○児童・生徒の自殺予防に係る取組について
令和3年7月2日
3教指企第550号
区市町村教育委員会指導事務主管課長
感染症対策が長期化する中、漠然とした不安や深刻な悩みを一人で抱え込んでしまう児童・生徒の増加が懸念されるところです。これらに加え、18歳以下の自殺は長期休業明けに増加する傾向があります。
警察庁・厚生労働省の自殺統計によると、令和2年における全国の児童・生徒の自殺者数は499人で、令和元年の399人と比較して大きく増加しており、そのうち、女子中高生の自殺者数は前年と比較して約1.7倍となっています。また、SNSを利用し、自殺願望を投稿するなどした高校生等の心の叫びに付け込んで言葉巧みに誘い出し、殺害するという極めて卑劣な事件も発生しています。
つきましては、夏季休業日を迎えるに当たり、改めて貴管下の各学校において、下記のとおり、学校組織全体で児童・生徒の自殺予防の取組が確実に行われるように指導・助言をお願いします。
なお、別添写し(令和3年6月23日付3初児生第14号及び令和3年6月29日付3初児生第16号、文部科学省初等中等教育局児童生徒課長名の通知)を参考送付します。
記
1 自殺予防に係る指導及び取組について
(1) 支援が必要な児童・生徒の早期発見・早期対応に向けた取組について
ア 教職員による児童・生徒一人一人に対する丁寧な観察やアンケート調査の実施等を通じて、気になる様子やいじめ、いじめの疑いのある状況等がないか再度確認し、支援が必要と思われる児童・生徒の早期発見・早期対応に努める。
イ 令和2年における全国の児童・生徒の自殺の原因・動機の主な傾向として、「その他進路に関する悩み(入試に関する悩みを除く)」が最も多く、次いで、「学業不振」「親子関係の不和」「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)「病気の悩み・影響(うつ病)」という順になっている。
このことを踏まえ、特に、成績の低下、うつ病等の様々な精神疾患、家庭環境の変化等、自殺の危険因子となる状況がないか留意するとともに、児童・生徒に自殺を企図する兆候が見られた場合には、特定の教職員で抱え込まず、保護者、医療機関等と連携しながら組織的に対応する。
【参考】令和2年における全国の児童・生徒の自殺の原因・動機 上位5項目
男子 | 女子 | |||
順 | 原因・動機 | 人数(令和元年比) | 原因・動機 | 人数(令和元年比) |
1 | 学業不振 | 33(-4) | 病気の悩み・影響 (その他の精神疾患) | 29(+12) |
2 | その他進路に関する悩み (入試に関する悩みを除く) | 28(-4) | その他進路に関する悩み (入試に関する悩みを除く) | 27(+18) |
3 | 親子関係の不和 | 17(+5) | 親子関係の不和 | 25(+7) |
4 | 家族からのしつけ・叱責 | 15(-6) | 病気の悩み・影響(うつ病) | 22(+13) |
5 | 失恋 | 13(+6) | 学業不振 | 19(+13) |
(出典)厚生労働省「自殺の統計:各年の状況」を基に文部科学省が作成した表を改変
(2) 気になる様子が見られる児童・生徒に向けて
ア 少しでも気になる様子が感じられる児童・生徒については、その状況について管理職をはじめ教職員間で情報を共有し、必要に応じてスクールカウンセラーによる面接を行うなど、早期支援を実施する。夏季休業日中においても、全校(学年)登校日や部活動等の機会、又は保護者の連絡、家庭訪問等により、継続的に様子を確認する。
イ 児童・生徒のプライバシーに十分配慮し、関わりの深い教員等が、当該児童・生徒に声を掛け、悩みや不安の解消に向けて支援することを伝える。
ウ どんなに小さなことでも心配なことがある場合は、身近にいる信頼できる大人や外部相談機関等に相談するよう伝える。また、中学生に対しては、SNSによる教育相談も活用できることを重ねて周知する。
(3) SOSの出し方に関する教育の推進について
ア 全ての児童・生徒を対象とした「SOSの出し方に関する教育」の実施
「不安や悩みを抱えたときに、身近にいる信頼できる大人に相談することの大切さ」について、校長講話や学級指導、相談窓口連絡先一覧の配布時などの機会を捉えて、全ての児童・生徒に適時、指導する。
イ DVD教材等を活用した「SOSの出し方に関する教育」の実施
都教育委員会が作成したDVD教材「SOSの出し方に関する教育を推進するための指導資料自分を大切にしよう(平成30年2月)」等を活用又は参考にした授業を、積極的に夏季休業日前の機会を捉え、各学校いずれかの学年において年間1単位時間以上、指導計画に基づき必ず実施する。
(4) 教職員の対応力の向上に向けて
ア 夏季休業日前に、全教職員で「学校における児童・生徒の自殺対策の取組~寄り添い、支え、命を守るために~(平成30年2月)」を活用して「学校における子供の自殺予防対策の六つの重点」について共通理解を図る。
イ 「いじめ総合対策【第2次・一部改定】」上巻の101ページに掲載している研修プログラム「『子供のSOSを受け止め、支援する力』の向上のために」を活用して、一人一人の教職員が子供のSOSを確実に受け止め、適切に支援する力を高める。
(5) 保護者・地域に向けて
学校だよりや学校ホームページ等により、保護者や地域に対して、夏季休業日中の家庭における児童・生徒の見守りについて依頼するとともに、保護者向けリーフレット「『どうしたの?』一声かけてみませんか」を活用し、児童・生徒に少しでも気になる様子が見られる場合は学校や相談機関に相談するよう周知するなど、学校・家庭・地域の連携による「子供が安心して相談できる環境」を構築する。
2 相談窓口の周知について
(1) 配布資料
「不安や悩みがあるときは…一人で悩まず、相談しよう」(区市町村立学校用)の電子ファイル
※ 配布資料右上の「○○区市町村○○相談所」欄には、各区市町村の相談機関の名称及び連絡窓口の電話番号等を記載の上、各学校に送付をお願いします。
(2) 配布対象
貴管下小・中学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校の全児童・生徒
(3) 配布時期
夏季休業日に向けた学級指導等において配布する。
(4) その他
次のURLに相談窓口一覧の情報を取りまとめました。7月16日から公開予定です。一人1台の学習者用端末においてブラウザで開き、ブックマークする(お気に入りに登録する)よう指導するなど、ぜひ御活用ください。
https://ijime.metro.tokyo.lg.jp/message/「TOKYO ほっとメッセージチャンネル」
○児童・生徒の自殺予防に係る取組について
令和3年7月2日
3教指企第550号
都立学校長
感染症対策が長期化する中、漠然とした不安や深刻な悩みを一人で抱え込んでしまう児童・生徒の増加が懸念されるところです。これらに加え、18歳以下の自殺は長期休業明けに増加する傾向があります。
警察庁・厚生労働省の自殺統計によると、令和2年における全国の児童・生徒の自殺者数は499人で、令和元年の399人と比較して大きく増加しており、そのうち、女子中高生の自殺者数は前年と比較して約1.7倍となっています。また、SNSを利用し、自殺願望を投稿するなどした高校生等の心の叫びに付け込んで言葉巧みに誘い出し、殺害するという極めて卑劣な事件も発生しています。
つきましては、夏季休業日を迎えるに当たり、改めて貴校において、下記のとおり、学校組織全体で児童・生徒の自殺予防の取組が確実に行われるように指導・助言をお願いします。
なお、別添写し(令和3年6月23日付3初児生第14号令和3年6月29日付3初児生第16号、文部科学省初等中等教育局児童生徒課長名の通知)を参考送付します。
記
1 自殺予防に係る指導及び取組について
(1) 支援が必要な児童・生徒の早期発見・早期対応に向けた取組について
ア 教職員による児童・生徒一人一人に対する丁寧な観察やアンケート調査の実施等を通じて、気になる様子やいじめ、いじめの疑いのある状況等がないか再度確認し、支援が必要と思われる児童・生徒の早期発見・早期対応に努める。
イ 令和2年における全国の児童・生徒の自殺の原因・動機の主な傾向として、「その他進路に関する悩み(入試に関する悩みを除く)」が最も多く、次いで、「学業不振」「親子関係の不和」「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)「病気の悩み・影響(うつ病)」という順になっている。
このことを踏まえ、特に、成績の低下、うつ病等の様々な精神疾患、家庭環境の変化等、自殺の危険因子となる状況がないか留意するとともに、児童・生徒に自殺を企図する兆候が見られた場合には、特定の教職員で抱え込まず、保護者、医療機関等と連携しながら組織的に対応する。
【参考】令和2年における全国の児童・生徒の自殺の原因・動機 上位5項目
男子 | 女子 | |||
順 | 原因・動機 | 人数(令和元年比) | 原因・動機 | 人数(令和元年比) |
1 | 学業不振 | 33(-4) | 病気の悩み・影響 (その他の精神疾患) | 29(+12) |
2 | その他進路に関する悩み (入試に関する悩みを除く) | 28(-4) | その他進路に関する悩み (入試に関する悩みを除く) | 27(+18) |
3 | 親子関係の不和 | 17(+5) | 親子関係の不和 | 25(+7) |
4 | 家族からのしつけ・叱責 | 15(-6) | 病気の悩み・影響(うつ病) | 22(+13) |
5 | 失恋 | 13(+6) | 学業不振 | 19(+13) |
(出典)厚生労働省「自殺の統計:各年の状況」を基に文部科学省が作成した表を改変
(2) 気になる様子が見られる児童・生徒に向けて
ア 少しでも気になる様子が感じられる児童・生徒については、その状況について管理職をはじめ教職員間で情報を共有し、必要に応じてスクールカウンセラーによる面接を行うなど、早期支援を実施する。夏季休業日中においても、全校(学年)登校日や部活動等の機会、又は保護者の連絡、家庭訪問等により、継続的に様子を確認する。
イ 児童・生徒のプライバシーに十分配慮し、関わりの深い教員等が、当該児童・生徒に声を掛け、悩みや不安の解消に向けて支援することを伝える。
ウ どんなに小さなことでも心配なことがある場合は、身近にいる信頼できる大人や外部相談機関等に相談するよう伝える。また、中学生に対しては、SNSによる教育相談も活用できることを重ねて周知する。
(3) SOSの出し方に関する教育の推進について
ア 全ての児童・生徒を対象とした「SOSの出し方に関する教育」の実施
「不安や悩みを抱えたときに、身近にいる信頼できる大人に相談することの大切さ」について、校長講話や学級指導、相談窓口連絡先一覧の配布時などの機会を捉えて、全ての児童・生徒に適時、指導する。
イ DVD教材等を活用した「SOSの出し方に関する教育」の実施
都教育委員会が作成したDVD教材「SOSの出し方に関する教育を推進するための指導資料自分を大切にしよう(平成30年2月)」等を活用又は参考にした授業を、積極的に夏季休業日前の機会を捉え、各学校いずれかの学年において年間1単位時間以上、指導計画に基づき必ず実施する。
(4) 教職員の対応力の向上に向けて
ア 夏季休業日前に、全教職員で「学校における児童・生徒の自殺対策の取組~寄り添い、支え、命を守るために~(平成30年2月)」を活用して「学校における子供の自殺予防対策の六つの重点」について共通理解を図る。
イ 「いじめ総合対策【第2次・一部改定】」上巻の101ページに掲載している研修プログラム「『子供のSOSを受け止め、支援する力』の向上のために」を活用して、一人一人の教職員が子供のSOSを確実に受け止め、適切に支援する力を高める。
(5) 保護者・地域に向けて
学校だよりや学校ホームページ等により、保護者や地域に対して、夏季休業日中の家庭における児童・生徒の見守りについて依頼するとともに、保護者向けリーフレット「『どうしたの?』一声かけてみませんか」を活用し、児童・生徒に少しでも気になる様子が見られる場合は学校や相談機関に相談するよう周知するなど、学校・家庭・地域の連携による「子供が安心して相談できる環境」を構築する。
2 相談窓口の周知について
(1) 配布資料
「不安や悩みがあるときは…一人で悩まず、相談しよう」(都立学校用)の電子ファイル
(2) 配布対象
貴校の全児童・生徒
(3) 配布時期
夏季休業日に向けた学級指導等において配布する。
(4) その他
次のURLに相談窓口一覧の情報を取りまとめました。7月16日から公開予定です。一人1台の学習者用端末や、生徒が所有する情報通信端末においてブラウザで開き、ブックマークする(お気に入りに登録する)よう指導するなど、ぜひ御活用ください。
https://ijime.metro.tokyo.lg.jp/message/「TOKYO ほっとメッセージチャンネル」