○体罰の禁止並びに暴力の否定について
昭和四五年七月二二日
四五教指管発第三九二号
各区市町村教育委員会教育長
各教育庁出張所長
各都立学校長
このことについて、貴管下の各学校又は貴校職員に下記趣旨の徹底方格別の御配慮を願いたい。
記
体罰については、学校教育法第一一条によつて禁止されているところであるが、現在もなお教師が児童生徒に体罰を加えることが根絶されていない。
教師は、体罰禁止の意味を深く考え、法的に認められている懲戒と体罰との区別をよく理解しなければならない。児童生徒が問題行動を起こした場合など、教師は冷静に事態を考え、種々の方法、手段によつて児童生徒の反省を求めるべきであつて、熱心さのあまり、懲戒の範囲を逸脱して体罰を加えることは、厳に戒しめなければならない。
教師は厳正な態度で学校の秩序の維持を図らなければならないことはもちろんであるが、常に深い愛情をもつて児童生徒に接し、適切な指導を行なうことが必要である。
また、暴力否定の考え方が不徹底であるため、たとえばクラブ活動等においても、生徒間に暴力行為が行なわれる事実があつたことは、教育上きわめて憂慮すべきことである。
人間尊重の精神を基盤とする民主主義のもとにおいては、感情にかられて暴力をふるつたり、暴力をもつて自己の主張を通そうとしたりすることは、あくまで否定しなければならないことを、教師は生徒にたいしじゆうぶんに指導すべきである。
(参照)
昭和二三年一二月二二日調査二発一八「児童懲戒権の限界について」
昭和二四年八月二日 法務府発表 「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得」
昭和三二年七月一六日付文初中第三九三号「学校における暴力事件の根絶について」