○東京都教育委員会公益通報弁護士窓口の設置に関する要綱

平成25年4月23日

25教総総第136号

教育長決定

(目的)

第1条 この要綱は、教育庁、教育事務所、教育庁出張所、事業所及び都立学校(以下「教育庁等」という。)並びに東京都内の区市町村立学校(以下「区市町村立学校」という。)における法令違反等の不適正な行為を通報するための弁護士窓口の設置及び運用に関し必要な事項を定め、もって法令遵守(コンプライアンス)の推進に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 職員 教育庁等の職員(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職及び同条第3項に規定する特別職のうち、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいう。)である者をいう。

 県費負担教職員 区市町村立学校に勤務する県費負担教職員(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第37条に規定する県費負担教職員をいう。)をいう。

 児童・生徒、保護者 都立学校及び区市町村立学校に通う児童・生徒及びその保護者をいう。

 都民等 都民、都内に在勤又は在学している者及び教育庁が所管する施設を利用する者(前三号に規定する者を除く。)

 職員・学校関係者通報 職員、県費負担教職員又は児童・生徒、保護者が、教育庁等若しくは区市町村立学校又は教育庁等若しくは区市町村立学校の事業に従事する場合におけるその職員、県費負担教職員、代理人その他の者について、法令等に違反する不適正な事実(以下「通報対象事実」という。)が生じ、又は正に生じようとしていると思料して、原則として氏名を明らかにし、その旨を弁護士窓口に対し知らせることをいう。

 都民等通報 都民等が、教育庁等若しくは区市町村立学校又は教育庁等若しくは区市町村立学校の事業に従事する場合におけるその職員、県費負担教職員、代理人その他の者について、法令(条例、規則その他の規程を含む。)に違反する行為(以下「法令違反行為」という。)が生じ、又は正に生じようとしていると思料して、原則として氏名を明らかにし、その旨を弁護士窓口に対し知らせることをいう。

 相談 職員、県費負担教職員、児童・生徒、保護者又は都民等が、通報処理の仕組み、通報対象事実又は法令違反行為の該当の有無等について、弁護士窓口に対し助言を求めることをいう。

 弁護士窓口 職員、県費負担教職員、児童・生徒、保護者又は都民等から公益通報又は相談を受ける第4条第1項に規定する弁護士の窓口をいう。

 公益通報 職員・学校関係者通報及び都民等通報をいう。ただし、次のいずれかに該当する場合は、公益通報には当たらないものとする。

 苦情、要望、意見又は相談に該当するとき。

 教育庁等若しくは区市町村立学校又は教育庁等若しくは区市町村立学校の事業に従事する場合におけるその職員、県費負担教職員、代理人その他の者についての通報ではないとき。

 通報対象事実又は法令違反行為に該当しないことが明確であるとき。

 同一の通報者からの同趣旨の公益通報であるとき。

 既に教育庁等又は区市町村教育委員会が、通報対象となった事実に対応している又は対応を終えているとき。

 訴訟、和解、あっせん、調停、仲裁その他の手続によって解決又は処理を図ることが適当と認められるとき。

 通報内容が具体的かつ客観的でなく、十分な調査を行うことができないものであるとき。

(東京都教育委員会教育長の責務)

第3条 東京都教育委員会教育長(以下「教育長」という。)は、弁護士窓口に公益通報又は相談があった場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

2 教育長は、職員、県費負担教職員、児童・生徒、保護者又は都民等が、弁護士窓口に公益通報又は相談をしたことを理由として、教育庁等又は区市町村立学校で不利益な取扱いを受けることがないよう必要な措置を講じなければならない。

3 教育長は、通報者及び相談者(以下「通報者等」という。)の保護を図るため、職員に対して必要な研修・啓発を行うよう努めなければならない。

(弁護士窓口の設置及び担当弁護士の委嘱)

第4条 東京都教育委員会は、公益通報窓口として、弁護士窓口を設置し、公益通報担当弁護士(以下「担当弁護士」という。)を置く。

2 担当弁護士は、現に弁護士の資格を有し、弁護士窓口の業務に必要な識見を有する者のうちから、教育長が委嘱する。

3 担当弁護士の任期は、1年とする。ただし、補欠の担当弁護士の任期は、前任者の残任期とする。

4 担当弁護士は、再任されることができる。

(弁護士窓口に係る所管課及び担当者の選任)

第5条 教育庁総務部総務課(以下「総務課」という。)を弁護士窓口と連絡調整を行う所管課(以下「教育庁窓口」という。)とし、総務部人事担当課長(以下「人事担当課長」という。)をその責任者とする。

2 人事担当課長は、総務課の常勤の一般職員のうちから、複数の者を教育庁窓口の担当者に選任する。

(弁護士窓口に係る部所担当課の設置)

第6条 教育庁各部ごとに、公益通報を担当する所管課(以下「部所担当課」という。)を置く。

(担当弁護士、教育庁窓口及び部所担当課の職務)

第7条 担当弁護士は、公益通報を受けた場合等は、教育庁窓口へ報告する。

2 教育庁窓口は、担当弁護士から前項の報告を受けた場合は、必要に応じて関係する部所担当課に調査を行うよう指示する。また、調査の結果、通報対象事実があると認められた場合は、是正措置及び再発防止措置(以下「是正措置等」という。)についても併せて報告するよう指示する。

3 関係する部所担当課は、教育庁窓口から調査又は是正措置等の指示を受けた場合は、速やかに調査を行い又は是正措置等を講ずるとともに、結果を速やかに人事担当課長宛てに報告する。

4 部所担当課は、前項の調査又は是正措置等を行うに当たり、当該事案に関係する教育事務所、教育庁出張所、事業所及び区市町村教育委員会等と連携して対応するとともに、必要に応じ指導、助言又は援助等を行う。

5 教育庁窓口は、弁護士窓口及び部所担当課との連絡調整を行う。

6 担当弁護士は、相談を受けた場合は、必要に応じて教育庁窓口と協議し助言を適切に行う。

7 第1項及び前項の規定により公益通報の報告及び相談の協議を行う場合において、担当弁護士は、教育庁窓口に対し通報者等の氏名、住所、所属、連絡先その他の個人が特定される情報(以下「個人情報」という。)は報告しないこととする。ただし、通報者等が個人情報を教育庁窓口に報告することをあらかじめ承諾している場合は、この限りでない。

(公益通報・相談)

第8条 公益通報及び相談は、通報者等が別紙様式を弁護士窓口宛て電子メール又はファクシミリで送付することにより行う。

2 公益通報及び相談は、原則として通報者等の氏名を明らかにして行うものとするが、通報者等が特に希望する場合は、匿名により行うことができる。

(相談の受付等)

第9条 相談を受けた担当弁護士は、相談者の秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、相談の内容に応じて助言を適切に行うとともに、相談者の秘密は保持されること、個人情報は保護されること及び相談者に対する不利益な取扱いのないことを、相談者に対し説明する。助言に当たっては、相談者の秘密保持及び個人情報の保護に配慮しつつ、教育庁窓口と協議することができる。

(公益通報の受付等)

第10条 公益通報を受けた担当弁護士は、通報者の秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、通報者の氏名、所属及び連絡先並びに通報内容となる事実を把握するとともに、通報者の秘密は保持されること、個人情報は保護されること及び通報者に対する不利益な取扱いのないことを、通報者に対し説明する。

2 担当弁護士は、受け付けた通報内容を教育庁窓口へ報告し、必要に応じて通報内容への対応について、教育庁窓口と協議を行う。

3 担当弁護士は、教育庁窓口が公益通報を受理し調査を行う場合はその旨を、教育庁窓口が公益通報を受理し調査を行わない場合及び教育庁窓口が公益通報を受理しない場合はその旨及びその理由を、通報者に対し通報を受けた日から原則として20日以内に(文書により通知する場合は、通報を受けた日から原則として20日以内に文書が通報者に到着するように)通知する。ただし、第5項の調査に期間を要する場合及び匿名による公益通報及び通報者に通知する手段がない場合は、この限りでない。

4 担当弁護士は、公益通報として送付された事案の内容が、第2条第9号に定める公益通報に当たらない場合であると判断した場合には、当該事案を相談として対応し、相談内容に応じた窓口を案内するなど適切に処理する。

5 通報を受け付けた上で、担当弁護士又は教育庁窓口は、公益通報として送付された事案の内容が、第2条第9号アからまでに掲げる場合に該当するか否かを判断するための事前調査を行うことができるものとする。事前調査を行う場合、教育庁窓口は、関係する部所担当課に調査を行うよう指示する。

6 教育庁窓口は、当該公益通報を受理し、調査を行い、又は受理せずに調査を行わないことについて、担当弁護士の意見を聴くものとする。

(調査の実施等)

第11条 部所担当課等は、通報者の秘密保持に配慮しつつ、遅滞なく、被通報者その他の関係者からの事情聴取その他の必要かつ相当と認められる方法で調査を行う。

2 部所担当課等は、調査中であっても、緊急かつ必要な措置を講じなければならない場合は、直ちに、通報対象事実に係る行為等の中止その他の措置を講じる。

3 部所担当課等は、教育庁窓口があらかじめ定める調査期限を経過した場合、経過時及びその後1月を経過するごとに、調査の進捗状況を教育庁窓口に報告する。

4 教育庁窓口は、第1項の規定により行う調査の方法及びその結果について、必要に応じて、担当弁護士の意見を聴くものとする。

(是正措置の実施等)

第12条 部所担当課等は、調査の結果、通報対象事実又は法令違反行為があると認められた場合は、速やかに是正措置等を講じる。

2 担当弁護士は、部所担当課等による調査の結果、通報対象事実又は法令違反行為があると認められ、是正措置等が講じられた場合は事実関係及び是正措置等の概要等を、通報対象事実、法令違反行為等があると認められなかった場合又は調査を尽くしても当該事実の存否が明らかにならなかった場合はその旨を、関係者のプライバシーに配慮しつつ、通報者に対し遅滞なく通知する。ただし、匿名による公益通報及び通報者に通知する手段がない場合は、この限りでない。

(通報者等の保護・利益相反関係の排除等)

第13条 職員等、県費負担教職員、児童・生徒、保護者又は都民等は、公益通報又は相談をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

2 この要綱に定める事務(調査及び是正措置等を含む。以下同じ。)に従事する者は、通報者等その他関係者のプライバシーに十分に配慮し、知り得た秘密及び個人情報は厳守しなければならない。

3 この要綱に定める事務に従事する者は、自らが関係する通報処理に関与してはならない。

4 この要綱に定める事務に従事する者は、区市町村教育委員会等と連携して対応する場合において、当該区市町村教育委員会等においても前3項に準じた取扱いが行われるよう十分に配慮しなければならない。

(公益通報を行おうとする者等の責務)

第14条 この要綱に基づき公益通報を行おうとする者は、虚偽の通報、他人をひぼう中傷する通報、他人の業務を妨害する通報その他の不正の目的による通報をしてはならない。

2 この要綱に基づき通報を行おうとする者は、他人の利益又は公共の利益を害する通報をしないよう努めなければならない。

3 被通報者その他の関係者は、教育庁窓口及び部所担当課等が行う調査に協力しなければならない。また、調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

(公益通報対応業務従事者の範囲等)

第15条 職員、県費負担教職員、児童・生徒、保護者又は都民等から弁護士窓口に公益通報があった場合において、主たる職務として公益通報を担当する者をあらかじめ別に指定する。

2 前項に掲げる者以外で公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者については、公益通報対応業務従事者として、必要に応じて個別に指定する。ただし、法令又は規則等により定めることができない場合は、この限りでない。

(公表)

第16条 教育庁窓口は、毎年度、公益通報に関する処理の状況について、インターネットの利用その他の適切な方法によりその概要を公表するものとする。

(その他)

第17条 この要綱に定めるもののほか、この要綱を実施するために必要な事項は、教育庁総務部長が別に定める。

この要綱は、平成25年4月26日から施行する。

(平成29年28教総総第2438号)

この要綱は、平成29年4月3日から施行する。

(平成31年30教総総第2429号)

この要綱は、平成31年4月1日から施行する。

(令和4年4教総総第582号)

この要綱は、令和4年6月1日から施行する。

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東京都教育委員会公益通報弁護士窓口の設置に関する要綱

平成25年4月23日 教総総第136号

(令和4年6月1日施行)

体系情報
総務部総務課
沿革情報
平成25年4月23日 教総総第136号
平成29年3月31日 教総総第2438号
平成31年3月28日 教総総第2429号
令和4年5月31日 教総総第582号