○東京都いじめ防止対策推進条例

平成二六年七月二日

条例第一〇三号

東京都いじめ防止対策推進条例を公布する。

東京都いじめ防止対策推進条例

(目的)

第一条 この条例は、いじめの防止等のための対策について、基本理念を定め、東京都(以下「都」という。)、学校の設置者、学校及び学校の教職員並びに保護者の責務を明らかにするとともに、都の施策に関する基本的な事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

2 この条例において「いじめの防止等」とは、いじめの未然防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。

3 この条例において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)であって、都及び区市町村(特別区及び市町村をいう。以下同じ。)が設置するもの並びに学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。以下同じ。)が設置するもののうち知事が所轄するものをいう。

4 この条例において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。

5 この条例において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

(平二八条例二八・一部改正)

(基本理念)

第三条 いじめの防止等のための対策は、いじめが児童等の生命、心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであることに鑑み、全ての児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

2 いじめの防止等のための対策は、児童等の生命及び心身を保護し、児童等をいじめから確実に守るとともに、児童等のいじめに関する理解を深め、児童等がいじめを知りながら放置することなく、いじめの解決に向けて主体的に行動できるようにすることを旨として行われなければならない。

3 学校におけるいじめの防止等のための対策は、いじめの防止等に関する取組を実効的に行うため、学校全体で組織的に取り組むことを旨として行われなければならない。

4 いじめの防止等のための対策は、学校に加え、都、区市町村、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、社会全体でいじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

(いじめの禁止)

第四条 児童等は、いじめを行ってはならない。

(都の責務)

第五条 都は、第三条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、区市町村並びにいじめの防止等に関係する機関及び団体と連携して、いじめの防止等のための対策を策定し、及び総合的かつ効果的に推進する責務を有する。

(学校の設置者の責務)

第六条 学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。

(学校及び学校の教職員の責務)

第七条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民並びにいじめの防止等に関係する機関及び団体との連携を図りつつ、学校全体でいじめの未然防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速に対処する責務を有する。

(保護者の責務)

第八条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであり、いじめが児童等の生命、心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであるとの認識の下、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。

2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

3 保護者は、都、学校の設置者及びその設置する学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。

(東京都いじめ防止対策推進基本方針)

第九条 都は、いじめの防止等のための対策の基本的な考え方その他いじめの防止等のための対策の推進に必要な事項を東京都いじめ防止対策推進基本方針(以下「基本方針」という。)として定めるものとする。

2 基本方針は、いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号。以下「法」という。)第十二条の規定に基づくいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針とする。

(東京都いじめ問題対策連絡協議会)

第十条 いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、法第十四条第一項の規定に基づき、学校、東京都教育委員会、東京都児童相談センター、東京法務局、警視庁その他の関係者により構成される東京都いじめ問題対策連絡協議会(以下この条において「協議会」という。)を置く。

2 協議会は、次に掲げる事項について協議する。

 都、区市町村又は学校におけるいじめの防止等のための対策の推進に関する事項

 いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携に関する事項

 その他いじめの防止等のための対策の推進に必要な事項

3 第一項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、東京都教育委員会規則で定める。

(東京都教育委員会いじめ問題対策委員会)

第十一条 基本方針に基づく都におけるいじめの防止等のための対策を実効的に行うため、法第十四条第三項の規定に基づき、東京都教育委員会の附属機関として、東京都教育委員会いじめ問題対策委員会(以下この条において「対策委員会」という。)を置く。

2 対策委員会は、東京都教育委員会の諮問に応じ、いじめの防止等のための対策の推進について調査審議し、答申する。

3 対策委員会は、いじめの防止等のための対策の推進について、必要があると認めるときは、東京都教育委員会に意見を述べることができる。

4 対策委員会は、都立学校(東京都立学校設置条例(昭和三十九年東京都条例第百十三号)第一条に規定する都立学校をいう。)において法第二十八条第一項に規定する重大事態(以下「重大事態」という。)が発生した場合には、同項に規定する組織として同項に規定する調査(以下「法第二十八条調査」という。)を行い、その結果を東京都教育委員会に報告するものとする。

5 対策委員会は、学識経験を有する者、法律、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者等のうちから、東京都教育委員会が任命する委員十人以内をもって組織する。

6 委員の任期は二年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

7 前二項に定めるもののほか、対策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、東京都教育委員会規則で定める。

(東京都いじめ問題調査委員会)

第十二条 知事は、法第三十条第一項又は法第三十一条第一項の規定による報告を受けた場合において、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、法第三十条第二項又は法第三十一条第二項の規定に基づき、知事の附属機関として、東京都いじめ問題調査委員会(以下この条において「調査委員会」という。)を置くことができる。

2 調査委員会は、知事の諮問に応じ、都若しくは学校法人又はそれらの設置する学校が行った法第二十八条調査の結果について、法第三十条第二項又は法第三十一条第二項に規定する調査(以下この条において「再調査」という。)を行う。

3 学校、学校の設置者その他の関係者は、再調査の適正かつ円滑な実施に協力するよう努めるものとする。

4 調査委員会は、学識経験を有する者、法律、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者等で、当該報告に係る法第二十八条調査を行った組織の構成員以外のもののうちから、知事が任命する委員十人以内をもって組織する。

5 委員の任期は、知事が任命したときから、再調査が終了するときまでとする。

6 調査委員会を設置したときは、知事は、これを東京都議会に報告する。

7 第四項及び第五項に定めるもののほか、調査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、東京都規則で定める。

(委任)

第十三条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事又は東京都教育委員会が定める。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第十条から第十二条までの規定は、平成二十六年八月一日から施行する。

(平成二八年条例第二八号)

この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。

東京都いじめ防止対策推進条例

平成26年7月2日 条例第103号

(平成28年4月1日施行)