○都立学校における児童・生徒等に関するセクシュアル・ハラスメントの防止に関する要綱の制定について

平成15年3月10日

14教人職第1661号

都立学校長

教職員の服務の厳正については、日ごろから指導を行っているところである。

しかし、セクシュアル・ハラスメント及びわいせつ行為にかかわる服務事故は、一部の者とはいえ、悪質な事例が後を絶たない状況にある。

そのため、児童・生徒等に対するセクシュアル・ハラスメント及びわいせつ行為にかかわる服務事故を未然に防ぐことを目的として、新たに「都立学校における児童・生徒等に関するセクシュアル・ハラスメントの防止に関する要綱」(以下「本要綱」という。)を別添のとおり制定した。

ついては、本要綱の趣旨を踏まえ、教職員にその使命と職責の自覚を促し、児童・生徒、保護者及び都民の信頼並びに期待にこたえるよう、より一層の服務規律の遵守に努めていただきたい。

都立学校における児童・生徒等に関するセクシュアル・ハラスメントの防止に関する要綱

(目的)

第1条 この要綱は、都立学校において児童・生徒及び学生(以下「児童・生徒等」という。)に関するセクシュアル・ハラスメントの防止のための措置及びセクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱においてセクシュアル・ハラスメントとは、次のものをいう。

(1) 職員(都立学校に勤務する学校教育法第50条、同法第70条の7及び同法第76条に規定する者をいう。以下同じ。)がその勤務する学校(当該職員がその職務を遂行するすべての場所を含む。この条において同じ。)において、児童・生徒等を不快にさせる性的な言動

(2) 職員が、その職務にかかわる児童・生徒等を不快にさせる学校外における性的な言動

2 この要綱においてセクシュアル・ハラスメントに起因する問題とは、次のものをいう。

(1) セクシュアル・ハラスメントのため児童・生徒等の修学上における環境が害されること。

(2) セクシュアル・ハラスメントへの対応に起因して、児童・生徒等が修学上の不利益を受けること。

(東京都教育委員会教育長の責務)

第3条 東京都教育委員会教育長(以下「教育長」という。)は、児童・生徒等の修学上の環境を確保するため、セクシュアル・ハラスメントの防止に努めるとともに、セクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合において、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

2 教育長は、セクシュアル・ハラスメントに関する相談及び苦情の申出(以下「相談・苦情」という。)、相談・苦情に係る調査への協力その他セクシュアル・ハラスメントへの対応に起因して、児童・生徒等及びその保護者(その保護者に準じた者を含む。以下「保護者等」という。)が不利益を受けることがないよう配慮しなければならない。

(研修等)

第4条 教育長は、セクシュアル・ハラスメントの防止を図るため、職員に対し必要な研修等を実施しなければならない。

(センター相談受付等)

第5条 児童・生徒等及び保護者等から相談・苦情を受け、事実関係を調査し、必要な措置を行うため、セクシュアル・ハラスメントを受けた児童・生徒等及び保護者等(以下「被害者」という。)からの相談については、東京都教育相談センターの「電話相談総合受付」(以下「センター相談受付」という。)において受け付けるものとする。

2 東京都教育相談センター所長(以下「センター所長」という。)は、センター相談受付にセクシュアル・ハラスメントに関する相談員(以下「センター相談員」という。)を置く。

(センター相談員の選任)

第6条 センター所長は、センター相談員を次のとおり選任する。

(1) センター相談員は、常勤の一般職員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める者(以下「再任用短時間勤務職員」という。)並びに同法第3条第3項第3号の嘱託員から選任する。

(2) センター相談員は、必ず常勤の一般職員を1名以上選任する。

(3) センター相談員は、少なくとも男女一名ずつ選任する。

(センター相談員の職務)

第7条 センター相談員は、セクシュアル・ハラスメントに関する事案(以下「事案」という。)について、被害者等から相談・苦情を受け、当該関係者に対し適切な指導及び助言を行う。

2 センター相談員は、前項に規定する職務を果たすため、必要な調査等を行うことができる。ただし、被害者及びその関係者(職員を除く。)への調査等については、本人の同意の下に実施することとする。

(校長の責務)

第8条 校長は、セクシュアル・ハラスメント予防のための啓発を行うとともに、被害者から相談・苦情を受けた場合には、校内で解決できる事案について迅速かつ適切な措置を講じる。

2 校長は、事案及び事案の対応について、センター相談受付に報告しなければならない。

(校内相談窓口等の設置等)

第9条 校長は、前条に規定する責務を果たすため、校内に相談窓口(以下「校内相談窓口」という。)を設置する。

2 校長は、校内相談窓口に校内セクシュアル・ハラスメントに関する相談員(以下「校内相談員」という。)を置く。

3 校長は、センター相談受付及び校内相談窓口並びに東京都が所管する相談機関(以下「他の相談機関」という。)について、児童・生徒等及び保護者等に周知しなければならない。

(校内相談員の選任)

第10条 校長は、校内相談窓口の相談員を次のとおり選任する。

(1) 校内相談員は、常勤の一般職員及び再任用短時間勤務職員の中から選任する。

(2) 校内相談員は、必ず常勤の一般職員を1名以上選任する。

(3) 校内相談員は、少なくとも男女一名ずつ選任する。

(校内相談員の職務)

第11条 校内相談員は、事案について、被害者等から相談・苦情を受け、当該関係者に対し適切な指導及び助言を行う。

2 校内相談員は、前項に規定する職務を果たすため、必要な調査等を行うことができる。

ただし、被害者及びその関係者(職員を除く。)への調査等については、本人の同意の下に実施することとする。

(相談・苦情の申出)

第12条 相談・苦情の申出は、被害者に限らず、他の児童・生徒等及び保護者等が校内相談窓口、校長及びセンター相談受付のいずれかに対しても行うことができる。

2 相談・苦情の申出は、面談、電話又は文書により受け付けるものとする。

(プライバシーの保護)

第13条 センター相談員、校長及び校内相談員は、相談・苦情の対応に当たって、児童・生徒等及び保護者等のプライバシーに十分配慮し、知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

(他の相談機関との連携)

第14条 センター相談受付は、他の相談機関と十分連携の上、他の相談機関が受けた事案についても、被害者の求めに応じて適切に対応しなければならない。

(報告等)

第15条 センター所長は、センター相談受付が取り扱った事案について、相談内容を確認の上、教育庁人事部長(以下「人事部長」という。)及び教育庁指導部長(以下「指導部長」という。)に速やかに報告する。

2 センター所長は、指導内容にかかわる事案について、必要に応じて学校長に対し指導及び助言を行うものとする。

(措置の決定)

第16条 人事部長は、センター所長の報告を受け、公正な調査の結果、セクシュアル・ハラスメントの事実が確認された場合、必要に応じて、次に掲げる措置を講じるものとする。

(1) 被害者とその加害者(以下「加害者」という。)との関係改善に向けての支援

(2) 児童・生徒等の修学上における環境の改善

(3) 加害者に対する人事管理上の措置

(4) 前3号に掲げるもののほか、特に必要な措置

(その他)

第17条 この要綱に定めるもののほか、この要綱を実施するために必要な事項は、人事部長、指導部長及びセンター所長が協議して定める。

この要綱は、平成15年4月1日から施行する。

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平成15年3月10日 教人職第1661号

(平成17年8月19日施行)