○小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について

昭和四三年一〇月二一日

四三教指管収第三〇五号

各教育庁出張所長

各区、市教育委員会教育長

各都立学校長

小笠原村村長職務執行者

標記のことについて、文部省初等中等教育局長から通達があつたので、別添によりお知らせします。

ついては、通達の趣旨に即して遠足、修学旅行の計画と実施に関し、格段のご配慮をねがいます。

別添

○小学校、中学校、高等学校等の遠足修学旅行について

昭和四三年一〇月二日

文初中第四五〇号

各都道府県教育委員会

標記のことについてはくり返し通達してきたところであり、最近においては、特に、その事故防止について昭和四三年六月一〇日付文初中第三三八号をもつて通知したところであります。

貴委員会におかれても、すでにこれらの趣旨の徹底についてじゆうぶん御配慮のことと思いますが、このたび、遠足・修学旅行の計画と実施に関し、特に留意すべき事項を下記のとおりまとめました。

ついては、貴委員会におかれては、この趣旨を御了知のうえ、各学校における遠足・修学旅行が適切に運営され、特に事故の絶無が期せられるよう管下の市町村教育委員会および学校に対し、いつそうの御指導をお願いします。

また、盲学校、聾学校および養護学校ならびに小学校、中学校の特殊学級における遠足・修学旅行については、児童生徒の心身の障害の種類や程度に応じ、特別な配慮がなされるように御指導かたあわせてお願いします。

なお、貴委員会において作成している遠足・修学旅行の基準等についても再検討され、必要に応じその改善を図られるよう御配慮願います。

Ⅰ 遠足・修学旅行の計画と実施

一 遠足・修学旅行は学校の教育課程上「学校行事等」に位置づけられる教育活動であるので、小学校、中学校および高等学校の学習指導要領、学校行事等指導書等に示すところにより、そのねらいを明確にし、その内容をじゆうぶん吟味して、教育的効果を高めるようにすること。

二 学校における教育活動は、一般にその教育の場が学校内に限定されているが、遠足・修学旅行は学校外に教育の場を求めて行なわれる活動であるので、学校内では得がたい学習を行なう機会として有効に活動するようその計画と実施にあたつて学校の創意と教育的識見をじゆうぶんに生かし、いわゆる物見遊山や観光旅行に終わらせることのないようにすること。

三 学校において、遠足・修学旅行を計画、実施するにあたつては、特に次の事項に留意すること。

(一) 原則としてすべての児童生徒が参加できるように計画すること。なお、参加できない児童生徒がある場合には、その指導についても遺憾のないよう配慮すること。

(二) 参加人員の多い場合は、できるだけ大集団の行動を避け、適当な人数の集団に分けるなどの方法をとり、指導の効果を高めるとともに、事故の絶無を期すること。

(三) 目的地や見学地を精選し、ゆとりのある計画をたて、児童生徒の疲労の軽減を図るとともに、教育的効果を高めるようにすること。

なお、小学校にあつては、宿泊を伴う計画のある場合にも車船中泊を避け、中学校、高等学校にあつても、往復とも車船中泊をすることはできるだけ避けること。

(四) 引率教職員の数は、必要にしてじゆうぶんなものとするとともに、引率責任者を明確にするなど、その指導組織や事務分担を明らかにし、常に児童生徒を掌握し、秩序ある行動と安全が保てるように配慮すること。

(五) 引率責任者は、計画作成の中心となり、また、その実施にあたつては、的確に状況を判断し、予期しない事情の変化に際しては、日程、経路、目的地を変更する等臨機応変の措置をとること。

(六) 引率教職員の修学旅行中における勤務については、勤務時間の割り振りを適切にするなど慎重な配慮をすること。

(七) 引率教職員が、みずからの責務を自覚し、自己の行動を厳に慎むようにすること。

(八) できるだけ簡素で実質的な計画をたて、実施に必要な経費をなるべく低廉にすること。

また、児童生徒の所持金、服装、携行品などについても保護者の負担の軽減に努め、このことについて保護者の協力を得るようにすること。

なお、経費の徴収については、一時に過重な負担にならないよう、計画的に積立貯金をさせるなどの方法をくふうするとともに、金銭の保管等について遺漏のないよう注意すること。

(九) 関係業者を利用する場合には、業者にまかせきりにすることなく、学校が主体性をもつて計画、実施にあたること。また、関係業者については信用度等をじゆうぶん調査したうえで利用し、また、これと不明朗な関係をもつことのないよう厳に注意すること。

(一〇) 実施後、参加教職員を中心として、細部にわたりその評価・反省を行ない、次回以降の計画や実施に役だてるようにすること。

四 実施中および事前事後の指導について、特に次の事項に留意してその徹底を図ること。

(一) 遠足・修学旅行の実施のねらいや指導内容をできるだけ平常における各教科等の指導に関連づけること。

(二) 自然保護や文化財尊重の態度を育成すること。

(三) 集団の秩序を乱したり、他の人の迷惑になる行動をすることのないように指導すること。

また、集団行動や共同生活の体験をとおして望ましい態度や習慣を身につけること。

(四) 事後指導として、実施中における学習や行動について、児童生徒に自己評価させる機会を設け、実施の成果をじゆうぶん生かすようにすること。

五 教育委員会は、所管の学校が作成した計画について、その日程、目的地、見学先、経路、交通機関等をじゆうぶん検討し、特に、児童生徒の安全と健康のうえで無理がなく適切なものとなるよう指導すること。

Ⅱ 遠足・修学旅行における事故防止

遠足・修学旅行における事故の絶無を期するため、特に次の事項に留意すること。

一 全般的事項

(一) 平常から道徳教育や生徒指導の充実に努め、特に事前の安全指導の徹底を図ること。

(二) 経路、交通機関等について、事前にじゆうぶん調査し、検討しておくこと。特に、新しい経路や交通機関を選ぶ場合には、細心の注意を払い、より入念に検討すること。

(三) 宿泊施設の選定にあたつては、その周辺の環境について、教育的にじゆうぶん検討するとともに、安全、保健衛生についても特に配慮すること。

また、宿泊施設の状況、特に非常口や危険箇所などを調査し、適切な措置をとり、万一の災害に備え、退避、救助等について配慮しておくこと。

(四) 気象状況等にじゆうぶん注意し、天候その他の異変の際は、予定を変更するなど、臨機応変の措置をとること。

(五) 万一、事故が発生した場合には、すみやかに医療機関その他の関係方面に連絡をとるなど、適切な措置をとること。

二 交通事故に関する事項

(一) 車船を利用する場合は、安全を旨とし、定員を守り、車船中における秩序の維持に努め、整然と乗下車船させ、その前後における人数の確認を徹底すること。

また、車船中の万一の事故に備えて避難の方法を検討し、これを児童生徒に周知徹底しておくこと。

(二) バスを夜間あるいは早朝に利用したり、長期間にわたり継続乗車することは避けること。

(三) 利用する交通機関の関係責任者と事前に連絡をとり、じゆうぶんな打ち合わせを行ない、特に、安全について確認すること。また、バスの契約にあたつては、運転手の技倆、経験等に注意すること。

三 保健衛生に関する事項

(一) 事前にひとりひとりの児童生徒の健康状態を調べ、遠足・修学旅行に参加することが困難と認められる児童生徒については、特別な配慮をすること。

(二) 関係の保健所との連絡をとり、目的地等の衛生状態の調査や衛生監視について協力を求めること。

(三) 実施中の健康管理を徹底するため、なるべく養護教員または学校医を参加させること。

(四) 実施中、常に児童生徒の健康状態に注意するとともに、食物や飲料水についても、細心の注意を払うこと。特に、食中毒等の起りやすい時期の健康の管理については特別の配慮をすること。

また、実施後の児童生徒の健康状態についてもじゆうぶん注意し、必要な措置を行なうこと。

四 非行等に関する事項

(一) 平常から、ひとりひとりの児童生徒の理解を深め、その指導に努めるとともに、実施中において児童生徒が非行を犯したり、被害を受けたりすることのないよう注意すること。

(二) 児童生徒の掌握をいつそう徹底し、自由行動中においても規律を守らせ、放じゆうに流れることのないよう指導し、特に、飲酒、喫煙、不純異性交遊等の非行におちいることのないよう厳に注意すること。

(三) 所持品の整理整頓を励行させ、紛失や盗難等の事故がおこらないように注意すること。

(備考)

以上のほか、事故防止については、昭和二八年七月一〇日付文初中第四一三号、昭和三〇年九月一三日付文初中第三七二号および昭和三六年六月三日付国初第三七号を、また、特に保健衛生については、昭和二八年五月一二日付文初保第二六〇号および昭和三〇年四月四日付文初中第一六五号を参照して遺漏のないようにすること。

小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について

昭和43年10月21日 教指管収第305号

(昭和43年10月21日施行)

体系情報
指導部指導企画課
沿革情報
昭和43年10月21日 教指管収第305号