、第三(二)アの規定にかかわらず、A選考を受験できる者は次のとおりとする。

選考を実施する年度の末日において、年齢三二歳以上四四歳未満で、現に主幹教諭の職にある者又は主任教諭若しくは主任養護教諭の職にある者

三 平成二一年度に実施する教育管理職選考においては、第三(二)イの規定にかかわらず、B選考を受験できる者は次のとおりとする。

選考を実施する年度の末日において、年齢三九歳以上五四歳未満で、現に主幹教諭の職にある者又は年齢三九歳以上四四歳未満で、現に主任教諭若しくは主任養護教諭の職にあり、国公私立学校教職経験を一二年以上有する者

(施行期日)

この基準は、平成二一年四月二九日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二七年四月一日から施行する。

(施行期日)

この基準は、平成二九年四月一日から施行する。

教育管理職任用制度の改正について

平成11年6月10日 教人勤第47号

(平成11年6月10日施行)

体系情報
人事部勤労課
沿革情報
平成11年6月10日 教人勤第47号