ここから本文です

とうきょうの教育 第91号 小学校版 全国学力・学習状況調査の結果

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

公開日:平成22年(2010)4月30日
最終更新日:平成22年(2010)4月30日

このたび、文部科学省が、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的に児童・生徒 の学力状況を把握する「全国・学力学習状況調査」を平成21年4月21日に実施し、その結果を平成21年8月27 日に公表しました。

これを受けて、東京都の調査結果を報告書にまとめましたので、お知らせします。 


平成21年度 全国学力・学習状況調査の結果について

1 調査の実施概要

(1) 調査の対象学年

  • 小学校第6学年、特別支援学校小学部第6学年
  • 中学校第3学年、中等教育学校第3学年、特別支援学校中学部第3学年

(2) 調査の内容

[1]教科に関する調査
主として「知識」に関する問題
[国語A、算数・数学A]
主として「活用」に関する問題
[国語B、算数・数学B]
・身に付けておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容
・実生活において不可欠であり、常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能など
・知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力などにかかわる内容
・様々な課題解決のための構想を立て実践し、評価・改善する力などにかかわる内容など
[2]生活習慣や学習環境に関する質問紙調査
児童・生徒に対する調査 学校に対する調査
学習意欲、学習方法、学習環境、生活の諸側面等に関する調査 指導方法に関する取組や人的・物的な教育条件の整備の状況等に関する調査

(3) 調査日

平成21年4月21日(火曜日)

(4) 4月21日に調査を実施した学校数、児童・生徒数(東京都公立)

小学校調査
  学校数 児童数
小学校 1,313校 90,113人
特別支援学校小学部 11校 69人
合計 1,324校 90,182人
中学校調査
  学校数 生徒数
中学校 621校 72,214人
中等教育学校 3校 463人
特別支援学校中学部 14校 59人
合計 638校 72,736人

 

2 教科に関する調査結果の分析と考察

(1) 小学校の調査結果

[1] 各調査の平均正答率〈( )は全国[公立]平均正答率〉
  21年度 20年度 19年度
国語A(知識) 71.6%(69.9%) 68.5%(65.4%) 82.8%(81.7%)
国語B(活用) 53.6%(50.5%) 54.1%(50.5%) 66.0%(62.0%)
算数A(知識) 79.7%(78.7%) 74.2%(72.2%) 83.7%(82.1%)
算数B(活用) 58.7%(54.8%) 55.7%(51.6%) 65.7%(63.6%)
[2] 小学校国語の具体例(国語A 知識)
出題の趣旨 設問の概要

文の意味のつながりを考えながら、接続語を使って内容を分けて書くことができるかどうかをみる。

次の文章の[3]の文を「だから」を使って二つの文に分けたときの前の文の終わりの七文字と後の文の始めの七文字を書きましょう。

[1]放送委員会の役員を決める話合いをした。[2]ぼくは、委員長を任されることになった。[3]新しく委員になった五年生は、放送機器の使い方が分からなくて不安そうにしていたので、ぼくは、これまでの経験を生かして、いろいろなことを教えてあげたいと思った。

解答類型
1 正答【(不安)そうにしていた。
だから、ぼくは、これま(での~)】
2 左記以外の解答 3 無解答
20.4% 50.0% 29.6%

この問題は、文の意味のつながりを考えながら、接続語を使って内容を分けて書くことができるかどうかをみる問題である。正答率は20.4%であり、全国の正答率と比較すると5.7ポイント高い結果となっているもののA調査の中で、最も低い正答率である。これは、問題に示されている文章の[3]の文にある二つの主語にあたる部分(「5年生は」と「ぼくは」)と二つの述語にあたる部分(「不安そうにしていた。」と「思った。」)を対応させてとらえられなかったこと、「だから」という言葉の意味・活用方法を理解していなかったことによると考えられる。

指導に当たっては、主語・述語の関係に着目して文の意味をとらえさせたり、順接や逆接の接続語を具体的な場面で、適切に活用させたりする場を設定するなどの指導の充実を図っていく必要がある。

[3] 小学校算数の具体例(算数B 活用)
出題の趣旨 設問の概要

割合の大小を判断し、その理由を数学的に表現することができるかどうかをみる。

4月の全体の重さをもとにしたペットボトルの重さの割合と、6月の全体の重さをもとにしたペットボトルの重さの割合を比べると、どのようなことが言えますか。

下のアからウまでの中から、正しいものを1つ選んで、その番号を書きましょう。また、番号を選んだわけを、言葉や式を使って書きましょう。

  • ア ペットボトルの重さの割合は、4月のほうが大きい。
  • イ ペットボトルの重さの割合は、4月と6月で同じ。
  • ウ ペットボトルの重さの割合は、6月のほうが大きい。

グラフ「リサイクル活動で集めたものの月ごとの重さ」

解答類型

(◎解答として求める条件をすべて満たしている正答 ○設問の趣旨に即し必要な条件を満たしている正答)

正答の条件:[1]全体の重さが4月の方が6月より小さい [2]ペットボトルの重さが4月と6月で同じ [3]割合、比較量、基準量の関係[4]4月と6月のペットボトルの重さの割合、または4月と6月のペットボトルの重さの割合を求める式

1◎ 2○ 3 4 5 6 7 8 9 10
アを選択 イを選択 ウを選択 左記以外の解答 無解答
19.1% 4.6% 4.5% 9.9% 37.8% 1.3% 2.3% 12.0% 0.8% 7.6%
[1][2][3]のすべて、または[4]を書いているもの [1][2]を書いているもの [1]と[3]、[2]と[3]、[1]、[2]のみを書いているもの 類型1から3以外の解答、無解答 割合を基準量÷比較量で計算。判断 [1]、[1]と[2]を書いているもの 類型6、7以外の解答、無解答    

この問題は、割合の大小を判断し、その理由を数学的に説明することができるかどうかをみる問題である。正答率は1と2を合わせて、23.7%であり、全国の正答率と比較すると6.0ポイント高い結果となっているもののA・B調査を通して、最も低い正答率である。主な誤答については、5(イを選択)で反応率が37.8%である。これは、割合ではなく、ペットボトルの重さのみに着目してしまったことによるものと考えることができる。

指導に当たっては、具体的な場面で、数直線や図などを用いて、「割合」・「比較量」・「基準量」の関係を具体的に理解させ、式に表すことや筋道を立てて説明するなどの指導の充実を図っていく必要がある。

(2) 中学校の調査結果

[1] 各調査の平均正答率〈( )は全国[公立]平均正答率〉
  21年度 20年度 19年度
国語A(知識) 77.0%(77.0%) 73.5%(73.6%) 81.6%(81.6%)
国語B(活用) 73.8%(74.5%) 61.4%(60.8%) 72.0%(72.0%)
数学A(知識) 62.6%(62.7%) 62.6%(63.1%) 71.4%(71.9%)
数学B(活用) 56.8%(56.9%) 48.9%(49.2%) 60.6%(60.6%)
[2] 中学校国語の具体例(国語B 活用)
出題の趣旨 設問の概要

資料に表れている工夫を自分の表現に役立てることができるかどうかをみる。

図書委員の山田さんは、先生から紹介された本を借りるために近くの「子供図書館」に出かけました。次の【子供図書館案内図】を見ながら、あとの問いに答えなさい。


子供図書館案内図

学校に戻った山田さんは、【子供図書館 案内図】の工夫を学校図書館の案内図にも生かそうと考えました。A

郷土資料コーナーのには、どのような見出しを書くのが適切ですか。
【子供図書館 案内図】の工夫を取り入れて書きなさい。

学校図書館図

解答類型

正答の条件 (正答例)「郷土について知りたいとき」
[1]見出しとして簡潔に書いている。[2]学校図書館利用者の立場で書いている。
[3]郷土資料コーナーの説明を踏まえて適切な内容を書いている。

1 正答 2 3 4 5 6
条件[1]、[2]、[3]を満たして解答しているもの 条件[1]、[2]を満たし、条件[3]を満たさないで解答しているもの 条件[1]、[3]を満たし、条件[2]を満たさないで解答しているもの 条件[2]、[3]を満たし、条件[1]を満たさないで解答しているもの 左記以外の解答 無解答
52.9% 28.1% 2.2% 0.2% 8.9% 7.8%

この問題は、資料に表れている工夫を自分の表現に役立てることができるかどうかをみる問題である。正答率は52.9%であり、全国の正答率と比較すると6.2ポイント低い結果となっており、B調査の中で、最も低い正答率となっている。最も多い誤答は、2で反応率が28.1%である。これは、見出しを作成する際、見出しの形式や利用者の立場についてはとらえることができたものの、見出しの目的をとらえられず、「歴史や文化を調べたいとき」、「資料を読みたいとき」というように「郷土資料コーナーの説明」という条件を把握できなかったことによると考えられる。

したがって、指導に当たっては、多様な資料を教材として活用し、資料を読む際には、それぞれの資料の目的や意図は何か、どのように工夫されているか、といった視点を明確にして読み取らせるようにするなどの指導の充実を図る必要がある。

[3] 中学校数学の具体例(数学A 知識)
出題の趣旨 設問の概要

一元一次方程式をつくって問題を解決するために、数量の関係をとらえ、2通りに表せる数量に着目できるかどうかをみる。

次の問題と考え方を読んで、下の四角にあてはまる言葉をかきなさい。

【問題】

折り紙を何人かの生徒に配るのに、1人に3枚ずつ配ると20枚余ります。また、1人に5枚ずつ配ると2枚たりません。生徒の人数を求めるために、生徒の人数をX人として、方程式をつくりなさい。

【考え方】

方程式をつくるために、Xを使って、上の問題の数量のうち、四角を2通りの式と、3X+20と5X-2になります。この2つの式が等しいので、方程式は3X+20=5X-2 です。

解答類型
1 正答 折り紙の枚数 2 折り紙 3 生徒の人数 4 配り方 5 左記以外の解答 6 無解答
36.0% 4.9% 17.5% 2.7% 19.2% 19.8%

この問題は、一元一次方程式をつくって問題を解決するために、数量の関係をとらえ、2通りに表せる数量に着目できるかどうかをみる問題である。正答率は36.0%であり、全国の正答率と比較すると1.1ポイント高い結果となっているもののA調査の中で、二番目に低い正答率である。主な誤答については、3の「生徒の人数」で反応率が17.5%である。これは、Xが表すものと間違えたことによると考えられる。

指導に当たっては、問題の中にある数量に着目し、式の表す意味を読み取ったり、表現した式が適切かどうかを振り返ったりする指導が大切である。特に、文章題において、小学校では主に答えを求めるために式をつくるが、中学校では関係を表すために式をつくることが多くなる。したがって、等しい関係にある2量を見付けたり、2つの式で表現できる数量は何かを考えさせたりするなどの指導の充実を図っていく必要がある。

3 生活習慣や学習環境等に関する調査結果の概要

(1) 児童生徒に対する調査(児童生徒質問紙)

※上位2項目(「している」「どちらかといえばしている」、「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」等)の割合

小学校第6学年

  • 普段(月~金曜日)、何時頃に起きますか。
  • 小学校第6学年「普段(月~金曜日)、何時頃に起きますか。」グラフ
  • 家の人と普段(月~金曜日)、夕食を一緒に食べていますか。
  • 小学校6学年「家の人と普段(月~金曜日)、夕食を一緒に食べていますか。」グラフ
  • 今、住んでいる地域の行事に参加していますか。
  • 小学校第6学年「今、住んでいる地域の行事に参加していますか。」グラフ
  • 新聞やテレビのニュースなどに関心がありますか。
  • 小学校第6学年「新聞やテレビのニュースなどに関心がありますか。」グラフ

中学校第3学年

  • 普段(月~金曜日)、何時頃に起きますか。
  • 中学校第3学年「普段(月~金曜日)、何時頃に起きますか。」グラフ
  • 家の人と普段(月~金曜日)、夕食を一緒に食べていますか。
  • 中学校第3学年「家の人と普段(月~金曜日)、夕食を一緒に食べていますか。」グラフ
  • 今、住んでいる地域の行事に参加していますか。
  • 中学校第3学年「今、住んでいる地域の行事に参加していますか。」グラフ
  • 新聞やテレビのニュースなどに関心がありますか。
  • 中学校第3学年「新聞やテレビのニュースなどに関心がありますか。」グラフ

(2) 学校に対する調査(学校質問紙)

学力向上に向けた取組について

[1]放課後の利用について〈放課後を利用した補充的な学習サポートを実施しましたか。〉

  • 小学校
  • 小学校「放課後の利用について」グラフ
  • 中学校
  • 中学校「放課後の利用について」グラフ

[2]土曜日の利用について〈土曜日を利用した補充的な学習サポートを実施しましたか。〉

  • 小学校
  • 小学校「土曜日の利用について」グラフ
  • 中学校
  • 中学校「土曜日の利用について」グラフ

[3]長期休業期間の利用について〈長期休業日を利用した補充的な学習サポートを実施しましたか。〉

  • 小学校
  • 小学校「長期休業期間の利用について」グラフ
  • 中学校
  • 中学校「長期休業期間の利用について」グラフ

4 今後の取組

  1. 調査結果等の分析及び授業改善のポイントをまとめた報告書を区市町村教育委員会や都内公立小・中学校、中等教育学校、特別支援学校に配布し、各学校の授業改善や区市町村教育委員会の施策に生かしていく。
  2. 「学力向上実践研究推進校(国)」及び「確かな学力向上実践研究推進校(都)」において、調査結果をもとにした研究を推進し、その成果を実践事例集にまとめたり、研究協議会を実施したりすることにより、全都の公立小・中学校に発信して、各学校の授業改善に生かしていく。
  3. 対象児童・生徒の学力定着状況の毎年の差異や学習指導要領の改訂を踏まえ、引き続き学力の把握に努めていく。

お問い合わせ

教育庁指導部義務教育指導課学力調査担当
電話:03-5320-6841 ファクシミリ:03-5388-1733
メール:S9000024(at)section.metro.tokyo.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの表記を一部変更しております。
お手数ですが、メール送信の際は(at)を@に置き換えてご利用ください。

ページID 866

このページの目次

PCサイト表示

表示を元に戻す

ページの終わりです
ページの先頭へ戻る


ページの
先頭へ