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都立高校改革推進計画の概要

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最終更新日:平成30年(2018)2月28日

平成9年9月

第1章 計画の性格

この計画は、都民の期待に応えるため、都立高校の課題に対応し、今後の展望を明らかにする都立高校改革の総合的な計画である。 平成9年度から平成18年度までの10年間を計画期間とするが、規模と配置の適正化については、平成23年度までを視野に入れて、 平成9年度から平成18年度までに着手するものを計画化している。 この計画においては、計画期間における改革の方向と道すじを示す「長期計画」と、当面の具体的な実施のための3か年の「実施計画」を定めている。実施計画は、3年ごとにローリングする。

 

第2章 計画の基本的な考え方

この計画は、都立高校が抱える次の課題を解決するとともに、都民の高校教育に対する期待に応え、 都民に信頼される魅力ある都立高校の実現を目指して、次の基本的方向で改革を進めるものである。

1 都立高校の課題

  • (1) 生徒の多様化への対応
  • (2) 社会経済の進展等への対応
  • (3) 生涯学習社会への対応
  • (4) 少子化による生徒数の減少への対応

2 改革の基本的な方向

  • (1) 特色ある学校づくりの推進
  • (2) 開かれた学校づくりの推進
  • (3) 都立高校の規模と配置の適正化の推進
  • (4) 教育諸条件等の整備

第3章 特色ある学校づくりの推進

1 一人ひとりの生徒に応じた多様で弾力的な教育の推進

【改善の方向及び計画】

  • (1) 新学習指導要領に基づき、新教育課程編成規準を作成し、多様で弾力的な教育を推進する。
  • (2) 単位制の趣旨を活用し、単位認定範囲の拡大を図る。
  • (3) ティームティーチングなど多様な指導形態を導入するため、推進校を指定し、研究開発する。
  • (4) 中途退学問題を高校教育全体の重要課題としてとらえ、習熟度別学習指導など小人数指導の拡充、スクールカウンセラー(非常勤)の配置、チャレンジスクールの設置などの総合的な方策で対応する。
  • (5) 外部指導員の導入や「運動部活動推進重点校」の指定など、部活動の充実を図る。

2 生徒の進路希望や学習希望等に応じた教育の推進

【改善の方向及び計画】

  • (1) 進路指導の充実
    生徒が自己理解を深め、進路を主体的に選択できるように組織的・計画的な進路指導を行うため、進路指導充実推進校を指定する。大学人や企業人による講演会、資格取得セミナーの実施等の校内の主体的な取組を支援する。進路指導に活用するためインターネットの導入などを行う。
  • (2) 進学対策の充実
    各学校が生徒の個性や進学希望等を踏まえた指導内容・方法の改善工夫を図り、生徒一人ひとりが個性や能力を生かして自己実現が図れるよう進学対策の充実を図る。
    進学を重視した単位制高校の設置、進学問題検討委員会の設置とともに、進学セミナーの実施など校内の主体的取組みへの支援を行う。
  • (3) 普通科高校における職業教育の充実
    職業科目の開設など選択科目の拡大、専門高校等との学校間連携の推進などを行う。
  • (4) 専門高校における進学教育の充実
    大学への進学を希望する生徒に対して、その道を広く開くため、各学校における進学に向けた教育課程の編成、大学の推薦枠等の拡大とともに、大学進学に対応した専門高校を設置する。

3 国際化・情報化等に応じた教育の推進

【改善の方向及び計画】

  • (1) 国際理解教育及び海外交流の推進
    国際理解教育を一層推進するとともに、姉妹校・提携校を基礎とした高校生の海外交流制度を設け、推進する。
    第二国際高校の設置、姉妹校・提携校の拡大、海外修学旅行の検討等を行う。
  • (2) これからの高度情報通信社会に生きる資質を育成するために、インターネットを導入する。

4 普通科高校の特色化の推進

【改善の方向及び計画】

  • (1) 多様な選択科目の設置と類型の設置を進める。
  • (2) 現在設置しているコース制の見直しと新たな設置、充実を進める。
  • (3) 福祉や体育などの新しい学科を普通科に併設することを検討する。

5 専門高校の改善の推進

【改善の方向及び計画】

  • (1) 社会の変化や技術革新に応じた職業に関する学科の改善や福祉、芸術等の学科を設置する。
  • (2) 進学指導の充実や大学の推薦枠等の拡大とともに大学進学に対応した専門高校を設置する。
  • (3) 工業高校へ専攻科を設置する。
  • (4) 現場実習、社会人講師の拡充、教員の長期派遣研修など地域社会、企業との連携を進める。

6 定時制課程の改善の推進

【改善の方向及び計画】

  • (1) 多様な選択科目の開設、習熟度別指導の充実、職業に関する学科の改善等を進める。
  • (2) 昼間定時制独立校(チャレンジスクール・単位制高校)を設置する。
  • (3) 単位制の趣旨を活用して、弾力的な教育課程の編成や転学制度の拡充に努める。
  • (4) 学校間(全・定・通)の連携、校外学習等の単位認定等により修業年限の弾力化を推進する。

7 新しいタイプの高校設置

概設校における特色ある学校づくりと併せて、特色化、活性化を進める上でのパイロットスクールとして、新しいタイプの高校を設置する。既設校の発展的統合や改編により推進する。

  • (1) 総合学科高校
  • (2) 単位制高校
    1. 全日制の単位制高校
    2.定時制の単位制高校
  • (3) チャレンジスクール
  • (4) 科学技術高校
  • (5) 中高一貫6年制学校
  • (6) 体育高校
  • (7) 第二国際高校
  • (8) 総合芸術高校

8 入学者選抜制度の改善

【改善の方向と計画】

各学校の特色化を進める上で、制度の弾力的な運用や試行による改善実績の積み上げを行い、多用な選抜方法等の採用・定着を一層図っていく。

  • (1) 特色化を推進するための選抜方法の改善
  • (2) 推薦入学制度の改善
  • (3) 受検機会の拡大・複数化

第4章 開かれた学校づくりの推進

1 地域・社会に開かれた学校づくりの推進

【改善の方向と計画】

  • (1) 中学生の体験入学の拡大、中・高の連絡協議会、大学人や企業人による講演会の開催、PTA等への授業の公開、外部評価の推進等により、中学校、大学、家庭や地域との連携を進める。
  • (2) ボランティア活動の推進と単位認定、地域での体験学習、社会人講師の拡充等により、地域・社会の教育力の導入、活用を図り、学校教育活動を活性化していく。
  • (3) 公開講座の実施、学習・文化施設の開放、体育施設の開放等により、学校の教育機能を地域・社会へ提供していく。

2 生徒に開かれた学校づくりの推進

【改善の方向と計画】

  • (1) 各学校において生徒の興味・関心等に応じた多様で弾力的な教育課程を編成する。
  • (2) 学校間連携を進めるため、ガイドラインの作成とモデル校を設置する。
  • (3) 学校・学科間の移動や再入学の制度を改善する。

第5章 都立高校の適正な規模と配置

【改善の方向と計画】

1 新しいタイプの高校等の設置計画

新しいタイプの高校等は既設校の発展的統合、改編を基本として設置する。

新しいタイプの高校等の設置計画
課程 設置する新しいタイプの高校等の種類 設置する学校数 設置する地域 設置する学校の開校時期
前期 後期 計画継続期間
全日制 総合学科高校 18校 区部・多摩 1校 13校 4校
単位制高校
科学技術高校
中高一貫6年制高校
体育高校
第二国際高校
総合芸術高校
選択幅の拡大や弾力化により一層特色化を進める高校 3校 7校 11校
定時制 チャレンジスクール 5校   2校 3校  
単位制高校(昼夜間定時制) 1校 多摩   1校  
通信制 通信制課程 1校 多摩   1校  
  • 注1: 開校時期の「前期」は9~13年度、「後期」は14~18年度、「計画継続期間」は19~23年度である。
  • 注2: 統合等により新しいタイプの高校等を設置する場合、検討着手から開校まで、およそ4年から6年かかるので、平成23年度までの期間を「計画継続期間」として設けた。

2 全日制課程の規模と配置の適正化

  • (1) 生徒の減少に合わせて、各学校の規模の確保を図るとともに、学区や地域のバランスを考慮して、規模と配置の適正化を図ることを基本とする。
  • (2) 適正化計画
全日制課程の規模と配置の適正化計画
区分 平成9年度の学校数 平成23年度の学校数 削減又は増設校数
普通科 146校 119校 ▲27校
専門学科 54校 42校 ▲12校
工業 27校 19校 ▲ 8校
商業 19校 14校 ▲ 5校
農業 6校 5校 ▲ 1校
家庭 (5校) (4校) (▲ 1校)
芸術 1校 1校  
国際 1校 2校 +1校
体育 (1校) 1校 +1校
総合学科 1校 10校 +9校
島しょ 7校 7校  
学校数計 208校 178校程度 ▲30校程度

3 定時制課程の規模と配置の適正化

  • (1) 適正な規模と配置を実施する方策
    チャレンジスクール、単位制高校(昼間定時制)を設置し、これに周辺の定時制高校を統合する。
    単学級校について、周辺に受入れ可能な定時制高校がある場合、これに統合する。
    2年連続で入学者数(5月1日現在)が10人以下の学校(学科)で、今後とも応募者の増える見込が薄い場合、募集停止を行う。
  • (2) 定時制課程の規模と配置の適正化計画((1)1.の計画数)
定時制課程の規模と配置の適正化計画((1)1.の計画数)
区分 設置学校数 統合対象学校数
チャレンジスクール 5校 17校 ▲ 12校
単位制高校(昼間定時制) 1校 2校 ▲ 1校
合計 6校 19校 ▲ 13校

4 通信制課程の配置

多摩地域の生徒のスクーリングの利便、入学希望者の増加、定時制課程との併修の拡大等を考慮し、通信制高校を多摩地域に設置する。

5 実施計画(全日制課程及び定時制課程)

全日制課程及び定時制課程の実施計画
学区 内容 対象校 年度別計画
開校予定年度 9年度 10年度 11年度
1 羽田地区総合学科高校
平成14年度
羽田高校(全)
羽田工業高校(全)
基本設計 実施設計 工事
大田地区単位制工業高校
平成16年度
港工業高校(全・定)
羽田高校(定)
鮫洲工業高校(定)
羽田工業高校(定)
基本計画検討委員会 基本計画検討委員会 基本設計
2 世田谷地区単位制高校
平成15年度
千歳高校(全)
明正高校(全)
基本計画検討委員会 基本計画検討委員会 基本設計
実施設計
世田谷地区チャレンジスクール
平成13年度
烏山工業高校(全)
代々木高校(三部)
明正高校(全)
基本計画検討委員会 基本計画検討委員会 実施設計
3 杉並地区総合学科高校
平成16年度
永福高校(全)
桜水商業高校(全)
基本計画検討委員会 基本計画検討委員会 基本設計
4 北地区チャレンジスクール
平成12年度
城北高校(全・定)
北園高校(定)
赤羽商業高校(定)
池袋商業高校(定)
基本計画検討委員会 基本計画検討委員会
実施設計
工事
5 台東地区単位制高校
平成18年度
忍岡高校(全)
上野忍岡高校(全・定)
基本計画検討委員会 基本計画検討委員会  
6 墨田地区単位制高校
平成12年度
墨田川高校(全) 基本計画検討委員会 基本計画検討委員会 実施設計
江東地区工業高校(科学技術高校)
平成13年度
化学工業高校(全)
江東工業高校(全)
基本計画
実施設計
江東工業の募集停止
実施設計
工事
工事
江東地区チャレンジスクール
平成16年度
深川高校(定)
東高校(定)
深川商業高校(定)
基本計画検討委員会 基本計画検討委員会 基本計画

第6章 教育諸条件等の整備

1 ホームルーム定員等の改善

【改善の方向と計画】

  • (1) ホームルーム定員の改善と多様な学習集団の展開
    実験・実習、資格の取得の指導における班編成の小人数化や職業科の生徒の実態に応じたきめ細かい生活指導を行うため、全日制の職業科のホームルーム定員を改善して35人とする。
    また、少人数指導・習熟度別学習を一層充実するとともに、多様な学習集団による弾力的な授業を進める。 普通科の一部の学校については、学級の弾力的な展開によるホームルームの小人数化を図っていく。

2 教職員の配置及び資質の向上等

【改善の方向と計画】

  • (1) 教育諸課題に対応する定数の改善と新規教員の安定的な確保、学校の個性化・特色化に応じた教員の配置、社会人講師の拡充等、長期的な展望に立った計画的な教員採用と配置を行う。
  • (2) 教員の採用時に筆記試験の成績だけでなく、人物評価の比重を更に高めるなど、採用方法を改善する。
  • (3) 教員研修の充実
    教職員の意識改革と、校長のリーダーシップのもとに教職員の積極的な参加意識により一体となった学校づくりが推進できるよう、研修の一層の充実を図る。
  • 1. 校内研修の充実及び研究奨励の充実
  • 2. 大学院派遣制度の充実
  • 3. 初任者研修及び現職研修1・2部の充実
  • 4. 管理職悉皆研修の実施、一般研修の充実、大学との連携の推進
  • (4) 教員の長期社会体験研修の実施
    教員が社会の一員としての視野をさらに広げ、学校以外の社会において、さまざまな体験を積み重ねるために、長期間にわたり行政機関や民間企業等において研修を行う。

3 学校施設・設備の整備充実

【改善の方向と計画】

  • (1) 校舎の改築の推進
    老朽校舎の改築については、年次計画を策定し、合計39校実施する。
  • (2) 大規模改修及び耐震補強の推進
    大規模改修については、年次計画を策定し、合計56校実施する。
    耐震補強については、年次計画を策定し、合計25校実施する。
  • (3) 小教室や進学等のための自習室等の既存校舎の整備充実
    既存校舎の整備充実については、年次計画を策定して実施する。

4 学校運営予算の充実

【改善の方向と計画】

  • (1) 学校運営予算の充実と重点的な配分
    学校運営予算の充実を図るとともに、各学校において予算長期計画を作成し、それに基づいた予算の重点配分調整方策を確立し推進する。

5 PR活動の推進

【改善の方向と計画】

  • (1) 現行PRの見直しと進路選択に有効なPRの推進
  • (2) 小・中・高連絡協議会の設置
  • (3) 教育世論調査の実施、教育モニターの活用

 

お問い合わせ

教育庁都立学校教育部高等学校教育課都立高校改革推進担当
電話:03-5320-6749 ファクシミリ:03-5388-1727
メール:S9000011(at)section.metro.tokyo.jp
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