○東京都立学校の管理運営に関する規則の一部改正について

平成24年12月28日

24教学高第1713号

都立学校長

さきに、平成24年12月20日24教学高第1680号をもって通知したとおり、「東京都立学校の管理運営に関する規則の一部を改正する規則」(平成24年東京都教育委員会規則第22号。以下「改正規則」という。)は、平成25年4月1日から施行されることになった。

今回の改正規則を制定した目的は、教員が自ら成長しようとする意欲及び教員全体の学習指導力の向上を図るため、都立学校に指導教諭の職を設置するとともに、各教科における指導の目標、方針の共有及び授業進度の調整を図り、校内における教科指導に関する人材育成を強化するため、都立高等学校及び都立中等教育学校に教科主任を設置することである。

ついては、貴職において改正規則及び本通知に基づき、適正な処理を願いたい。

第1 指導教諭の設置に関する事項(第10条の2第10条の6及び第12条の6)

1 改正の趣旨

学習指導において高い専門性を有し、他の教員に対して優れた指導力を有する教員を活用し、個々の教員が自ら成長しようとする意欲を引き出すとともに都立学校全体の指導力を高めるため、指導教諭の職を設置することとした。

2 解釈及び運用方針

(1) 第10条の2関係

ア 指導教諭の職務

指導教諭は、授業の在り方や教科指導の専門性について、児童・生徒の実態等を踏まえ、自校及び他校の教員に対して、教科及び領域(以下、「教科等」という。)の指導技術を普及させることにより、都立学校の教員全体の授業力を向上させていくため、以下の職務を行う。

(ア) 校内における業務を通じた指導

指導教諭の所属する学校において、業務を通じた指導を実施する。

(イ) 模範授業

年3回程度の模範授業及び研究協議会を実施する。

(ウ) 公開授業

自校及び他校の教員に対し授業を見学させる機会を設ける。

(エ) 個別相談

指導教諭の所属する学校において、自校及び他校の教員へ学習指導に関する指導・助言を行う。

(オ) 授業支援

指導教諭の所属する学校以外の学校の校長からの委嘱に基づき、授業を観察し、教諭に対し、指導・助言を行うことができる。

(カ) 教科指導資料等開発

優れた教科指導のための教材開発等を行う。

イ 任用の分類

指導教諭は、高等学校、中等教育学校、規則第27条の2の規定に定める中学校(以下「附属中学校」という。)及び特別支援学校に、次に掲げる教科等ごとに置くことができる。

(ア) 高等学校及び中等教育学校後期課程

国語、地理歴史(世界史、日本史、地理)、公民、数学、理科(物理、化学、生物、地学)、保健体育、芸術(音楽、美術)、英語、家庭、情報、農業(園芸、食品)、工業(機械、電気、化学、建築、工芸)、商業(簿記、情報処理、商業経営)

(イ) 附属中学校及び中等教育学校前期課程

国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語、道徳、特別活動

(ウ) 特別支援学校

視覚障害教育、聴覚障害教育、肢体不自由又は病弱教育(教科指導、合わせた指導)、知的障害教育(教科指導、合わせた指導、自閉症教育、キャリア教育・職業教育)

(2) 第10条の6関係

第1項ただし書の「特別の事情」については、別途通知する基準を参照のこと。

(3) 第12条の6関係

企画調整会議は、校長の補助機関として、主に教科別の学習指導以外の校務に関する企画立案及び連絡調整等を行う機関であるため、必ずしも指導教諭を構成員とすることを要しない。ただし、校長は必要に応じて指導教諭を企画調整会議に参加させることができる。

第2 教科主任の設置に関する事項(第10条の4第10条の5第10条の6及び第12条の6)

1 改正の趣旨

都立高等学校及び都立中等教育学校において、生徒の学力向上を図るため、教員の組織的な学習指導への取組を強化する必要があることから、これまで主として経営体制強化のために設置してきた主任の仕組みを教科指導にも導入し、教科主任を設置することとした。

2 解釈及び運用方針

(1) 第10条の4関係

ア 設置の目的

(ア) 各教科における指導の目標、方針の共有及び授業進度の調整

(イ) 校内における教科指導に関する人材育成の強化

イ 設置する学校

高等学校の全日制課程、定時制課程及び通信制課程並びに中等教育学校

なお、併設型高等学校に設置する教科主任は、附属中学校の教科の教育活動に関する事項についても所掌するものとし、中等教育学校については、課程の別にかかわらず学校に1人の教科主任を置くものとする。

ウ 設置する教科

(ア) 教科主任は、次の教科に置く。ただし、地理歴史と公民については、併せて1人の教科主任を置くものとする。

a 国語

b 地理歴史及び公民

c 数学

d 理科

e 保健体育

f 外国語

(イ) 教科主任を置かないことができる「特別の事情」については、次のとおりとし、これに該当する場合の教科主任の設置については、校長が学校の校務分掌組織の実態に即して決定するものとする。

a 学校の学級数が全日制課程及び中等教育学校にあっては5以下の場合、定時制課程にあっては8以下の場合

b 通信制課程にあっては学校の生徒の収容定員が500人以下の場合

c 各教科ごとの教員数が2人以下の場合

(ウ) 校長は、組織的な教科指導を進めるため、必要に応じて(ア)以外の教科等に、教育委員会と協議のうえ、教科主任を置くことができることとした。ただし、教科主任の設置が組織的な学習指導への取組であることに鑑み、地理歴史及び公民を分離し、それぞれに教科主任を置くことはできない。

(2) 第10条の5関係

ア 職務の内容(第10条の5第1項第8号関係)

教科主任の職務内容である「教科の教育活動に関する事項」の具体的内容は、おおむね次のとおりである。

(ア) 教科内における組織的な教科指導体制の整備

a 各校における教科別の具体的な学習目標の策定及び検証に関すること

b 「年間授業計画」に関すること

c 各教員が作成する「週ごとの指導計画」の点検に関すること

d 授業の進度や指導内容の確認に関すること

e 定期考査及び学習評価に関すること

f 教科書選定に関すること

g 教科会の招集、開催に関すること

h 教務部との連絡・調整に関すること

i 組織的な教科指導において、校長が特に必要を認めること

(イ) 教科内における教科指導に関する人材育成体制の整備

a 教科指導力の向上に必要なOJTに関すること

b 他の教員が行う教科指導における課題の改善に関すること

イ 教科会の設置(第10条の5第1項第8号関係)

(ア) 設置の目的

教科主任が中心となって、各教科における指導の目標、方針の共有及び授業進度の調整並びに教科指導に関する人材育成を円滑に進める体制を確保するため、校務分掌組織の一つとして教科会を設置する。

設置にあたっては、各校が定める「管理運営規程」に教科会の設置を明記する。「都立学校管理運営規程(標準規程)」の改正については、別途通知する。

(イ) 所掌事項

a 各校における教科別の具体的な学習目標の策定及び検証に関すること

b 「年間授業計画」に関すること

c 各教員が作成する「週ごとの指導計画」の点検に関すること

d 授業の進度や指導内容の確認に関すること

e 定期考査及び学習評価に関すること

f 教科書選定に関すること

g 教務部との連絡・調整に関すること

h 組織的な教科指導において、校長が特に必要と認めること

i 教科指導力の向上に必要なOJTに関すること

(ウ) 構成

同一教科の全ての教員のほか、教科指導上の必要に応じ非常勤教員、実習助手を加えて構成する。

(エ) 招集者

教科会は、教科主任が招集する。

(オ) 会議の開催

各校の年間授業計画や年間行事予定を踏まえ、年間開催日を決定したうえで、月2回を目安に開催する。

教科主任は、校長、副校長に、教科会の開催状況を報告する。

(3) 第10条の6関係

ア 教科主任を担う教員(第10条の6第2項関係)

校長は、当該学校の主幹教諭又は主任教諭の中で、相応の指導力と職務経験を有している者を具申する。ただし、教科内に指導教諭が在籍する場合は、原則として指導教諭を具申する。

なお、教科内に対象とする職にある者が在籍しない場合は、教諭の中から適任者を具申する。

イ 主幹教諭が教科主任を担う場合の考え方(第10条の6第3項関係)

主幹教諭が担当する校務の範囲については、改正規則第10条第4項の規定により「委員会が別に定める基準に基づき、校長が決定する。」こととなるが、教科主任の職務はこの主幹教諭が担う校務の範囲の対象外であるため、主幹教諭に教科主任を担わせる場合は、あらためて教科主任として任命する必要がある。

ウ 教科主任と主幹教諭との関係(第10条の6第3項関係)

教科主任の設置の目的は、各教科における指導の目標及び方針を共有し、教科指導を組織的に進めることにあることから、教科内の調整業務を教科主任に一元化するものである。したがって、教科内に教科主任以外の主幹教諭が在籍する場合は、主幹教諭も含めて教科主任の調整を受ける。

エ 教科主任の任命方法(第10条の6第2項関係)

教科主任の校長具申については、他の校務分掌上の主任と同様に「教員主任名簿」を所管の学校経営支援センターに提出することにより行う。

(4) 規則第12条の6関係

企画調整会議は、校長の補助機関として、主に教科別の学習指導以外の校務に関する企画立案及び連絡調整等を行う機関であるため、必ずしも教科主任を企画調整会議の構成員とすることを要しない。

ただし、校長は必要に応じて教科主任を企画調整会議に参加させることができる。

3 教科主任を設置する教科以外の教科における取組

教科主任を設置しない教科についても、教科代表者を定めて教科会を開催するなど、教科主任を置く教科に準じた取組を行う。

4 その他

その他の運用については、他の主任と同様とする。

東京都立学校の管理運営に関する規則の一部改正について

平成24年12月28日 教学高第1713号

(平成24年12月28日施行)

体系情報
都立学校教育部高等学校教育課
沿革情報
平成24年12月28日 教学高第1713号