○中学校における進路指導について

平成五年六月三〇日

五教指管第二二六号

各区市町村教育委員会教育長

中学校における進路指導については、「学校における適正な進路指導について」(昭和五一年六月一五日付五一教指管発第一八一号)等により、進路指導が適正に実施されるよう通知してきたところですが、依然として偏差値に依存した進路指導が行われてきた実態があり、その抜本的な改善が重要な課題であります。

東京都教育委員会は、文部事務次官通知「高等学校の入学者選抜について」(平成五年二月二二日付)を受け、平成五年二月二四日付けで同通知の趣旨に即して改善されるようお願いするとともに、東京都公立中学校進路指導問題検討委員会において、東京都の実態に即した中学校の進路指導の在り方について検討してまいりました。この度、同検討委員会報告(以下「検討委員会報告」という。)(別添一)として、まとめを得たところであります。

今後、中学校における進路指導については、文部事務次官通知の趣旨に即し、「検討委員会報告」を踏まえ、下記によることとします。

貴職におかれては、管下中学校に対してこの趣旨を周知徹底するとともに、各中学校において、進路指導の改善・充実が推進されるよう、特段の御配慮をお願いいたします。

一 中学校における進路指導の改善について

(一) 進路指導についての基本的な考え方

ア 生徒が自らの生き方について考え、主体的に進路を選択することができるよう指導する。

イ 進路の選択に関する指導は、生徒の能力・適性や進路希望等に基づいて行う。

ウ その際、教師は、助言・援助する立場にあるという基本的な認識をもつことが大切である。

(二) 「業者テスト」の偏差値に依存しない進路指導

ア 各中学校は、「業者テスト」の実施に一切関与しない。

イ 各中学校は、高等学校に偏差値を提供しない。

二 各中学校における進路指導の充実について

(一) 進路指導体制の確立

ア これからの進路指導の基本的な考え方について、全教職員の共通理解を図るとともに、進路指導に関する校内研修を実施する。

イ 校務分掌等の組織を見直し、校内における進路指導体制を確立する。

ウ 生徒の実態に即して、在学中の三年間を見通し、将来の生き方に反映できるよう進路指導計画を作成する。

エ 高等学校入学者選抜に関する情報を収集・分析し、生徒・保護者の進路相談に活用できる資料を作成する。

オ 校内実力テスト等の内容・方法を研究し、生徒の学習状況の把握に努める。

カ 生徒に各高等学校の特色を理解させるとともに、高等学校選択のために必要な情報を提供し、相談に応じる。

(二) 学習指導の充実

生徒の基礎学力を高め、新しい学力観や評価観に立った学習指導の一層の充実を図ることが必要であり、そのため、指導内容の改善や指導方法の工夫を行うなどして、生徒の学習意欲を高め、思考力や表現力等を育てる授業を展開する。

(三) 保護者の理解

これからの進路指導の在り方について、保護者の理解が十分に得られるよう積極的に働きかけるとともに、進路相談の場を設け、進路選択等にかかわる情報提供を適切に行う。

なお、東京都教育委員会は、東京都の実態に即して、中学校における進路指導の改善・充実と併せて、各都立高等学校における特色ある教育課程の編成・実施、都立高等学校入学者選抜の改善等の諸施策を推進しているところです。さらに、中学校における進路指導問題についての改善を推進するため、東京都進路指導問題協議会等において組織的・継続的に協議を進めるなど、引続き各区市町村教育委員会と連携・協力して取り組んでまいります。

貴教育委員会におかれても、管下中学校の進路指導が円滑に行われるよう、これからの進路指導の在り方を研究・協議するとともに、各高等学校との連携・協力を図りながら、組織的に情報の収集・分析を行い、その結果を公立中学校に提供できるよう、協議会の設置・運営をお願いいたします。

また、私立高等学校の「入試相談」にかかわる事項については、平成五年六月二九日に、別添二のように確認されましたのでお知らせします。

別添一・二 (略)

中学校における進路指導について

平成5年6月30日 教指管第226号

(平成5年6月30日施行)

体系情報
指導部義務教育指導課
沿革情報
平成5年6月30日 教指管第226号