○通勤手当の支給について
平成16年3月31日
15教人勤第321号
区市町村教育委員会教育長
都立学校長
多摩教育事務所長
教育庁出張所長
東京都教職員研修センター所長
東京都学校経営支援センター所長
教育庁関係部長
このことについて、下記のとおり定めたので、平成16年4月1日以降はこれにより事務取扱いをされるよう、通知する。
なお、「通勤手当の支給について」(昭和52年3月28日付51教人勤第163号)、「交通機関利用者にかかる通勤手当の支給について(通知)」(平成元年3月16日付63教人勤第168号)、「通勤所要回数の変更について(通知)」(平成4年6月26日付4教人勤第102号)及び「学校職員の給与に関する条例等の一部改正に伴う通勤手当の取扱いについて(通知)」(平成8年3月28日付7教人勤第272号)は本通知をもって廃止する。
記
1 交通機関及び有料の道路の範囲
学校職員の給与に関する条例(昭和31年東京都条例第68号。以下「学校職員の給与条例」という。)第14条及び職員の給与に関する条例(昭和26年東京都条例第75号。以下「給与条例」という。)第12条に規定する「交通機関」とは、運賃を徴して、定められた経路を定期的に運行され、人の輸送に用いられる、鉄道、軌道、一般乗合旅客自動車及び船舶をいい、「有料の道路」とは、法令の規定により、人又は人を輸送する車両の通行又は利用について料金を徴する道路又は道路と一体となってその効用が全うされるもの(隧道、橋梁、道路用昇降機等)をいう。
【具体例】
モノレール(遊覧目的で設置されているものを除く。)も、交通機関に含む。
2 運賃等相当額の算出の場合の取扱い及び基準
(1) 交通機関の乗継ぎ利用
ア 交通機関を乗り継いで通勤する職員の交通機関のうち、その者の住居又は勤務庁から通常徒歩によることを例とする距離内(1,000メートル未満)においてのみ利用する交通機関は、運賃等の額の算出の基礎となる交通機関としない。
この場合においても、乗継ぎ駅又は停留所(以下「乗継ぎ駅」という。)から連続する交通機関の区間(600メートル以上のものに限る。)で、一般に利用されているものであり、かつ、職員が毎日通勤の往復に利用している場合には、これを経済的合理的な通勤方法であると認め、所属長は定期券等の確認等により、職員が利用する交通機関を運賃等の額の算出の基礎となる交通機関とすることができる。
【具体例】
(ア) 乗継ぎとする例
(イ) 乗継ぎとしない例(ただし、合理的でないものを除く。)
・鉄道(同一会社)の異なる路線の相互を利用する場合
・地下鉄(東京地下鉄又は都営地下鉄)と鉄道が相互に乗り入れているものを利用する場合
なお、この場合における判断基準は、以下のとおりである。
(ア) 職員の住居又は勤務庁から乗継ぎ駅に至るまでの交通機関利用による通勤所要時間が、これを徒歩によった場合の通勤所要時間以下であること。
(イ) 職員の住居又は勤務庁から乗継ぎ駅に至るまでの交通機関利用による通勤距離とこれを徒歩によった場合の通勤距離がほぼ等しいこと。
イ なお、身体障害者福祉法施行規則(昭和25年厚生省令第15号)別表第5号に掲げる程度の身体障害のため歩行することが著しく困難な職員については、この距離制限は設けない。
(2) 無料乗車券の取扱い
職員が無料乗車券(株主優待乗車券等)を使用して通勤する場合は、これを使用して乗車する区間の運賃を手当の算出基礎とすることはできない。
(3) 運賃等相当額の算出の基礎
運賃等相当額には、特急券、急行券、グリーン券、寝台券、指定席券及び乗車整理券等の料金を含めない。
3 通勤不便公署の指定及び解除
職員の通勤手当に関する規則(昭和33年人事委員会規則第2号。以下「規則」という。)第8条第1項に規定する勤務庁(以下「通勤不便公署」という。)の指定及び解除は、次の要領で行う。
(1) 申請方法
(2) 様式例2の記入要領
ア 公署付近の地図
(ア) 公署付近の地図は、縮尺5万分の1以上のものとし、その公署の立地する地域を範囲(公署を中心とした半径2キロメートルの範囲を含む。)とするものによる。
また、公署付近の地図は別添としてもよい。
(イ) 略図の場合は、おおよその縮尺又は距離を記入しておくこと。
(ウ) 至近の駅又は停留所は、職員が利用しているか否かを問わないものであり、判断の要素となるものは総て記入し、併せて路線(朱記)も記入すること。
イ 交通の便
(ア) 駅名、停留所名のほか路線名(起点及び終点も含む。)、路線ごとの1日の運行本数及び路線の合流の状況等所要の事項を記入する。
(イ) 運行本数は原則として往復で算定するが、それによることができない場合は、行先別に片道の本数を併記する等により交通の便を明らかにすること。
ウ 特記事項
運行本数が曜日、季節により異なる場合等1から4までの記入事項に付記すべき事項で判断の対象となりうる事項を記入すること。
(3) 指定の効力
指定された期日を通勤不便公署としての要件具備の日とする。
(4) 解除申請
ア 指定公署の解除
通勤不便公署の要件に該当しなくなった場合においては、当然に一般の公署と同様の取扱いとなるが、解除の申請は行うこと。
イ 解除の場合の申請方法
(ア) 様式例1の件名を「通勤不便公署の指定の解除について」とし、「下記の公署」以下を「下記の公署が指定されていたが、要件の変化により解除方申請する。」とする。
(イ) 解除申請をすることに至った事情を様式例2の中の該当部分に記入して添付する。
(5) 解除の効力
解除は、要件を欠くに至った時期に発効する。
(6) 区市町村立学校長等の報告
区市町村立学校長は、当該学校が通勤不便公署の要件を具備するに至ったとき、又はこれを欠くに至ったときは、速やかに町村立学校にあっては町村教育委員会経由のうえ3(1)の申請を行う者に報告しなければならない。共同調理場の長についても同様とする。(報告の様式は、3(1)の様式1及び様式2に準ずるものとする。)
4 下肢の障害の範囲及び程度
規則第8条第2項に規定する障害の範囲及び程度は、身体障害者手帳の交付を受けている者のうち、次表に該当するものをいう。
障害の範囲 | 障害の程度 | |
視覚障害 | 1級、2級、3級、4級の1 | |
聴覚障害 | 2級、3級 | |
平衡機能障害 | 3級、5級 | |
肢体不自由 | 上肢 | 1級、2級 |
下肢 | 1級、2級、3級、4級、5級、6級 | |
体幹 | 1級、2級、3級、5級 | |
心臓機能障害 | 1級、3級、4級 | |
じん臓機能障害 | 1級、3級、4級 | |
呼吸器機能障害 | 1級、3級、4級 |
級別については、身体障害者福祉法施行規則別表第5号参照
5 勤務庁の定義
「勤務庁」とは、出勤を確認しうる措置(出勤簿の備え付け、監督的立場にある者の確認等)がとられ、かつ、そこに常時勤務することが建て前となっている公署をいう。
この場合、短期間でその所在が転々と異動するような公署はこれに含まず、少なくとも1か月(月の初日から末日までの期間をいう。以下7において同じ。)を超える期間所在の異動がないものについては、勤務庁とすることができる。
6 所属長の定義
(1) 通勤手当支給規程(昭和33年東京都教育委員会訓令甲第7号。以下「規程」という。)に定める「所属長」とは、次のとおりとする。
本庁…総務課長
教育事務所…給与担当課長
出張所…給与担当課長
事業所…給与担当課長
学校…学校長(都立学校にあっては当該学校を管轄する東京都学校経営支援センターの給与主管課長とする。)
共同調理場…共同調理場の長
(2) 所属長は、職員から提出された通勤届を確認し、手当の額を決定した後、保管しなければならない。
(3) 区市町村立学校長は、規程第4条の規定に基づき通勤手当の月額を決定し、又は改定したときは、速やかに区市立、瑞穂町立、日の出町立、檜原村立及び奥多摩町立の学校にあっては区市町村教育委員会教育長、上記以外の町村立学校にあっては町村教育委員会経由のうえ教育庁出張所長に報告しなければならない。共同調理場の長についても同様とする。(報告の様式は、通勤届と同様とする。)
7 支給対象期間を別に定める場合
支給対象期間は、原則として、4月1日から9月30日まで及び10月1日から翌年3月31日までの、それぞれ6か月の期間である。
ただし、次表に掲げる場合において、事前に、支給対象期間内における通勤経路等の変更が確実であると判断できる場合は、別に6か月を限度として1か月単位で支給対象期間を定めることができる。
この場合、当該支給対象期間の初日から通勤経路の変更等が生じる日の属する月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月の前月)の末日までを一の支給対象期間とし、通勤経路の変更等が生じる日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)の初日から当該支給対象期間の末日までを一の支給対象期間とする。
また、下記(2)~(4)において、開始日等と終了日が同一支給対象期間内にある場合については、当該支給対象期間の初日から開始日等の属する月(その日が月の初日であるときは、その日の属する日の前月)の末日までを一の支給対象期間、開始日等の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)の初日から終了日の属する月(その日が月の初日であるときはその日の属する月の前月)の末日までを一の支給対象期間とし、終了日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)の初日から当該支給対象期間の末日までを一の支給対象期間とする。
支給対象期間を別に定める場合 | 通勤経路の変更等が生じる日 |
(1) 在勤する公署の移転が予定されている場合 | 移転予定日 |
(2) 一定期間(1か月以上)の研修受講が予定されている場合 | 研修開始日及び研修終了日 |
(3) 一定期間(1か月以上)の出張が予定されている場合 | 出張開始日及び出張終了日 |
(4) その他、上記の事情に類するものとして所属長が認定する場合 | 当該事実発生日及び終了日 |
【具体例(1)】
【具体例(2)】
8 運賃等相当額について
交通機関等利用者の通勤手当額は、運賃等相当額である。運賃等相当額は、交通機関等を利用する区間において、定期券による運賃等相当額の算出方法による額と回数乗車券等による運賃等相当額の算出方法による額とを比較し、低廉となる方の額を支給する。
(1) 定期券による運賃等相当額の算出方法
定期券を使用することが最も経済的かつ合理的であると認められる交通機関等を利用する区間(乗継区間等を含む。)については、下表の支給月数に応じた通用期間の定期券の組合せによる価額の総額を支給する。その際、同一の通用期間について価額の異なる定期券を発行している場合は、最も低廉となる定期券の価額により算出するものとする。
なお、通用期間の異なる定期券を組み合わせる場合においては、下表の順に使用するものとして取り扱う。
規則別表
支給月数 | 通用期間の定期券の組合せ |
6 | 6か月 |
5 | 3か月、1か月、1か月 |
4 | 3か月、1か月 |
3 | 3か月 |
2 | 1か月、1か月 |
1 | 1か月 |
(注1)通用期間6か月の定期券が発行されていない場合は、「6か月」を「3か月、3か月」と読み替える。
(注2)通用期間3か月の定期券が発行されていない場合は、「3か月」を「1か月、1か月、1か月」と読み替える。
(2) 回数乗車券等による運賃等相当額の算出方法
回数乗車券その他の定期券以外のものを使用することが最も経済的かつ合理的であると認められる交通機関等を利用する区間(乗継区間等を含む。)については、当該区間についての通勤所要回数分の運賃等の額であって、最も低廉となるもの(円位未満端数切捨て)に支給月数を乗じて得た額(以下「回数券価額等」という。)により算出するものとする。
ア 通勤所要回数
(ア) 交替制勤務者等の定義
通勤所要回数を考える上での交替制勤務者等とは、以下のものをいう。
① 交替制勤務に従事する職員等で平均1か月当たりの通勤所要回数の少ないもの(定年前再任用短時間勤務職員(地方公務員法(昭和25年法律第261号。)第22条の4第1項の規定により採用された職員をいう。)、暫定再任用短時間勤務職員(地方公務員法の一部を改正する法律(令和3年法律第63号)附則第6条第1項又は第2項(これらの規定を同法附則第9条第3項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により採用された職員をいう。)及び育児短時間勤務職員等(地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号)第10条第3項の規定による承認を受け、同条第1項に規定する育児短時間勤務をしている職員(同法第17条の規定による短時間勤務をしている職員を含む。))を含む。)
② 教育職員、実習助手及び寄宿舎指導員のうち、以下の(イ)及び(ウ)により通勤所要回数を計算した結果、平均1か月当たりの通勤所要回数が21回を超えるもの
(イ) 教育職員、実習助手及び寄宿舎指導員の通勤に要することとなる回数の考え方
学校に勤務する教育職員、実習助手及び寄宿舎指導員においては、半日勤務時間の割振り変更(学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例第6条第2項の規定に基づく変更)を行うと想定されることが当該学校の年間計画で確認できる場合、これを考慮した上で年間を通じて通勤に要することとなる回数を確認する。
(ウ) 交替制勤務者等の平均1か月当たりの通勤所要回数
年間を通じて通勤に要することとなる回数を12で除して得た数とする。この場合において、小数点第1位以下に生じた端数は切り捨てるものとする。
(エ) 交替制勤務者等以外の者の1か月当たりの通勤所要回数
21回とする。
(オ) 特別支援教室の巡回指導教員の特例
特別支援教室の巡回指導教員については、上記(ウ)により平均1か月当たりの通勤所要回数を計算した結果、勤務庁ごとの平均1か月当たりの通勤所要回数の合計が当該教員の年間を通じて通勤に要することとなる回数を12で除して得た数(小数点第1位以下に生じた端数は切り捨てるものとする。以下この号において同じ。)に満たない場合には、平均1か月当たりの通勤所要回数の計算過程において切り捨てた端数が大きい勤務庁から順に端数を切り上げて、当該教員の年間を通じて通勤に要することとなる回数を12で除して得た数を上限として平均1か月当たりの通勤所要回数を調整することができるものとする。
イ 回数券による運賃等相当額の算出方法
(ア) 一般的な算出方法
利用区間で使用可能な片道運賃に相当する券面額の回数券(以下「片道運賃券」という。)の綴であって1綴の枚数が6か月当たりの所要枚数を超えない範囲内のものの1冊分の価額(割引率の異なる回数券が発行されている場合は、最も割引率が高いものの価額)に1か月当たりの所要枚数を乗じ、これを当該回数券綴の枚数で除して、円位未満を切り捨てた後、支給月数を乗じて算出する。
【計算式】
(注1)1か月当たりの所要枚数
① 交替制勤務者等 平均1か月当たりの通勤所要回数×2
② 上記以外 42回(21回×2)
(注2)6か月当たりの所要枚数は、上記の枚数に6を乗じた枚数とする。
【計算例1 一般的な回数券の計算方法(バスの場合)】
バス利用、通勤所要回数21回/月、支給月数6月の場合
① 乗車券の価額
・片道運賃 160円
(比較対象:定期券による額20,500円(3か月定期)×2=41,000円)
② 発行されている回数券の種類
・回数券綴 1,000円券 (160円×7枚、割引率10.7%)
・〃 3,000円券 (160円×22枚、割引率14.8%)
・〃 4,000円券 (160円×30枚、割引率16.7%)
4,000円券が252回(42回×6)を超えない範囲内で最も割引率の高い回数券綴なので、4,000円券を運賃等相当額算出の基礎とする。
③ 回数券による運賃等相当額の算出
④ 定期券による運賃等相当額よりも、回数券による運賃等相当額のほうが低廉なので、回数券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
【計算例2 一般的な回数券の計算方法(鉄道の場合)】
鉄道利用、通勤所要回数21回/月、支給月数6月の場合
① 乗車券の価額
・片道運賃 160円
(比較対象:定期券による額40,020円(6か月定期))
② 発行されている回数券
・普通回数乗車券(11枚綴、発売金額普通運賃の10倍)
③ 回数券による運賃等相当額の算出
④ 定期券による運賃等相当額よりも、回数券による運賃等相当額のほうが低廉なので、回数券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
(イ) 2以上の回数券を利用する場合
a 片道運賃券の回数券綴がないため2以上の回数券を組み合わせて1の区間を利用する場合又は上記(ア)による額より2以上の回数券を利用する場合の額の方が低廉となる場合の運賃等相当額の算出は、それぞれの計算過程において小数点以下第3位を四捨五入して加算を行い、円位未満を切り捨てた後、支給月数を乗じて行うものとする。
【計算例3 片道運賃券の回数券綴がない場合】
バス利用、通勤所要回数21回/月、支給月数6月の場合
① 乗車券の価額
・片道運賃 220円
(比較対象:定期券による額28,200円(3か月定期)×2=56,400円)
② 発行されている回数券の種類
・回数券綴 1,000円券 (50円×22枚、割引率9.1%)
・〃 1,000円券 (60円×19枚、割引率12.3%)
・〃 2,000円券 (160円×14枚、割引率10.7%)
・〃 2,000円券 (170円×13枚、割引率9.5%)
2,000円券(160円×14枚)と1,000円券(60円×19枚)の組合せが252回(42回×6)を超えない範囲内で最も割引率の高い回数券なので、この2綴を運賃等相当額算出の基礎とする。
③ 回数券による運賃等相当額の算出
④ 定期券による運賃等相当額よりも、回数券による運賃等相当額のほうが低廉なので、回数券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
b 2以上の区間についてそれぞれ回数券を利用する場合の運賃等相当額の算出は、それぞれの区間ごとに円位未満を切り捨てた後、支給月数を乗じて行うものとする。
【計算例4 2区間乗り継ぎの場合】
バス利用、通勤所要回数21回/月、支給月数6月の場合
① 乗車券の価額
・片道運賃 160円+160円=320円
(比較対象:定期券による額 20,500円(乗り継ぎ可能な3か月定期)×2=41,000円)
② 発行されている回数券の種類
・回数券綴 1,000円券 (160円×7枚、割引率10.7%)
・〃 3,000円券 (160円×22枚、割引率14.8%)
・〃 4,000円券 (160円×30枚、割引率16.7%)
4,000円券が252回(42回×6)を超えない範囲内で最も割引率の高い回数券綴なので、4,000円券を運賃等相当額算出の基礎とする。
③ 回数券による運賃等相当額の算出
④ 回数券による運賃等相当額よりも、定期券による運賃等相当額のほうが低廉なので、定期券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
(ウ) 端額の回数券が付加されている場合
片道運賃券とそれに満たない券面額の回数券(以下「端額券」という。)で1綴となっている回数券綴を運賃等相当額の算出の基礎となる場合は、イの計算式中、次の表の左欄の字句を右欄のとおり読み替えて運賃等相当額を算出するものとする。
回数券綴1冊分の価格 | 回数券綴1冊分の価額に片道運賃券と端額券との差額(端額券が複数付加されている場合で、片道運賃以内で組み合わせて使用することができるときは、片道運賃と組み合わせた端額券の券面額の合計額との差額。以下「差額」という。)を加算して得た額 |
当該回数券綴の枚数 | 当該回数券綴の片道運賃券の枚数と端額券に差額を加えた上で、片道運賃権に換算した枚数(以下「片道運賃券に換算した枚数」という。)との合計枚数 |
【計算式】
【計算例5 端額の回数券が付加されている場合】
バス利用、通勤所要回数21回/月、支給月数6月の場合
① 乗車券の価額
・片道運賃 160円
(比較対象:定期券による額20,500円(3か月定期)×2=41,000円)
② 発行されている回数券の種類
・回数券綴 1,000円券 (160円×7枚、割引率10.7%)
・〃 3,000円券 (160円×21枚+60円×1枚、割引率12.3%)
3,000円券が252回(42回×6)を超えない範囲内で最も割引率の高い回数券綴なので、3,000円券を運賃等相当額算出の基礎とする。
③ 回数券による運賃等相当額の算出
片道運賃券(160円)と60円券の差額100円を加算し、60円券1枚を160円券1枚に換算
④ 定期券による運賃等相当額よりも、回数券による運賃等相当額のほうが低廉なので、回数券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
ウ バスカードの取扱い
バスカードは、利用区間に応じた片道運賃券の綴がカード化したものと考えられるので、運賃等相当額の算出の基礎とする。
バスカードによる運賃等相当額の算出にあたっては、イに準じて算出する。この場合、バスカードに綴られていると考えられる片道運賃券の枚数(計算上の枚数)を算出のうえ適用する。
【計算例】
バスカードの種類
・1,000円のカード (1,100円分、割引率 9.1%)
・3,000円のカード (3,360円分、割引率 10.7%)
・5,000円のカード (5,850円分、割引率 14.5%)
バス利用、通勤所要回数21回/月、支給月数6月の場合
① 乗車券の価額
・片道運賃 160円
(比較対象:定期券による額20,500円(3か月定期)×2=41,000円)
② 計算上の枚数
・1,000円のカード (160円×6枚+140円×1枚)
・3,000円のカード (160円×21枚)
・5,000円のカード (160円×36枚+90円×1枚)
5,000円のカードが252回(42回×6)を超えない範囲内で最も割引率の高いものなので、5,000円のカードを運賃等相当額算出の基礎とする。
③ バスカードによる運賃等相当額の算出
④ 定期券による運賃等相当額よりも、回数券による運賃等相当額のほうが低廉なので、回数券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
エ ICカードの取扱い
PASMO及びSuica(以下「PASMO等」という。)については、ICカードの利用を前提とした回数券と考えられるため、運賃等相当額の算出の基礎とする。
PASMO等による運賃等相当額の算出にあたっては、支給月数に応じた通勤のために負担する運賃の額の合計を支給月数で除して円位未満を切り捨てた後、支給月数を乗じて算出する。
なお、PASMO等の購入の際にかかるデポジット(預り金)は手当として考慮しないものとする。
【計算式】
運賃等相当額=(支給月数に応じた通勤のために負担する運賃の額の合計÷支給月数)×支給月数
【計算例1】
バス利用、交替制勤務者等以外の職員、支給月数6月の場合(4月~9月)
① 乗車券の価額
・片道運賃 200円
(比較対象:定期券による額25,650円(3か月定期)×2=51,300円)
② PASMO等の利用により付与されるバスチケットの例
支払額(累計) | バスポイント | バスチケット | バスチケット累計 |
1,000円 | 1,000 | 100円分 | 100円分 |
2,000円 | 2,000 | 100円分 | 200円分 |
3,000円 | 3,000 | 160円分 | 360円分 |
4,000円 | 4,000 | 160円分 | 520円分 |
5,000円 | 5,000 | 330円分 | 850円分 |
6,000円 | 6,000 | 170円分 | 1,020円分 |
7,000円 | 7,000 | 180円分 | 1,200円分 |
8,000円 | 8,000 | 180円分 | 1,380円分 |
9,000円 | 9,000 | 180円分 | 1,560円分 |
10,000円 | 10,000 | 180円分 | 1,740円分 |
③ 200円区間におけるPASMO等の利用例
・4月~9月の場合
乗車回数 | 乗車に必要となる金額 | 実際負担する金額 | バスポイント | バスチケット | バスチケット累計 |
1 | 200円 | 200円 | 200 | 0 | 0 |
2 | 400円 | 400円 | 400 | 0 | 0 |
3 | 600円 | 600円 | 600 | 0 | 0 |
4 | 800円 | 800円 | 800 | 0 | 0 |
5 | 1,000円 | 1,000円 | 1,000 | 100円分 | 100円分 |
6 | 1,200円 | 1,100円 | 1,100 | 0 | 100円分 |
~ | ~ | ~ | ~ | ~ | ~ |
41 | 8,200円 | 7,180円 | 7,180 | 180円分 | 1,200円分 |
42 | 8,400円 | 7,200円 | 7,200 | 0 | 1,200円分 |
④ PASMO等による運賃等相当額の算出
{(7,200円+7,200円+7,200円+7,200円+7,200円+7,200円)÷6月}×6月=7,200円×6月=43,200円
⑤ 定期券による運賃等相当額よりも、回数券による運賃等相当額のほうが低廉なので、回数券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
【計算例2】
バス利用、交替制勤務者等以外の職員の場合、支給月数6月の場合(4月~9月)
① 乗車券の価額
・片道運賃 250円
(比較対象:定期券による額32,060円(3か月定期)×2=64,120円)
② 250円区間におけるPASMO等の利用例
・4、6、8月の場合
乗車回数 | 乗車に必要となる金額 | 実際負担する金額 | バスポイント | バスチケット | バスチケット累計 |
1 | 250円 | 250円 | 250 | 0 | 0 |
2 | 500円 | 500円 | 500 | 0 | 0 |
~ | ~ | ~ | ~ | ~ | ~ |
41 | 10,250円 | 8,870円 | 8,870 | 0 | 1,380円分 |
42 | 10,500円 | 9,120円 | 9,120 | 180円分 | 1,560円分 |
・5、7、9月の場合
乗車回数 | 乗車に必要となる金額 | 実際負担する金額 | バスポイント | バスチケット | バスチケット累計 |
1 | 250円 | 70円 | 70 | 0 | 0 |
2 | 500円 | 320円 | 320 | 0 | 0 |
~ | ~ | ~ | ~ | ~ | ~ |
41 | 10,250円 | 8,690円 | 8,690 | 0 | 1,380円分 |
42 | 10,500円 | 8,940円 | 8,940 | 0 | 1,380円分 |
③ PASMO等による運賃等相当額の算出
{(9,120円+8,940円+9,120円+8,940円+9,120円+8,940円)÷6月}×6月=9,030円×6月=54,180円
④ 定期券による運賃等相当額よりも、回数券による運賃等相当額のほうが低廉なので、回数券による運賃等相当額を通勤手当額とする。
9 特別料金等に係る通勤手当について
(1) 制度の趣旨
異動等に伴い、新幹線等を利用しなければ通勤が困難となる職員の通勤費の負担を軽減するため、特別料金等の2分の1相当額を通勤手当として支給する。
(2) 支給要件等
ア 給与条例第12条第4項及び第5項に規定する特別料金等に係る通勤手当(以下「加算額」という。)の支給要件
(ア) 以下の全てに該当すること
a 公署を異にする異動又は在勤する公署の移転(以下単に「異動」という。)に起因するものであること
b 異動後の通勤時間が、異動直前の通勤時間の1.5倍以上になること
c 異動後の通勤距離が80km以上であること又は異動後の通勤時間が120分以上であること
d 新幹線等を利用することにより、通勤時間が30分以上短縮されること
e 異動直前の住居(人事委員会が定めるものも含む。)から通勤すること
(イ) 単身赴任手当を受給していた職員が配偶者又はパートナーシップ関係の相手方(配偶者及びパートナーシップ関係の相手方のいずれもない職員にあっては18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子。)と同居するため転居した場合で、上記bからdまでの「異動」を「転居」と読みかえて要件を満たすこと
(注) 以上にいう「通勤時間」又は「通勤距離」とは、上記dを除き、新幹線等を利用せずに通常の通勤の経路及び方法により通勤するものとした場合のものである。
イ 加算額は、支給対象期間につき通勤に要する特別料金等の額の2分の1相当額である。ただし、その額を支給月数で除して得た額が20,000円を超える場合は、20,000円に支給月数を乗じて得た額とする。
(3) 具体的な取扱い
ア 規則第10条に規定する「新幹線鉄道等の特別急行列車その他の交通機関」とは、新幹線、JR在来線の特別急行列車、急行列車及び私鉄の特別急行列車である。
イ すでに加算額を受給している職員が、更に新幹線等を利用しなければ通勤することが困難である公署に異動になった場合の取扱い
【具体例】
公署Aから公署Bへの異動により、すでに自宅→Bの経路で加算額を受給していたが、更に公署Cに異動になった。
この場合は、自宅→Cの通勤時間と加算額が適用される直前の通勤経路である自宅→Aの通勤時間とを比較し、1.5倍以上になっており、その他の要件を満たしていれば、引き続き加算額を支給することができる。
(4) 職員の届出
ア 加算額の支給対象となる職員は、別紙「新幹線等利用届」を提出する。この場合は、「通勤届」への記入は必要ない。なお、新幹線等を利用している職員であっても、上記(1)アの支給要件を具備していない場合には、「通勤届」により届出を行う。
なお、加算額の支給要件を欠いた場合は、新たに「通勤届」により届出を行う。
イ 「4 通勤手当の額」の「備考」欄には、運賃等相当額と特別料金等の2分の1相当額の内訳を記入すること。
ウ 「新幹線等利用届」は、上記及び当該様式に特に定めのあるほか、「通勤届」に準じて取り扱うものとする。
(5) 特別料金等の2分の1相当額の算定方法等
ア 新幹線のFREX定期のように運賃部分と特急料金部分とが分かれていないものについては、FREX定期の価額から、新幹線の距離区分及びFREX定期の通用期間に応じた在来線の定期券の価額を引いた額を当該通用期間の月数で除した額の2分の1(円位未満端数切捨て)に支給月数を乗じて得た額
イ 定期券が発行されていない特急等については、1回の利用に係る特急料金等の額の21日分の額の2分の1(円位未満端数切捨て)に支給月数を乗じて得た額
ウ 交替制勤務者等の手当額の算定については、平均1か月当たりの通勤所要回数分の特別料金等の額であって最も低廉なものの2分の1(円位未満端数切捨て)に支給月数を乗じて得た額
当該職員の通勤手当額は、以上のように算定した特別料金等の2分の1相当額(限度額は20,000円×支給月数)と在来線等の運賃等の額(限度額は55,000円×支給月数)との合計額とする。
【具体例】
千代田区内(JR神田駅利用と仮定)に居住しており、新宿(本庁)に勤務していた者が、静岡県内の保養施設に異動となった場合
(異動前の通勤経路)※経路の下の上段は所要時間、下段は所要キロ数
(異動後の通勤経路、在来線のみ)
(異動後の通勤経路、新幹線利用)
a 通勤時間は、異動前32分→異動後2時間48分で、1.5倍以上になる。
b 異動後の通勤時間は、2時間48分で、120分以上である。
c 異動後の通勤距離は、144.9kmで、80km以上である。
d 在来線のみの通勤時間は2時間48分で、新幹線を利用すると1時間52分になり、30分以上短縮される。
(手当額の計算方法)
a 官庁執務型勤務職員の場合(支給月数6月)
・在来線
神田―伊東(6か月定期) 290,300円
伊東―伊豆大川(6か月定期)155,520円
(290,300円+155,520円)÷6月=74,303.333…>55,000円(支給限度額)
・特別料金
東京―熱海(FREX・3か月定期) 236,690円
東京―熱海(在来線・3か月定期) 144,520円
236,690円-144,520円→92,170円÷3月×1/2=15,361.666…→15,361円
・合計 (55,000円×6月)+(15,361円×6月)=422,166円
b 交替制勤務職員の場合(平均1か月当たりの通勤所要回数10回、支給月数6月)
・在来線 | |
・特別料金 | |
・合計 |
10 通勤手当の支給、返納方法等
(1) 原則
通勤手当が支給される職員につき、支給対象期間中の異動等により通勤経路に変更が生じた場合(以下「異動等事由が生じた場合」という。)については、これらの事由が生じたことにより新たに通勤に要するものとして算出される額を支給し、通勤に要しないものとして算出される額を返納させる(以下「手当額の調整」という。)。
手当額の調整は、通勤経路の区間ごとに行うこととし、通勤経路に変更のない区間については手当額の調整は行わない。
支給対象期間中に手当額の調整を行った場合、調整後の額をもって、その者の支給対象期間に係る通勤手当額とする。
ア 支給額
新たに通勤に要することとなった通勤経路について、当該支給対象期間の異動等事由が生じた日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)の初日から次の支給対象期間の前日までの期間の月数(以下「残りの支給月数」という。)に応じて算出される額
イ 返納額
以下により算出される額の総額
(ア) 定期券の価額に基づき運賃等相当額を算出している区間
定期券を、規則別表(「8 運賃等相当額について(1)定期券による運賃等相当額の算出方法」参照)に基づき手当の支給開始月の初日から使用したものとした場合に、異動等事由が生じた日の属する月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月の前月)の末日に、通用期間が到来している定期券を解約したときに払い戻される額及び通用期間が到来していない定期券の価額の総額
【払い戻しの計算式】
① 鉄道
払戻額=券面金額-使用期間に対応する定期券額-手数料(主に210円)
※ 使用期間に対応する定期券額
1か月:1か月定期券額
2か月:1か月定期券額×2
3か月:3か月定期券額
4か月:3か月定期券額+1か月定期券額
5か月:3か月定期券額+1か月定期券額×2
② バス
払戻額=券面金額-(往復運賃×使用日数)-手数料(主に500円)
※ 使用日数は定期券購入日から払戻を行う日までの日数(暦日計算)
(イ) (ア)以外の区間及び特別料金等の2分の1相当額
当該区間に係る手当額を支給月数で除して得た額(以下「1か月当たりの手当額」という。)に残りの支給月数を乗じて得た額
(ウ) 支給限度額を超える者
1か月当たりの運賃等相当額等として算出される額が55,000円を超えるために、55,000円に支給月数を乗じて得た額が支給されている職員についての返納額は、55,000円に残りの支給月数を乗じて得た額
ウ 利用区間の短縮のみの場合の取扱いの特例
通勤経路の変更が利用区間の短縮のみであって、かつ、手当額の調整を行った場合の当該支給対象期間に係る手当額が、従前の手当額を上回ることとなる場合には、当該区間に係る手当額の調整は行わないこととする。
【具体例】
国立在住で4月に国立―新宿間(JR中央線)の通勤手当を6か月分支給されている職員が、5月15日に住居を移転したことにより、武蔵小金井―新宿間が新たな通勤経路となった場合
① 4月支給額(国立―新宿間)
54,440円(6か月定期)
② 調整返納額(国立―新宿間)
54,440円-(11,340円(1か月定期)×2+210円)=31,550円
③ 調整支給額(武蔵小金井―新宿間)
25,140円(3か月定期)+8,820円(1か月定期)=33,960円
④ 調整(返納・支給)を行った場合の手当額
54,440円-31,550円+33,960円=56,850円>54,440円
⇒ 調整を行った場合の手当額が4月に支給した手当額を上回るため、手当額の調整は行わない。
エ 共通定期券の取扱い
異動等事由が生じたことにより通勤に要しないこととなる通勤経路の中に、複数の交通機関に係る乗継定期券その他の共通定期券が購入できる区間が含まれている場合において、下記のいずれかの要件を満たす場合には、当該区間を共通の一の定期券の区間として取り扱うことができるものとする。
(ア) 通勤手当の認定時に、乗継定期等により最も低廉な価額として認定した場合
(イ) 複数の交通機関が相互に乗り入れている場合
(ウ) 同一の鉄道会社内の乗り換えである場合
(エ) 通勤経路の届出時に共通定期券として購入する旨を予め申告し、かつ異動等事由が生じた際に定期券を払い戻す前に共通定期券の購入の事実を所属において実際に確認した場合
(2) 通勤実績がない者及び通勤所要回数の減少が見込まれる者の取扱い
ア 支給要件に該当する職員が、出張、休暇、欠勤その他の事由により、月の初日から末日までの期間の全日数にわたって通勤しなかったときは、その月の通勤手当は支給しない。
イ 支給対象期間の初日から1か月以上の期間にわたって通勤しないことが明らかな場合は、実際に通勤が生じるまでの間、当該支給対象期間に係る通勤手当は支給しない。
ウ 支給対象期間の中途において通勤実績が生じた場合には、通勤実績が生じた日の属する月の初日に支給要件を具備したものとして手当額を算出する(下記(3)の場合を除く)。
エ 支給対象期間の中途において通勤実績がない月が生じる場合には、通勤実績がない月の前月の末日に異動等事由が生じたものとして算出される額を返納する(下記(3)の場合を除く)。
オ 出張(自宅勤務を含む。)、休暇等の事由により、月の初日から末日までの期間の通勤所要回数が5回以下になる月が2か月以上続くことが見込まれる場合は、通勤所要回数が減少する月の通勤手当は交替制勤務に従事する職員の例により取り扱う。ここでいう通勤所要回数には、自宅勤務に係る自宅と勤務庁間の往復を含む。
(3) 休職、停職者等の取扱い
支給対象期間の中途に、休職、専従休職、育児休業、大学院修学休業、配偶者同行休業、停職、公務災害等(以下「休職等」という。)が生じた場合には、当該期間に係る給与は支給されないため、通勤手当についても、日割計算等により調整する。その際の支給額及び返納額は、上記(1)により算出される支給額及び返納額に、休職等が生じた月に係る日割額を加えた額とする。
ただし、支給対象期間の中途における休職等の期間が短期間であって、休職等に入る段階でその終期が確定している場合等において、通勤経路の各区間のうち、調整を行った後の手当額が従前の手当額を上回ることとなる区間については、手当額の調整は行わないこととする。なお、この場合においても、調整後の手当額が従前の手当額を下回る区間(交通用具を利用する区間を含む。)については、手当額の調整を行う。
ア 休職等に入る場合の日割返納額
1か月当たりの手当額に、休職等が生じた日からその日の属する月の末日までの日数(学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例(平成7年東京都条例第45号)第5条及び第6条並びに職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例(平成7年東京都条例第15号)第4条及び第5条に規定する週休日(以下「週休日」という。)を除く。)を当該月の現日数(週休日を除く。)で除して得た日数を乗じた額(円位未満端数切捨て)
【計算式】
イ 休職等より復帰した場合の日割支給額
1か月当たりの手当額に、休職等が終了した日の翌日からその日の属する月の末日までの日数(週休日を除く。)を当該月の現日数(週休日を除く。)で除して得た日数を乗じた額(円位未満端数切捨て)
【計算式】
ウ 上記ア、イの計算において、定期券で運賃等相当額を算出している区間における「1か月当たりの手当額」は1か月定期券の価額とする。
【具体例(1)】
国立在住で4月に国立―新宿間の通勤手当を6か月分支給されている職員(官庁執務型)が、5月28日から6月2日までの間、停職となった場合
① 4月支給額(国立―新宿間)
54,440円(6か月定期)
② 調整返納額
窓口払戻分 54,440円-(11,340円(1か月定期)×2+210円)=31,550円
5月日割分 11,340円×2/21=1,080円
計 31,550円+1,080円=32,630円
③ 調整支給額
6月日割分 11,340円×20/22=10,309.090…→10,309円
7月以降分 32,320円(3か月定期)
計 10,309円+32,320円=42,629円
④ 調整を行った場合の手当額
54,440円-32,630円+42,629円=64,439円>54,440円
⇒ 調整を行った場合の手当額が4月に支給した手当額を上回るため、当該区間に係る手当額の調整は行わない。
【具体例(2)】
具体例(1)で、停職期間が5月28日から7月9日までであった場合
①、②は同上
③ 調整支給額
7月日割分 11,340円×15/22=7,731.818…→7,731円
8月以降分 11,340円(1か月定期)×2=22,680円
計 7,731円+22,680円=30,411円
④ 調整を行った場合の手当額
54,440円-32,630円+30,411円=52,221円<54,440円
⇒ 調整を行った場合の手当額が4月に支給した手当額を下回るため、手当額の調整を行う。
(4) 運賃等の改定があった場合の取扱い
ア 支給対象期間中に、利用する交通機関等の運賃等が改定された場合は、運賃等の値上げ、値下げにかかわらず、運賃等の改定が行われた日に異動等事由が生じたものとして手当額の調整を行う。
イ 定期券で運賃等相当額を算出している区間については、定期券を、規則別表第一に基づき手当の支給開始月の初日から使用したものとした場合に、運賃等の改定が行われた日の属する月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月の前月)の初日に通用期間が到来しているものとされる定期券の通用期間が満了する日の翌日をもって、運賃等の改定の日として取り扱う。
【具体例】
7月1日に運賃改定があった場合、5月15日に採用された職員(6月~9月分の通勤手当として、3か月定期券と1か月定期券の価額の合計額を支給)については、3か月定期券の通用期間が満了する8月31日の翌日、9月1日をもって運賃等の改定の日として取扱い、残りの1か月定期券分についての手当額の調整を行う。
ウ 運賃等が改定された場合には、当該職員が運賃等の改定に係る届出をすべきではあるが、所属長が特に支障がないと認めるときは、口頭による届出をもって正規の届出があったものとして取り扱うことを妨げない。さらに、この改定が相当広範囲に、かつ、一斉に行われたときにおいては、事務担当者による確認、照会等の措置をもってこれに代えることを妨げない。この場合における区市町村教育委員会又は教育庁出張所への報告の方法については、区市町村教育委員会又は教育庁出張所の指示により行うこと。
(5) 条例間異動等の取扱い
人事異動に伴い適用条例を異にすることとなった職員の通勤手当並びに給与条例内における任命権者を異にする異動の場合及び公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(平成12年法律第50号)第2条に基づき公益的法人等へ派遣される場合の通勤手当については、「通勤手当の支給について(通知)」(平成16年3月9日付15総勤労第229号)に準じて取り扱うものとする。
(6) 手当の非支給の事例
職員が学校職員の給与条例及び給与条例に定める要件を具備するに至った日(月の初日を除く。)の属する月と同一の月において離職し若しくは死亡した場合又は要件を欠くに至った場合には、通勤手当は支給しない。
(7) 同一の月に2回以上手当の算出基礎が変わった場合の事務処理
同一の月において、職員に手当額を決定し、又は変更すべき事実等が2回以上にわたって生ずるに至った場合における通勤手当は、その事実の生じた日の属する月の翌月に最も近い日に生じた変更の事実等を基礎として手当額を算出するものとする。