○登山活動の遭難事故防止について
昭和四六年一〇月五日
四六教体体発第二二三号
都立高等学校長
生徒の登山活動の実施にあたつては、その教育的意義を達成するため、指導と管理の面から十分な配慮のもとに、「生命の安全」を第一として行なう必要があることはいうまでもありません。
しかしながら、最近、このような配慮が不十分と思われる不慮の事故が発生していることは、まことに遺憾であります。
ひとたび遭難事故が発生した場合には、遭難者やその家族の不幸はもちろん、遭難者の捜索などのため、関係機関や地元の関係者にひじような迷惑をかけている実状であります。
この現状にかんがみ、山岳部、登山部、ワンダーフオーゲル部などの登山活動における計画の立案や実施にあたつては、行政機関と学校が一体となり、遭難事故の皆無を願つて一層の努力をする必要があります。
貴職におかれては、下記事項、及びこれまでに出されている通達(資料一)指導資料(資料二)により、指導の徹底を図り、遭難事故防止に万全の措置を講じられるよう、格段の配慮をお願いします。
なお、「宿泊を伴う学校行事の実施計画書」の提出については従来の通りでありますが、特に山岳部、登山部、ワンダーフオーゲル部などが行なう登山活動及び一般生徒の集団登山については、下記五により、計画の詳細を記載した資料を必ず添付のうえ、申請されるようお願いします。
記
一 全般的事項
(一) 計画や実施にあたつては、「生命の安全」を他のすべてに優先させること。
(二) 計画の立案にあたつては、従来の慣行にとらわれることなく、計画の目的や生徒の実態を確認し、関係職員の意見を十分聴取すること。
(三) 突発事故を想定して、多面的にその対策をたてておくこと。
二 重点配慮事項
(一) 山の選定にあたつては、事故や悪天候の場合を考慮し、安全に対処できるようなコースを選べる場所とすること。
(二) 計画にあたつては、事前に登山地の気象状況、コースの状況などについて実地踏査を行なうこと。
(三) 指導者のうち少なくとも一名は、選定した山の登山経験を有する者とすること。
(四) 行動計画は、十分時間的余裕をもつて行動できるように立案すること。
(五) 必ず実施直前に参加者の健康診断を実施すること。
(六) 天気図などにより、実施期間中の気象状況を予測して、実施の有無を決めること。
(七) 往路にやむを得ず夜行列車を利用するときは、翌日の行動に適切な制限を加えること。
(八) 行動中に気象が急変した場合などには、機を失せず安全な行動をとること。
(九) 実施期日は、試験等で体力が低下しているような時期を避けること。
三 (略)
四 これまでに出されている主な通達、及び指導資料(略)
五 「宿泊を伴う学校行事の実施計画書」の提出について
(一) 「コース略図」について
従来から、計画書に添付されている「コース略図」について、特に次の点を配慮すること。
ア 「コース略図」は、1/25,000程度(ガイドブツクの概念図など)とし、行動計画を明らかにする。
イ 最寄駅など、交通機関と行動計画を明らかにする。
ウ おもな目標点(ポイント)の標高及び通過予定時刻を記入する。(略図に記入することが無理な場合には、別紙を用いてもよい。)
エ 事故や悪天候の場合の安全な下山コースを明示する。
(二) (略)
注 宿泊を伴う学校行事の届出について〔平一八年一八教指管三二〕
[参考]
(一) 通達・通知
年月日 | 収発番号 | 件名 |
40・7・1 | 教体体発第一九六号 | プール指導、臨海施設、林間施設、登山、キャンプ、運動クラブ合宿における事故防止について(通達) |
41・6・7 | 41教体体発第一九六号 | 登山(山岳)部の夏山合宿訓練に伴う遭難防止と一般生徒の夏山集団登山の事故防止について(通達) |
59・6・6 | 59教指管第七五号 | 宿泊を伴う学校行事の届出について |
63・4・13 | 63教体体発第四五号 | 春山遭難事故防止について |
8・11・15 | 8教体健発第一四〇号 | 冬山登山の事故防止について |
9・4・8 | 9教体健発第一三号 | 連休登山の事故防止について |
(二) 指導資料
ア 「高等学校における登山活動の遭難事故防止」(昭和四三年四月)
イ 学校体育関係通知・通達集(平成五年三月)
ウ 運動時における事故防止の手引―器械運動、登山(昭和五五年三月)