○夏季休業中の生活指導について

平成20年7月3日

20教指義第132号

都立特別支援学校長

都立特別支援学校開設準備担当校長

このことについては、かねてから格段の御配慮をいただいているところです。各学校では、幼児・児童・生徒(以下「児童・生徒」という。)が、夏季休業日の意義を十分に認識し、心身共に健康で安全に、充実した夏季休業日を過ごすことができるよう、一人一人の障害の状態及び発達段階や特性等に十分配慮した生活指導を行うことが大切です。

そのためには、教職員の共通理解のもとに指導体制を整備し、学校、保護者、地域社会及び関係諸機関との連携を深め、児童・生徒が希望をもって夏季休業後の生活を迎えられるよう指導する必要があります。

このことを踏まえ、下記の事項に留意され、一人一人の児童・生徒にきめ細かい指導を行うようお願いします。

1 事前指導について

(1) 問題行動の早期発見と防止の徹底

ア 1学期(前期)に身に付けた規則正しい生活習慣や自己を律する生活態度を持続できるよう、具体的な生活目標を立て、地域の社会教育活動やレクリエーション等に積極的に参加するなど、健康で安定した夏季休業日を過ごせるようにする。

イ 夏季休業中は、性にかかわる事故の発生が懸念される。児童・生徒が、精神的な開放感から生活習慣を乱すなどして、性被害や安易な性行動で責任を負ったりすることがないよう、児童・生徒一人一人に応じたきめ細かい生活指導を行う。

ウ いじめ、火遊び、薬物乱用などの未然防止を図るため、「自他の生命を大切にする指導」の徹底に努める。

エ 「子供の命を守る」という視点を大切にした事故や自殺等の防止と予防のための指導の充実に努める。

オ 深夜徘徊、喫煙、飲酒など健全な育成を阻害する事態をおこさせることのないよう「規範意識を高める指導」を徹底するとともに、家庭や地域との連携の強化に努め、早期発見と防止に努める。

カ 安全に関する指導を計画的に行い、特に水難事故や交通事故、高所転落事故、鉄道等公共交通機関への妨害による事故、連れ去りや性被害などの未然防止についての指導に努める。

キ 夏季休業日後の適応指導の充実を図るとともに、問題行動等を防止するため、長期欠席者の状況の把握を行い、必要に応じて児童・生徒の相談等の充実に努める。

(2) 安全指導の徹底

ア 児童・生徒が外出する際には、目的地、同行者、帰宅時間、連絡方法などを必ず保護者に伝えるよう指導を徹底する。特に、午後11時以降の深夜外出が制限されていることや、深夜徘徊にさまざまな危険が潜んでいることについて指導を徹底する。

また、自転車で外出したり、自宅周辺で遊んだりする際は、交通ルールを守るように児童・生徒への指導を徹底し、交通事故の防止に努める。高等部の運転免許取得者に対しては、個別に交通安全についての指導を徹底する。

イ 暴力的なトラブルに巻き込まれたりすることのないように、困ったときの対応の仕方などを具体的に指導する。

ウ 電子メール・インターネットによる誹謗・中傷、有害サイトへの接続、詐欺行為等のハイテク犯罪、出会い系サイトなどによる非行や犯罪等の防止及び予防に関しての指導を徹底する。

エ 夏季は、感染症や食中毒が発生しやすい状況にあることを認識させ、手洗いを励行し、清潔を心がけるよう指導を徹底する。

オ 中学部、高等部の生徒に対しては、「振り込め詐欺」や「架空請求」などの被害者とならないよう、実際に起こった事件をもとに、具体的に指導する。

カ 「子ども110番の家」等や「いかのおすし」(「いか」…ついて「いか」ない、「の」…車に「の」らない、「お」…「お」おごえを出す、「す」…「す」ぐ逃げる、「し」…周りの人に「し」らせる)など危険回避についての基本的な内容についてくり返し指導する。

キ 水難事故を防止するため、プールでは準備体操をしてから水に入ること、休憩時間をとること、プールサイドを走らないこと、飛び込みは危険であることなどについての指導をしていくとともに、川や海などの水辺での安全への留意事項についても指導する。

2 保護者や関係諸機関等との連携について

(1) あいさつ運動について

ア 学校や地域で児童・生徒を育て、守るためには、大人と児童・生徒の顔が見える関係を作ることが必要であり、その第一歩が、あいさつを交わすことである。夏季休業中においては、特にこのことに留意し、校内外を問わず、教職員があいさつを率先することを通して、児童・生徒が自らあいさつをできるように指導する。

イ 地域の行事に参加を促し、社会体験や地域の方々との交流を深め、積極的にあいさつを交わすよう指導することを通して、登下校や課外活動において、安心して過ごせる地域環境を確立する。

ウ 家庭においては、毎日の「ありがとう」等の感謝や思いやりの気持ちを伝えるようにするとともに、他人の子供にも積極的にあいさつをするように働きかけ、町会等で行われているあいさつ運動への参加を呼びかけていく。

(2) 不測の事態に備えた環境づくり

ア 夏季休業中は、学校と保護者との連絡方法を明確にし、万一、事故や問題行動が発生した際は、保護者と学校、関係諸機関等が連携し、迅速・的確な対応ができるようにする。

イ 夏季休業中の不審者侵入防止のため、外来者の受付を確実に行うとともに、校内巡回等の役割分担を行い、校内の安全管理体制を確立する。

ウ 学校・保護者・警察等との連携によるセーフティ教室を実施し、その成果を生かすことにより、児童・生徒の非行防止・犯罪被害防止のための取組を着実に推進する。また、性被害、不審者などについて、犯罪から身を守る指導を徹底する。

エ 「児童・生徒の健全育成に関する警察と学校との相互連絡制度」の適切な運営や「健全育成地域支援組織(サポートチーム)」の組織対応など、警察等との関係諸機関と定期的に連絡を取り、緊密な連携と計画的な活動を推進する。

オ 連れ去りや誘拐被害防止のため、児童・生徒が外出する際には、同行者、場所、帰宅時間、連絡方法等を必ず保護者に伝えるように指導を徹底する。

カ 夏季休業中の部活動や宿泊を伴う行事においては、安全に配慮した指導計画に基づき実施する。実施に当たっては、天候、気温、場所等の状況により、活動内容を適切に判断するとともに、危険性を予測し、事故を未然に防ぐようにする。特に部活動については、「部活動中の事故防止のためのガイドライン」を参考にして事故防止について注意をする。

(3) 学校生活への不適応に備えた学校づくり

ア 夏季休業明けは、学校生活への不適応等が現れやすい。夏季休業中においても児童・生徒と連絡や相談等を行い、早期に問題を発見し、児童・生徒が新たな気持ちで学校生活に希望をもつよう指導する。また、夏季休業中の生活や体験について、発表の機会を設けるなどして、児童・生徒が意欲をもち成就感を味わうことができるように指導する。

イ 夏季休業中も家庭訪問・保護者面談等を行い、家庭と緊密に連携し、不登校の児童・生徒や学校生活への適応が難しい児童・生徒の個別指導を充実させる。

ウ 「いじめ」、暴力行為の問題行動は絶対に許されない行為であることを児童・生徒に認識させるとともに、その根絶に向け学校における研修の充実を図り、教員相互の理解を深める。

エ 家庭等での虐待が懸念される場合には、関係諸機関等との連携を図り、通報等適切な対応をとるようにする。

<参考>

関係通知及び関係資料

(関係通知)

1 「『問題行動を起こす児童生徒に対する指導について』の送付について」 (18教指企第803号)

2 「『文部科学大臣からのお願い』について」の送付について (18教指企第588号)

3 「いじめの問題解決、いじめの未然防止に向けた対応について」 (18教指企第579号)

4 「いじめを原因とする自殺予告文書への対応及び確認の報告について」 (18教指企第565号)

(東京都教育委員会教育長緊急アピール「いじめを許さず、尊い命を守るために」)

5 「いじめの問題への取り組みの徹底について」 (18教指企第528号)

6 「生命尊重の視点に立った生活指導の徹底について」 (18教指企第406号)

7 「児童・生徒理解に基づいた生活指導の徹底について」 (18教指企第155号)

8 「セーフティ教室の充実について」 (18教指企第105号)

9 「架空・不当請求被害防止の指導の充実について」 (18教指企第64号)

10 「生活指導の徹底について」 (18教指企第48号)

11 「幼児・児童・生徒の安全確保及び学校の安全管理について」 (17教指企第844号)

12 「生命尊重の視点に立った生活指導の徹底について」 (17教指企第809号)

13 「生命尊重の視点に立った生活指導の徹底について」 (17教指企第457号)

14 「生活指導の充実について」 (17教指企第352号)

(関係資料)

1 「東京都高等学校交通安全教育指導事例集〈第24集〉」 (平成20年3月 東京都教育庁指導部)

2 「子供の命を守ろう~子供の自殺予防に向けて~」 (平成20年3月 東京都教育庁指導部指導企画課)

3 「子供の心と命のサイン~気付き・受け止め、そして対応~」 (平成19年6月改訂東京都教育相談センター)

4 「知的障害の軽い生徒等の健全育成の手引」 (平成19年3月東京都教育庁指導部)

5 「児童・生徒一人一人に、危険を予測し、回避する能力を育てるために」 (平成19年3月東京都教育庁指導部)

6 「非行防止・犯罪被害防止教育推進指導資料 第3集」 (平成19年3月東京都教育庁指導部)

7 「非行防止・犯罪被害防止教育推進指導資料 第2集」 (平成18年3月東京都教育庁指導部)

8 「非行防止・犯罪被害防止教育推進指導資料」 (平成17年3月東京都教育庁指導部)

9 「性教育の手引き」(盲・ろう・養護学校編) (平成17年3月 東京都教育庁指導部指導企画課)

夏季休業中の生活指導について

平成20年7月3日 教指義第132号

(平成20年7月3日施行)

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