○公益通報の処理に関する要綱

平成18年3月29日

17教総総第2177号

教育長決定

(目的)

第1条 この要綱は、公益通報の処理に関し、法令違反の是正及びその未然防止を図るとともに、教育庁、教育事務所、教育庁出張所、事業所及び都立学校(以下「教育庁等」という。)において、公益通報を適切に処理するため、必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 職員 教育庁等の職員(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職及び同条第3項に規定する特別職のうち、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいう。)である者をいう。

 派遣労働者 教育庁等の事業に従事する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第2号に規定する派遣労働者をいう。)である者をいう。

 契約先等の労働者 事業者(公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第2条第1項第3号に規定する事業者をいう。)が教育庁等との契約に基づいて行う事業に従事する労働者(労働基準法第9条に規定する労働者をいう。以下同じ。)及び指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)が行う教育庁等の公の施設の管理の業務に従事する労働者である者をいう。

 職員等 職員、派遣労働者及び契約先等の労働者をいう。

 職員通報 職員等が、教育庁等の事務又は事業の管理、運営、執行等に係る行為(職員等の私生活上の行為を除く。以下同じ。)が、次のいずれかに該当すると思料する場合に、当該行為について行う通報をいう。

 法令違反行為

 業務に関する規程又は職務上の命令に違反する行為

 法令違反につながるおそれのある行為

 相談 職員等が、通報処理の仕組み、通報対象事実(第5号アからまでのいずれかに掲げる行為をいう。以下同じ。)の該当の有無等について、公益通報窓口に対し助言を求めることをいう。

 法令違反行為 法令(条例、規則その他の規定を含む。)に違反する行為をいう。

 業務に関する規程又は職務上の命令に違反する行為 職務の遂行に当たって、あらかじめ定められた要綱、要領その他業務に関する規程又は職務上の命令に違反する行為をいう。

 法令違反につながるおそれのある行為 法令違反の状態には至っていないものの、その行為の態様が法令の趣旨及び目的に反し、放置しておくと法令違反につながるおそれがある行為をいう。

 公益通報窓口 第5条第1項に規定する教育庁等窓口、第6条に規定する部所担当課及び所属長である上司(以下「上司」という。)をいう。

(公益通報)

第3条 職員通報が、次のいずれかに該当する場合は、公益通報には当たらないものとする。

 苦情、要望、意見又は相談に該当するとき。

 教育庁等の事務又は事業の管理、運営、執行等に係る行為についての通報ではないとき。

 通報対象事実に該当しないことが明確であるとき。

 同一の通報者からの同趣旨の公益通報であるとき。

 既に関係する部局が公益通報の対象となった事実に対応しているとき。

 訴訟、和解、あっせん、調停、仲裁その他の手続によって解決又は処理を図ることが適当と認められるとき。

(東京都教育委員会教育長の責務)

第4条 東京都教育委員会教育長(以下「教育長」という。)は、公益通報又は相談があった場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

2 教育長は、職員等が、公益通報又は相談をしたことを理由として、教育庁等の事業に従事する職場で不利益な取扱いを受けることがないよう配慮しなければならない。

(教育庁等窓口の設置及び担当者の選任)

第5条 教育庁等の公益通報窓口(以下「教育庁等窓口」という。)は、別表左欄に掲げる職員等の区分に応じ、別表右欄のとおりとする。

2 別表右欄に掲げる課及び室の長は、教育庁等窓口に公益通報担当者(以下「担当者」という。)を置く。

3 別表右欄に掲げる課及び室の長は、当該課又は室の常勤の一般職員のうちから、課長代理級の職員を含む複数の者を担当者に選任する。

(部所担当課の指定)

第6条 教育長は、教育庁各部及び2級事業所(学校を除く。)ごとに部・事業所公益通報担当課(以下「部所担当課」という。)を指定する。

(公益通報窓口の職務)

第7条 教育庁等窓口は、公益通報を受けた場合等は、調査を行い、通報対象事実があると認められた場合は、是正措置及び再発防止措置(以下「是正措置等」という。)を講じる。

2 部所担当課は、公益通報を受けた場合等は、教育庁等窓口に対し、速やかに報告するとともに、教育庁等窓口の指導の下、必要に応じて調査を行う。

3 上司は、公益通報を受けた場合は、部所担当課(都立学校にあっては、教育庁等窓口。以下この項において同じ。)に対し、速やかに報告するとともに、部所担当課の指導の下、必要に応じて調査を行う。

4 教育庁等窓口は、他の任命権者との連絡調整、部所担当課に対する指導及び助言等を行う。

5 教育庁等窓口は、公益通報が他の任命権者が所管する事業に関するものである場合は、当該任命権者に対し、速やかに報告する。なお、複数の任命権者に関係するなど、都又は他の任命権者に影響を及ぼす程度の重要な事案、措置に緊急を要する事案等については、関係する任命権者と連携して調査を行う。

6 公益通報窓口は、相談を受けた場合は、助言を適切に行う。

(公益通報・相談)

第8条 職員等は、公益通報窓口に対して、電子メール、ファクシミリ、郵送、電話又は面談により、公益通報又は相談をすることができる。

2 公益通報又は相談は、氏名を明らかにし、行うものとする。ただし、法令に違反していることを証明する客観的事実を示す場合に限り、匿名により公益通報又は相談することを妨げない。

(相談の受付等)

第9条 相談を受けた公益通報窓口は、相談者の秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、相談の内容に応じて助言を適切に行うとともに、相談者の秘密は保持されること、個人情報は保護されること及び相談者に対する不利益な取扱いのないことを、相談者に対し説明する。

(公益通報の受付等)

第10条 公益通報を受けた公益通報窓口は、通報者の秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、通報者の氏名、所属及び連絡先並びに通報内容となる事実を把握するとともに、通報者の秘密は保持されること、個人情報は保護されること及び通報者に対する不利益な取扱いのないことを、通報者に対し説明する。

2 第8条の規定により受け付けた公益通報が次の各号のいずれの要件も具備していると認められるときは、公益通報を受理するものとする。

 教育庁等の事務又は事業の管理、運営、執行等に係る行為であって、通報対象事実に該当するものであること。

 内容が具体的かつ明確で、十分な調査を行うことができるものであること。

 是正措置を講じることができるものであること。

3 教育庁等窓口等は、教育庁等の所管する事業に関する公益通報を受理し、調査を行う場合は受理した旨及び調査を行う旨を、公益通報を受理し、調査を行わない場合は、受理した旨並びに調査を行わない旨及びその理由を、公益通報を受理しない場合は受理しない旨及びその理由を、通報者(匿名の場合を除く。)に対し、遅滞なく(書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)による公益通報の場合は、公益通報を受けた日から20日以内に(文書により通知する場合は、公益通報を受けた日から20日以内に文書が通報者に到達するように))通知する。

(調査の実施等)

第11条 教育庁等窓口は、通報者の秘密保持に配慮しつつ、遅滞なく、被通報者その他の関係者からの事情聴取その他の必要かつ相当と認められる方法で調査を行う。

2 教育庁等窓口は、調査中であっても、緊急かつ必要な措置を講じなければならない場合は、直ちに、通報対象事実の中止その他の措置を講じる。

(是正措置の実施等)

第12条 教育庁等窓口は、調査の結果、通報対象事実があると認められた場合は、速やかに是正措置等を講じるとともに、必要に応じて、関係者に対する懲戒処分等の手続を行う。

2 教育庁等窓口は、是正措置等を講じた場合は事実関係及び是正措置等の概要等を、通報対象事実があると認められなかった場合又は調査を尽くしても当該事実の存否が明らかにならなかった場合はその旨を、関係者のプライバシーに配慮しつつ、通報者に対し、遅滞なく通知する。

(通報者等の保護等)

第13条 職員等は、公益通報又は相談等をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

2 この要綱に定める事務に従事する者は、通報者及び相談者その他関係者のプライバシーに十分配慮し、知り得た秘密及び個人情報は厳守しなければならない。

3 この要綱に定める事務に従事する者は、自らが関係する通報処理に関与してはならない。

(職員等の責務)

第14条 職員等は、虚偽の通報、他人をひぼう中傷する通報、他人の業務を妨害する通報その他の不正の目的の通報をしてはならない。

2 職員等は、他人の正当な利益又は公共の利益を害する通報をしないよう努めなければならない。

3 被通報者その他の関係者は、教育庁等窓口及び通報内容の事業を所管する他の任命権者の窓口等が行う調査に協力しなければならない。また、調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

4 職員は、他の任命権者が所管する通報内容の関係者である場合は、当該他の任命権者の公益通報窓口が行う調査に協力しなければならない。

(公益通報対応業務従事者の範囲等)

第15条 職員等から公益通報窓口に公益通報があった場合において、主たる職務として公益通報を担当する者をあらかじめ別に指定する。

2 前項に掲げる者以外で公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者については、公益通報対応業務従事者として、必要に応じて個別に指定する。

(公表)

第16条 教育庁等窓口は、毎年度、公益通報に関する処理の状況について、インターネットの利用その他の適切な方法によりその概要を公表するものとする。

(その他)

第17条 この要綱に定めるもののほか、この要綱を実施するために必要な事項は、教育庁総務部長が別に定める。

この要綱は、平成18年4月1日から施行する。

(平成20年20教総総第730号)

この要綱は、平成20年4月1日から施行する。

(平成22年21教総総第2325号)

この要綱は、平成22年4月1日から施行する。

(平成25年24教総総第2070号)

この要綱は、平成25年4月1日から施行する。

(平成29年28教総総第2436号)

この要綱は、平成29年4月3日から施行する。

(令和4年4教総総第585号)

この要綱は、令和4年6月1日から施行する。

別表(第5条関係)

通報者

教育庁等窓口

教育庁、教育事務所、教育庁出張所及び事業所の事業に従事する職員等

総務部総務課

都立学校の事業に従事する職員等

当該学校を担当する東京都学校経営支援センター又は東京都学校経営支援センターの支所の経営支援室

公益通報の処理に関する要綱

平成18年3月29日 教総総第2177号

(令和4年6月1日施行)