○学校・園における震災等に対する避難訓練等の改善について

平成25年2月7日

24教指企第1066号

区市町村教育委員会指導事務主管課長

このことについて、東日本大震災を踏まえ、貴教育委員会では管下各学校・園における防災教育の推進を図るとともに、様々な想定を取り入れた実践的な避難訓練や防災訓練の改善に向けて取り組まれていることに改めて感謝申し上げます。

この間、東京都においては、平成24年4月に首都直下地震等による被害想定を見直すとともに、同年11月には「東京都地域防災計画」を修正しました。防災教育についても、その充実が一層求められています。

貴職におかれましては、地域の実態を踏まえ、避難訓練等を一層改善し、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人材を育てる防災教育を推進するよう、貴管下各学校・園に対し、下記の点について改めて御指導をお願いします。

1 避難訓練等の想定場面等の見直しを図ること

東日本大震災発生時刻、一部の児童・生徒が下校後だった学校や、管理職が不在だった学校、遠足等で他県等にいて交通機関等の不通により帰宅困難となった学年があった学校、あるいは津波警報が発令された地域や液状化が発生した地域等があったことなどを踏まえて、改めて自校の避難訓練等の想定時間、場面、災害の設定状況等を見直し、別紙資料「震災等に対する避難訓練等を実施する上での配慮事項」を参考とするなどして、多様な場面や状況を想定した避難訓練等を実施する。

2 体験的、実践的な避難訓練等となるよう改善を図ること

(1) 学校の種別及び地域の実情に即した避難訓練等を設定する

避難訓練の実施計画を策定する際は、学校の種別や校舎等の耐震化の状況を踏まえるとともに、区市町村が定める地域防災計画等におけるハザードマップ等を確認し、特に、木造住宅密集地域、海岸地域、海岸や池の埋め立て地、盛り土、崖の上、崖の下等にある学校は、地震に伴う火災、津波、液状化、浸水、崖崩れ等の二次災害の発生も十分に考慮する。

(2) 形式的、表面的な訓練とならないよう、緊迫感、臨場感をもたせる避難訓練等を実施する

幼児・児童・生徒等に訓練実施日は予告しておくが、想定する災害の発生時刻や被害状況等を予告しないで実施したり、消火器や屋内消火栓、担架等を活用したり、あるいは緊急地震速報のチャイム音を用いる等、様々な方法を工夫する。

(3) 家庭や地域住民、関係機関等との連携を密にした避難訓練・防災訓練を実施する

学校所在地の消防署や防災機関との連携を十分に行うとともに、保護者等に対して避難訓練等の実施日時、内容、主な想定等を情報提供したり、学校公開日等に避難訓練等を設定したりするなどして参加・協力を求める。

また、学校の避難訓練・防災訓練に、区市町村や町会等の防災担当者をゲストティーチャーとして招いたり、区市町村や町会等が主催する防災訓練に参加したりするなど、保護者や地域との連携を重視した避難訓練・防災訓練を、年間必ず1回以上実施する。

3 震災等に対する避難訓練等の計画・実施における留意事項

(1) 幼児・児童・生徒の安全を確保する下校訓練の実施

東日本大震災当日の下校方法については各学校で判断が異なったが、集団下校及び単独下校した小・中学校においては、保護者が帰宅困難となったために、児童・生徒だけで自宅で長時間過ごした事例があった。また、都立学校においては約8,400人の児童・生徒が帰宅できずに震災当日深夜まで学校に待機した。

このことを踏まえ、震災時の下校方法については、幼児・児童・生徒の安全の確保を図るため、「保護者への引き渡し」「集団下校」「スクールバスによる下校」等、幼児・児童・生徒の発達の段階及び自校の実態を踏まえた下校方法について検討し、震災の規模や状況に応じた適切な下校方法が選択できるよう、下校訓練を実施する。

(2) 避難訓練の実施回数

幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校においては年間11回以上、高等学校においては年間4回以上の避難訓練の実施を原則とする。

(3) 避難訓練等における東京都教育委員会防災教育副読本等の活用

避難訓練や防災訓練を実施する機会を捉え、防災教育副読本「地震と安全」(全児童・生徒に配布)、防災教育補助教材「3.11を忘れない」(小学校第5学年、中学校第2学年児童・生徒に配布)、高等学校「保健」補助教材「災害の発生と安全・健康 ~3.11を忘れない~ 」(高等学校第1学年配布)を活用した防災教育を実施する。

資料

震災等に対する避難訓練等を実施する上での配慮事項

1 避難訓練等の想定場面等の見直し例

(1) 設定時間・場面について

ア 登下校中

イ 始業前、放課後

ウ 授業中(普通教室・特別教室・体育館・運動場・プール等)

エ 休憩・清掃中

オ 校外での教育活動中

カ 他県等への遠足等や宿泊を伴う教育活動中

キ 委員会や部活動中(長期休業日及び学校休業日を含む)

(2) 設定状況について

ア 管理職が不在の場合

イ 電話等が不通で、情報の収集や伝達ができない場合

ウ 停電等により、校内放送が使用できない場合

エ 渡り廊下や非常階段等、事前に想定した避難経路が被害を受けて使用できない場合

オ 幼児・児童・生徒・教職員が負傷した場合

カ 校内において幼児・児童・生徒が行方不明になった場合

キ 運動場が液状化し、噴砂、地割れ、陥没等で使用できない場合

ク 島しょ部や東京湾沿岸部等に立地する学校で、津波警報が発令された場合

ケ 地震発生後、火災の発生や津波警報の発令等、被害の拡大により複合災害を想定した場合

2 体験的、実践的な避難訓練等にするための改善の視点

(1) 学校の種別及び地域の実情に即した避難訓練等を設定する

実施時期・回数・内容等は、学校種別、地域の実情、校舎の安全状況等を踏まえた実践的な訓練を設定する。併せて、「安全教育プログラム」や自校の学校安全計画等における防災教育との関連を考慮して設定する。

(2) 形式的、表面的な訓練とならないよう、緊迫感、臨場感をもたせる避難訓練等を実施する

ア 訓練実施日は予告しておくが、想定災害の発生時刻や被害状況を幼児・児童・生徒、想定によっては教職員にも予告しないで実施する等の工夫をする。

イ 消火器や屋内消火栓、担架等を積極的に活用する。

ウ 緊急地震速報のチャイム音を活用し、地震発生時に身を守る姿勢をとる訓練等を実施する。その際、「落ちてこない、倒れてこない、移動してこない」空間に身を寄せるよう指導する。

エ 廊下等の避難経路に、落下物や転倒物に見立てた段ボール等を置き、危険を避けて避難経路を選択する等、災害発生の推移に合わせた発災対応型の設定を工夫する。

オ 一時集合場所や避難場所等まで避難する訓練を取り入れる。

(3) 避難訓練等の事前・事後指導を充実する

ア 避難訓練等の意義を幼児・児童・生徒が十分に理解し、真剣な態度で訓練に臨むことができるようにするために、「自らの命は自ら守り安全に行動できる」ことを基本として、訓練の事前・事後に指導することが重要である。

その際、全児童・生徒に配布した防災教育副読本「地震と安全」を活用し、安全な避難行動を確認する等、指導の充実を図る。

イ 消防署員等の防災関係者による避難訓練等実施後の講評や、防災講話を設定する。

(4) 特別な支援が必要な幼児・児童・生徒に対する配慮

特別な教育的支援が必要な幼児・児童・生徒には、発達の特性や障害の状況等を踏まえ、必要に応じて避難訓練の想定内容等について事前に個別に説明する等、避難訓練等の実施前後に配慮する。

(5) 教職員の役割分担を明確化する

ア 教職員一人一人が指揮系統や役割分担(情報収集、関係機関への通報・連絡、搬出、救助等)など、校内の協力体制について理解を深め、的確な行動ができるようにする。

イ 避難訓練では、様々な役割を担当したり、訓練全体の流れを見たりするなど、教職員の役割を固定しないように工夫する。

(6) 家庭や地域住民、関係機関等との連携を密にした避難訓練・防災訓練を実施する

ア 学校所在地の消防署や町会等の防災担当者と連携し、次のような体験的、実践的な活動を組み合わせて実施する。

・消火器による初期消火訓練

・D級軽可搬消防ポンプ放水訓練

・宿泊防災訓練

・煙体験ハウスを活用した訓練

・AED取扱い訓練

・避難所設営訓練

・起震車体験

・応急手当

・炊き出し訓練 等

イ 消防署と連携し、避難訓練時に119番通報訓練を実施する。その際、住所や被害情報等の通報が的確にできるように訓練する。

ウ 保護者等に対して避難訓練等の実施日時、内容、主な想定等を情報提供したり、学校公開日等に避難訓練等を設定したりするなどして参加・協力を求める。

なお、避難訓練に引き続いて防災訓練を実施するなど、防災意識を高めるように工夫する。

(7) 実施後の評価を次回の避難訓練等に活用する

避難訓練等実施後は、必ずその評価を教職員相互で行い、反省点や改善点、効果的だった点等について次回の訓練に反映させる。そのため、避難訓練等の際に、避難誘導の在り方や幼児・児童・生徒の避難行動が円滑に行われているか評価する役割の教職員を位置付けることも考慮する。

平成25年2月7日

24教指企第1066号

各都立学校長

このことについて、東日本大震災を踏まえ、各学校では様々な想定を取り入れた実践的な避難訓練や防災訓練を実施していただいているところです。

この間、東京都においては、平成24年4月に首都直下地震等による被害想定を見直すとともに、同年11月には「東京都地域防災計画」を修正しました。防災教育についても、その充実が一層求められています。

貴職におかれましては、自校の防災教育推進委員会を活用するとともに、下記に基づき、避難訓練等を一層改善し、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人材を育てる防災教育を推進するようお願いします。

1 避難訓練等の想定場面等の見直しを図ること

東日本大震災発生時刻、一部の児童・生徒が下校後だった学校や、管理職が不在だった学校、遠足等で他県等にいて交通機関等の不通により帰宅困難となった学年があった学校、あるいは津波警報が発令された地域や液状化が発生した地域等があったことなどを踏まえて、改めて自校の避難訓練等の想定時間、場面、災害の設定状況等を見直し、別紙資料「震災等に対する避難訓練等を実施する上での配慮事項」を参考とするなどして、多様な場面や状況を想定した避難訓練等を実施する。

2 体験的、実践的な避難訓練等となるよう改善を図ること

(1) 学校の種別及び地域の実情に即した避難訓練等を設定する

避難訓練の実施計画を策定する際は、学校の種別や校舎等の耐震化の状況を踏まえるとともに、区市町村が定める地域防災計画等におけるハザードマップ等を確認し、特に、木造住宅密集地域、海岸地域、海岸や池の埋め立て地、盛り土、崖の上、崖の下等にある学校は、地震に伴う火災、津波、液状化、浸水、崖崩れ等の二次災害の発生も十分に考慮する。

(2) 形式的、表面的な訓練とならないよう、緊迫感、臨場感をもたせる避難訓練等を実施する

幼児・児童・生徒等に訓練実施日は予告しておくが、想定する災害の発生時刻や被害状況等を予告しないで実施したり、消火器や屋内消火栓、担架等を活用したり、あるいは緊急地震速報のチャイム音を用いる等、様々な方法を工夫する。

(3) 家庭や地域住民、関係機関等との連携を密にした避難訓練・防災訓練を実施する

学校所在地の消防署や防災機関との連携を十分に行うとともに、保護者等に対して避難訓練等の実施日時、内容、主な想定等を情報提供したり、学校公開日等に避難訓練等を設定したりするなどして参加・協力を求める。

また、学校の避難訓練・防災訓練に、区市町村や町会等の防災担当者をゲストティーチャーとして招いたり、区市町村や町会等が主催する防災訓練に参加したりするなど、保護者や地域との連携を重視した避難訓練・防災訓練を、年間必ず1回以上実施する。

3 震災等に対する避難訓練等の計画・実施における留意事項

(1) 幼児・児童・生徒の安全を確保する下校訓練の実施

東日本大震災当日の下校方法については各学校で判断が異なったが、集団下校及び単独下校した小・中学校においては、保護者が帰宅困難となったために、児童・生徒だけで自宅で長時間過ごした事例があった。また、都立学校においては約8,400人の児童・生徒が帰宅できずに震災当日深夜まで学校に待機した。

このことを踏まえ、震災時の下校方法については、幼児・児童・生徒の安全の確保を図るため、「保護者への引き渡し」「集団下校」「スクールバスによる下校」等、幼児・児童・生徒の発達の段階及び自校の実態を踏まえた下校方法について検討し、震災の規模や状況に応じた適切な下校方法が選択できるよう、下校訓練を実施する。

(2) 避難訓練の実施回数

幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校においては年間11回以上、高等学校においては年間4回以上の避難訓練の実施を原則とする。

(3) 避難訓練等における東京都教育委員会防災教育副読本等の活用

避難訓練や防災訓練を実施する機会を捉え、防災教育副読本「地震と安全」(全児童・生徒に配布)、防災教育補助教材「3.11を忘れない」(小学校第5学年、中学校第2学年児童・生徒に配布)、高等学校「保健」補助教材「災害の発生と安全・健康 ~3.11を忘れない~ 」(高等学校第1学年配布)を活用した防災教育を実施する。

資料

震災等に対する避難訓練等を実施する上での配慮事項

1 避難訓練等の想定場面等の見直し例

(1) 設定時間・場面について

ア 登下校中

イ 始業前、放課後

ウ 授業中(普通教室・特別教室・体育館・運動場・プール等)

エ 休憩・清掃中

オ 校外での教育活動中

カ 他県等への遠足等や宿泊を伴う教育活動中

キ 委員会や部活動中(長期休業日及び学校休業日を含む)

(2) 設定状況について

ア 管理職が不在の場合

イ 電話等が不通で、情報の収集や伝達ができない場合

ウ 停電等により、校内放送が使用できない場合

エ 渡り廊下や非常階段等、事前に想定した避難経路が被害を受けて使用できない場合

オ 幼児・児童・生徒・教職員が負傷した場合

カ 校内において幼児・児童・生徒が行方不明になった場合

キ 運動場が液状化し、噴砂、地割れ、陥没等で使用できない場合

ク 島しょ部や東京湾沿岸部等に立地する学校で、津波警報が発令された場合

ケ 地震発生後、火災の発生や津波警報の発令等、被害の拡大により複合災害を想定した場合

2 体験的、実践的な避難訓練等にするための改善の視点

(1) 学校の種別及び地域の実情に即した避難訓練等を設定する

実施時期・回数・内容等は、学校種別、地域の実情、校舎の安全状況等を踏まえた実践的な訓練を設定する。併せて、「安全教育プログラム」や自校の学校安全計画等における防災教育との関連を考慮して設定する。

(2) 形式的、表面的な訓練とならないよう、緊迫感、臨場感をもたせる避難訓練等を実施する

ア 訓練実施日は予告しておくが、想定災害の発生時刻や被害状況を幼児・児童・生徒、想定によっては教職員にも予告しないで実施する等の工夫をする。

イ 消火器や屋内消火栓、担架等を積極的に活用する。

ウ 緊急地震速報のチャイム音を活用し、地震発生時に身を守る姿勢をとる訓練等を実施する。その際、「落ちてこない、倒れてこない、移動してこない」空間に身を寄せるよう指導する。

エ 廊下等の避難経路に、落下物や転倒物に見立てた段ボール等を置き、危険を避けて避難経路を選択する等、災害発生の推移に合わせた発災対応型の設定を工夫する。

オ 一時集合場所や避難場所等まで避難する訓練を取り入れる。

(3) 避難訓練等の事前・事後指導を充実する

ア 避難訓練等の意義を幼児・児童・生徒が十分に理解し、真剣な態度で訓練に臨むことができるようにするために、「自らの命は自ら守り安全に行動できる」ことを基本として、訓練の事前・事後に指導することが重要である。

その際、全児童・生徒に配布した防災教育副読本「地震と安全」を活用し、安全な避難行動を確認する等、指導の充実を図る。

イ 消防署員等の防災関係者による避難訓練等実施後の講評や、防災講話を設定する。

(4) 特別な支援が必要な幼児・児童・生徒に対する配慮

特別な教育的支援が必要な幼児・児童・生徒には、発達の特性や障害の状況等を踏まえ、必要に応じて避難訓練の想定内容等について事前に個別に説明する等、避難訓練等の実施前後に配慮する。

(5) 教職員の役割分担を明確化する

ア 教職員一人一人が指揮系統や役割分担(情報収集、関係機関への通報・連絡、搬出、救助等)など、校内の協力体制について理解を深め、的確な行動ができるようにする。

イ 避難訓練では、様々な役割を担当したり、訓練全体の流れを見たりするなど、教職員の役割を固定しないように工夫する。

(6) 家庭や地域住民、関係機関等との連携を密にした避難訓練・防災訓練を実施する

ア 学校所在地の消防署や町会等の防災担当者と連携し、次のような体験的、実践的な活動を組み合わせて実施する。

・消火器による初期消火訓練

・D級軽可搬消防ポンプ放水訓練

・宿泊防災訓練

・煙体験ハウスを活用した訓練

・AED取扱い訓練

・避難所設営訓練

・起震車体験

・応急手当

・炊き出し訓練 等

イ 消防署と連携し、避難訓練時に119番通報訓練を実施する。その際、住所や被害情報等の通報が的確にできるように訓練する。

ウ 保護者等に対して避難訓練等の実施日時、内容、主な想定等を情報提供したり、学校公開日等に避難訓練等を設定したりするなどして参加・協力を求める。

なお、避難訓練に引き続いて防災訓練を実施するなど、防災意識を高めるように工夫する。

(7) 実施後の評価を次回の避難訓練等に活用する

避難訓練等実施後は、必ずその評価を教職員相互で行い、反省点や改善点、効果的だった点等について次回の訓練に反映させる。そのため、避難訓練等の際に、避難誘導の在り方や幼児・児童・生徒の避難行動が円滑に行われているか評価する役割の教職員を位置付けることも考慮する。

学校・園における震災等に対する避難訓練等の改善について

平成25年2月7日 教指企第1066号

(平成25年2月7日施行)

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沿革情報
平成25年2月7日 教指企第1066号