○体育活動に起因する事故防止の徹底について

昭和四八年六月一一日

四八教体体発第八一号

区市町村教育委員会教育長

多摩教育事務所長

教育庁出張所長

小笠原村長職務執行者

都立学校長

このことについては、かねてより格段の御配慮をされていることと思いますが、体育が身体活動を通して行われるという特性から、生命にかかわる事故が発生している場合も少なくありません。

本年度も、教科の体育活動はもとより、水泳、登山、体育的クラブ活動など、多様な諸活動が行われる時期を迎えました。積極的な体力づくりをめざしながら、その実施に当たつてはいつそう安全管理体制を確立し、これらに伴う事故の皆無を期する必要があります。

貴職におかれては、下記事項について特に配慮するとともに、従来の通達・通知等を再確認し、いつそう事故防止の徹底を図るよう、管下の学校並びに貴校の教職員に対し、特段の御指導をお願いします。

Ⅰ 共通事項

一 一般的事項

(一) 全教職員が事故防止の意義をじゆうぶん認識し、万全の配慮のもとに指導に当たること。

(二) 運動種目の特性から予測される事故の内容を検討し、事故防止の立場から計画や運営に当たること。

(三) 競技のルールを厳守する態度の育成に努めること。

二 具体的事項

(一) 児童・生徒の実態をは握し、それに基づいて適切な指導を行なうこと。

ア 指導計画は、児童・生徒の心身の発育発達や性別、体力、経験などを適切には握して作成する。

イ 平素から児童・生徒の健康状態のは握に努め、特に心臓疾患など健康上注意を要する者を個々には握する。

ウ 学校行事の前後など、生徒の体力が低下している時期には、特に過激な運動を避ける。

エ 運動時には、児童・生徒が過度の競争心にかられることがあるので、そのような心理的特徴を認識のうえ指導する。

(二) 学習環境や用具について配慮すること。

ア 固定施設や用具等の安全について総点検する。

イ 活動場所の状態に即した用具の配置や練習隊形をくふうする。

ウ 自由時の運動場使用規定を設けるなどして安全確保に努める。

エ 砲丸や円盤など危険を予想される用具は、特に生徒が勝手に持ち出したり使用したりしないよう、その管理を徹底する。

(三) 自然的条件に留意して指導を行なうこと。

ア 気象条件に即して運動の内容や方法を決める。

イ 光化学スモツグ緊急時対策を徹底する。

Ⅱ 水泳

一 事前の健康診断などにより、児童・生徒の健康状態のは握に努めること。

二 事故防止に関する心得について、児童・生徒の指導はもちろん、家庭との連絡を密にしてその徹底に努めること。

三 泳力別に、段階的に指導すること。

四 気象条件や児童・生徒の経験を考慮し、一回の入水時間が長時間にならないよう配慮すること。

五 指導者の役割を明確にするとともに、監視の分担区域や方法を確認すること。

六 飛び込みの指導に当たつては、水深と飛び込む場所の高さとの関係を確認するとともに、安全な飛び込みを行なうよう指導すること。

七 毎時間プールの水の遊離残留塩素を測定し、〇・四PPM以上一・〇PPM以下になるようにすること。

Ⅲ 登山

一 計画や実施に当たつては、特に「生命の安全」を他のすべてに優先させること。

二 計画に当たつては、事前の調査研究を密にし、生活技術、歩行技術などの基礎技術の習得に重点をおくこと。

三 気象条件の急変や突発事故を想定して、それらに対処できるように行動計画を立てること。

四 アイゼン、ザイルなどを使用する登はんや、グリセードは行なわないこと。

五 男女同行で計画する場合には、男女別に行動計画を立てること。

六 キャンプ地には、少なくとも日没二時間前までに到着すること。

Ⅳ 体育的行事、体育的クラブ活動

一 体育的行事

(一) 種目の決定に当たつては、児童・生徒の技能や体力の程度を配慮すること。

(二) 健康状態の優れない児童・生徒が、学級などの推せんによつて無理に出場することがないよう留意すること。

(三) 児童・生徒の対抗意識が過度にならないよう配慮すること。

(四) 互いに入り乱れて行なう運動種目については、学年の異なる対抗戦は避けること。

(五) 棒倒しや騎馬戦等の演技を実施する場合には、安全確保の見地からルールを決めること。

二 体育的クラブ活動

(一) 指導に当たつては、特に新入部員や第一学年生徒の健康管理に留意すること。

(二) 年間計画及び一日の練習の順序や方法について、安全面から検討を加えること。

(三) 砲丸投げや円盤投げなどの練習に際しては、特に使用する場所の範囲、安全確保のための役割の分担等を明確にすること。

Ⅴ これまでに出されている主な通達・通知及び指導資料(略)

[参考]

(一) 通達・通知

年月日

収発番号

別名

40・7・1

教体体発第一九六号

プール指導・臨海施設・林間施設・登山キャンプ・運動クラブ合宿における事故防止について(通達)

46・7・12

46教体体発第一六一号

校内の施設を利用して行なう運動クラブの合宿について

48・6・11

48教体体発第八一号

体育活動に起因する事故防止の徹底について

59・6・6

59教指管第七五号

宿泊を伴う学校行事の届出について

3・3・19

2教体健第七六号

心臓病の管理・指導を要する児童・生徒の体育活動上の事故防止について

5・3・8

4教体保第七五一号

学校プールの衛生管理・安全管理等について(通知)

5・4・1

4教体保第七四三号

光化学スモッグ対策について(通知)

9・4・25

9教体健第三五号

水泳等の事故防止について(通知)

(二) 指導資料

発行年月

資料名

配布対象

45・3

運動時における事故防止の手引

全校

48・3

運動時における事故防止の手引――第二集

中・高校

49・2

運動時における事故防止の手引――第三集

小学校

53・3

運動時における事故防止の手引――器械運動、登山

高校

53・4

光化学スモッグ対策の手引

全校

56・3

運動時における事故防止の手引 柔道・ラグビー

高校

58・3

学校体育関係通達集(昭和57年版)

全校

2・3

体育活動に起因する事故防止の手引――高等学校編

高校

3・3

体育活動に起因する事故防止の手引――中学校編

中学校

4・3

体育活動に起因する事故防止の手引――小学校編

小学校

5・3

学校体育関係通知・通達集(平成五年版)

全校

体育活動に起因する事故防止の徹底について

昭和48年6月11日 教体体発第81号

(昭和48年6月11日施行)

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