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第10回 東京都心身障害教育改善検討委員会(議事要旨)

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最終更新日:平成30年(2018)2月28日

1 日時

平成15年8月6日(水曜日)午後2時~4時

2 場所

都庁第2庁舎10階  201・202 会議室

3 出席者(順不同、敬称略)

上野委員長、大南副委員長、西川委員、斉藤(佐)委員、吉澤委員、山内委員、米谷委員、 濱崎委員、冬木委員、吉田委員、坂田委員、越智委員、津田委員、杉原委員、石橋委員、 野村委員、斎藤(尚)委員、山際委員、石川委員、近藤委員、時任委員、矢口委員、 芦崎委員、川田委員、内藤委員

4 議事内容

1 開会

2 協議事項

  • ○委員及び幹事の追加選任等について
    最終答申に向けた審議の充実を図るため、都議会や意見募集での意見を踏まえて、新たに小中学校関係者として保護者2名、校長2名の計4名の委員の追加選任について、委員会として協議を行った結果、提案どおり追加することとした。決定後、ただちに新委員が委員会に加わり、自己紹介を行った。

3 第9回委員会議事要旨について

各委員に事前配布した議事要旨について確認を行った。

4 議事

(1)中間まとめの周知及び意見募集等実施状況について(報告)

  • 中間まとめプレス発表、議会説明、ペーパーメディア対応(都広報紙)、インターネット(ホームページにおいて公開)等及び都民、保護者向け対応について説明
  • 関係保護者団体・区市町村・公立学校長会等に対しての説明・意見交換の実施状況(6~7月実施)について説明
  • 中間まとめに関するシンポジウムの開催(区部 7月9日・多摩地区 7月10日)について説明
  • 中間まとめに関する意見募集(期間 7月1日~7月20日 提出件数 1285件)について説明

(2)通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童・生徒に関する実態調査(報告)

  • 「通常の学級に在籍する児童・生徒の学習障害(LD)注意欠陥/多動性障害(ADHD)高機能自閉症等に対応した教育的支援に関する研究」にかかる調査の概要について説明
    調査1「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童・生徒に関する実態調査」
    調査2「特別支援教育の推進状況についての調査」

(3)中間まとめに関する意見募集結果に基づく検討課題の審議

<事務局より説明>

募集意見について、共通的な意見をまとめ、各々主要な事項に整理した。提起された課題について本委員会で検討していく主な論点をまとめた。委員会として最終報告に向けた検討をお願いする。

―中間まとめに関する意見募集結果に基づく検討課題についてー
1)特別支援教育体制に関する意見

(ア)特別支援教育の在り方

<主な意見>

  • 特別支援教室の規模・固定的な特別支援教室の必要性
  • 弱視、難聴、言語などの拠点的な設置形態の在り方
  • 個別指導計画の在り方・従来の固定学級の成果、実績の継承、発展の在り方
  • 通常学級の対応の在り方・固定学級存続の要望・集団学習等の指導の在り方
  • 担任の在り方・理解推進の必要性と方策・教員の配置・施設設備等条件整備

<論点>

  • ○従来の心身障害教育の成果をどう継承していくか。
  • ○新しい特別支援教育をどう構築していくか。

(イ) 校内組織体制の整備

<主な意見>

  • 校内委員会や特別支援教育のコーディネーターの在り方やその体制の整備の方向性

<論点>

  • ○新しい制度へ向けた理解啓発をどのように進めていくことが望ましいか。
  • ○コーディネーターの具体的な役割、育成、研修のプログラムはどのようにしていくか。
  • ○コーディネーターを支援するシステムとは、どのような方法があるか。

(ウ)特別支援教室における専門性

<主な意見>

  • LD等の専門的理解、適切な指導方法
  • 専門的知識を有する教員の確保
  • 障害種別ごとの対応の在り方

<論点>

  • ○専門性の高い人材を育成するために、LD等の児童・生徒に対する指導法に関する研修制度をどのように整えるのか。その際、都と区市町村の役割をどのように分担していくことが望ましいのか。
  • ○これまで積み上げてきた障害種別ごとの専門性をどのように活かしていくのか。またはLD等を含めて複数の障害種別に対応できる能力を育成すべきなのか。
2)エリア・ネットワーク構想に関する意見

(ア) エリア・ネットワークの考え方

<主な意見>

  • エリアの規模、範囲の在り方
  • センター校の在り方
  • 島しょ地区の課題

<論点>

  • ○エリア・ネットワークが実効性を高めるための要素、エリアが保有すべき条件は何か
  • ○エリアの適正規模や、福祉、保健・医療等の連携等の考え方について、より明確にする必要がある。
  • ○島しょ部の特別支援教育体制は、どのようにあるべきか。
  • ○都立盲・ろう・養護学校の「地域の特別支援教育センタ-」としての機能、校内体制の整備、都教育委員会の支援の在り方

(イ) 特別支援プロジェクト

<主な意見>

  • 学校支援の必要性
  • 就学相談の在り方
  • 専門家とのかかわり

<論点>

  • ○特別支援プロジェクトの実効性を高めるため、都教育委員会は学校及び区市町村教育委員会に対し、具体的にどのような支援策を講じていくべきか。
  • ○今後の就学相談、就学指導はどうあるべきか。
  • ○単一の自治体でプロジェクトを構成・実働させることが困難な自治体があることも予想される。その際、近隣の自治体に対し、近隣の自治体との協力による支援体制の整備の在り方や都の支援策は、どのようにあるべきか。

(ウ) 副籍

<主な意見>

  • 小・中学校の教員の受入れの課題理解啓発
  • 副籍の具体的内容等についての共通理解、制度等の条件整備

<論点>

  • ○副籍の趣旨や基本的な考え方、システムについて
  • ○日常的な学習時間への参加に発展するような場合の教育課程上の位置づけや安全管理等についての具体的な検討方法
3)都立盲・ろう・養護学校の教育環境の整備に関する意見

(ア) 特別支援学校としての機能

<主な意見>

  • 複数の障害種別を併置した学校の在り方
  • 障害の重度・重複化への対応の在り方

<論点>

  • ○複数の障害種別を併置した学校を設置する意義と配置上の留意点
  • ○複数の障害種別を設置した学校の設置も含め、都立盲・ろう・養護学校の障害の重度・重複化にどう対応していくべきか。

(イ) 適正規模・適正配置

<主な意見>

  • 知的障害養護学校在籍者増の対応、軽度障害の児童生徒のニ-ズへの対応
  • 軽度の障害を含め職業教育、高等部教育の充実
  • 学校規模と通学区域の縮小化と学校選択性
  • 本来の寄宿舎の在り方

<論点>

  • ○学校の適正規模、適正配置を検討する際の要素は何か。
  • ○寄宿舎の本来の役割は何か。
  • ○都立養護学校における通学区域の弾力化について、どのように考えるか。また、導入した場合の課題は何か。
4)学校の専門性、教員の専門性に関する意見

<主な意見>

  • 研修体制の問題、教員の資質や専門性の向上について
  • 教員の人事交流や異動の在り方
  • 通常学級の担任の障害に関する専門知識、研修の必要性

<論点>

  • ○専門生の高い教員をどのように確保、育成していくか。
  • ○通常学級の担任に対する研修の在り方及びプログラムはいかにあるべきか。
  • ○外部人材の活用についての検討
5)その他の意見

<主な意見>

  • 都におけるLD等に関する実態把握の必要性。
  • 心身障害学級の現状について、都と他道府県比較の必要性。

<論点>

  • ○都におけるLD等に関する実態調査を実施し、今後の見通しについて説明する。
  • ○心身障害学級の現状については、設置率等に関して他都道府県と比較検討できる資料を追加し、各章の課題について検討する。
6)ノーマライゼーションとの関係とその理念

<主な意見>

  • ノーマライゼーションと従来の適正就学の基本姿勢との関係について
  • 通常学級を含む小・中学校の体制整備の方向性。

<論点>

  • ○今後の都の特別支援教育は、ノーマライゼーションの理念や社会の動向をどう踏まえて展開すべきか。従来の基本的な姿勢は普遍的なものとするのか。
  • ○特別支援教育への移行に当たっては、通常学級を含む小・中学校の体制をどう整えて いくかが重要な課題である。その点を明確にする理念・指針とすべき。
7)その他

<主な意見>

  • 改善の財源、要望に関するもの
  • 委員会の構成、運営、審議に関するもの
―検討のためのたたき台についてー

資料7-2.の図について説明。Aの図は、相当時数の指導を行う特別支援教室を設置した学校の例である。現在の固定学級をイメージしたものである。担任も固定的に配置して特別支援教室で指導する。またLD等の児童生徒が巡回による指導を受ける特別支援教室(B)が併設されている。

Bの図は、巡回教員を配置する拠点校で、言語、難聴等の少ない児童生徒が、この拠点校で学ぶ。

また、今まで通級指導学級に通級していた児童生徒が、自校の特別支援教室で学ぶという形態も考えられる。この学校は拠点校から担当教員が巡回する形で指導に当たる。このように、特別支援教室の形態としていくつか考えられるのではないか。

そして、これをサポートするのは特別支援学校である。

また、この特別支援教室を行っていく上での視点は三つある。

1 保護者のニーズの十分な反映
  • 保護者のニーズによる教育内容・方法の選択
  • 保護者のニーズに基づく「個別指導計画」の充実
2 個に応じた柔軟な教育支援の充実
  • これまでの心身障害教育の実績に基づく専門性を維持・継続した教育支援
  • 全校的な支援体制の確立
3 教育委員会による支援
  • モデル事業の実施
  • 専門性の高い人材の育成
  • 特別支援教育に関する理解啓発
     学校全体での支援体制と個別指導計画の更なる充実が重要である。個別指導計画の作成には保護者、通常の学級の担任、特別支援教室の担任も入り、より良いものを作成する。教育委員会による支援では、保護者の不安を解消するためにもモデル事業を実施し、その効果等を保護者、関係者に理解してもらい、あるいは改善する点は改善していく必要がある。また、特別支援教育に関して、通常の学級の担任、児童生徒及び保護者に対する理解啓発が重要である。
     資料7-3について説明。特別支援教室と現在の心身障害学級(固定学級・通級指導学級)との比較と特別支援教室の総合的意義と実施上の留意点を整理した。
<意見・提言> ◇委員長委員 △事務局
◇論点の順に従って審議を進めていく。1の特別支援教育から2の校内の組織体制、3の特別支援教育における専門性についての審議を行う。
  • ○ 新しい特別支援教育への移行に際し、保護者間に種々不安が広がっている。
     (1) 現場の教師、子供、親に趣旨や内容が十分理解されていないので実施を急がない方がよい。
     (2) 盲・ろう・養護学校等センタ-的機能による支援のため、教員の派遣をする等に関する予算の保証はあるのか。
  • ○ 固定学級が解体され通常学級に組み込まれる等一方的な解釈もあるが、行政計画のソフトランディングで一つのモデルが示されている。機能としての現在のサ-ビスがどのように継承されていくかがポイントである。
  • ○ 様々な声の中に、学習面だけでなく集団行動や日常生活等社会性育成があること等を考慮すると資料の他校の特別支援教室に通うというタイプが固定学級に近く一番適切であり異論がないと考える。LD等6.3%だとほとんどの学校に必要になってくる。原則的に各学校に校内委員会、コーディネーターが必要になる
  • △ 「他校の特別支援教室」について補足説明
    • AとBの学校と違うCの学校へ通うという意味である。
    • LD等特別支援が必要な子は、同じ学校の中で学ぶ。
  • ○ 二つの点で発想の転換が必要である。
    • (1) 新しい特別支援教育へ移行するに当たり、従来のものを残す、残さないという発想では、特別支援教育は成り立たない。今の大事なものを変えていった結果として、元と同じものになった(新しいものを創り出したと考える)という発想の転換が必要である。
    • (2) LD、ADHD等の6.3%の子供の特別支援教育、これ一つで成り立つとは考えられない。例えば、現在の学区域を外さないと、新しいことができない。通級をどうするか、特別支援教育の必要なことをしようとするとき、学区域を外しておけばどこからでも通える。通学上の問題があれば、その実態調査をする必要が生じてくる。
  • ○ いろいろな子供が通って来られるようすべての学校に、ニ-ズにこたえるあらゆる機能を備えていく。どういう形であれ、地域において求められているニ-ズにこたえるサ-ビスを、将来の姿に向かって 柔軟な方策の枠組みを、しなやかに考えていくことが求められている。
  • ○ 1回の会議の時間が2時間しかなく、最終報告まで3回の協議でまとめるのは、結果を急ぎ過ぎていないか。固定学級をいきなりなくすのでなく、存続させ2本立てあるいは3本立てでいき問題点を解決しながら進めていく。
  • ○ 固定学級の子供を通常学級に入れても、よい教育は展開できない。ノーマライゼーションとはすべての人間が同時に教育を受けるという哲学ではない。個に応じた教育ということで、習熟度学習等をほとんどの学校が取り組んできた状況である。そういうことを結果として残すべきである。通級学級については拠点校があって、AとBの違う他校を巡回するということだが施設設備を要する特に難聴学級では、従来通り機材のある所に置くのが適当と考える。持ち運びができない補聴器の調整装置をすべての学校に装備するのは現実的でないので、拠点方式が適当と考える。
  • ○ (1)すべての小中学校に特別支援教室を設置していくことにするのか。
     (2)LD、ADHD、高機能自閉症の子は、基本的に巡回による支援とするのか。
  • ○ LDであっても、行動上の問題を持った子は相当重度なので、個々に応じた特別の支援を講ずるべきである。
  • ○ AとBの図のAについて改革が進められることに要望や意見が集まっている。現在の固定学級で受けている教育のレベルより劣悪にならないかというおそれを抱く声が多くある。それなりの固定学級配置の教員が確保できれば、校内に位置付いた学級を作ることができ、実践的研究とモデル事業を通して教育レベルを維持できると考える。理念に従って一気に進めるのでなく実践研究的にステップバイステップで移行していくことを希望する。
  • ○ 今回固定の教員をとられてしまうという人減らしのための改革という声があるが、質の高い固定の教員の配置が可能となるような知恵を出し合うことが肝要である。
  • ○ 心身障害学級の教員や保護者の不安が多くあるが、まだ中間のまとめで具体的なことは見えない。区市町村である程度モデルを示せば、具体的姿が見えてくる。
  • ○ シンポジウムや報告等を通し、次第に保護者、教員の不安が解けてきている。
     また、現場の教職員が変化する契機にもなっている。人数はそのままでサ-ビスを広げていく動きもある。モデル地域でやれることを広げていく発想を転換する動きがあることを紹介する。
    • (1) 「個別指導計画」は、現在も作っていなければならない状況である。心身障害学級には、義務づけではないが、少人数で授業を展開していくのに個別指導計画があるのは、当然である。通級ではすべての学級で作っている。養護学校をモデルに心障学級においても用意すべきである。
    • (2) 作業学習については、以前から先輩がやってきたものである。制度がなくても必要だから実施するという考え方が大事で、特別支援教室になってもどうすればできるか考えるべきである。
       例えば、合同行事については昭和28年に墨田区で、四つの小学校で同時にはじめた。必要があったからである。内容が先にあるのでなく、そこに集まっている子供のために必要なことをやるという考え方である。
◇「エリア・ネットワ-ク」「特別支援プロジェクト」「副籍」について
  • ○ エリア・ネットワ-クについては、学区域は広いので少しは近くで専門性を保ちながら学習させていく期待がある。ニ-ズについては、保護者のニ-ズとあるが、子供のニ-ズという書き方にしたい。グランドデザインは、より良いものを作っていく。
  • ○ 学校教育とは、子供が地域で生活する力をつけることと考えるが、地域の理解が少ない。副籍については、今想定できることを出していく。ニ-ズについて都障P(東京都心身障害教育学校PTA連合会)として細かいところを調査しながら出していきたい。
  • ○ 特別支援プロジェクトに関して、就学相談について気になっている。
    • (1) 小中学校へ入学していくとき、就学相談で適切なアドバイスを与えていくプロセスで、子供のニ-ズにより、時間、場所、指導内容等質の問題が問われる。就学をするときには、そのことが一人一人に既に決定されていなければならない。そうすると就学相談の今までの在り方とは違った就学相談のプロセスと質が必要となる。
    • (2) 早期療育ではどうなるのか。それが就学相談にどう反映されるのか。もしも就学相談の時に決定されるとすれば、制度的に専門性がなければならないと思う。現在地域の教育委員会が窓口になっているが、専門的に高い方法(例えば、アセスメント、評価の方法)がなければならないし、早期の教育に携わっている者が一緒に相談をするとか、観察や記録をしていくことが必要になる。今後就学相談全体が変わるとなると、どういうふうに対応されるのか不安が多い。
  • ○ アンケ-トの意見を拝見した。様々な教え方を自分で選べる環境があるといいと思う。聴覚教育の保護者団体から「決められた教え方を押しつけられるのは、おかしい」という申出があった。固定学級が無くなる話があるが、難聴学級が、あったから学ぶことができた。友達がいたから話し合いができ、精神的に支え合うことができた。地域の中で学ぶことも大事だが、学級をつくると仲間と交流ができる。一人では交流ができないので、副籍が大事になる。具体的な方法が示されることが必要である。
  • ○ 就学前の幼児の頃から福祉、保健・医療を中心に個別の支援計画が作られ、そこに教育が入ってきて就学を迎える。就学の際に、幼児の時の指導が受け継がれて学校教育に活かされる。特別支援プロジェクトを基に就学前の個別の支援計画が作られ、それを受け取った学校は、現在の個別指導計画と個別移行支援計画とを合わせて学校時代の個別の支援計画を作っていく。それが「たすき」となって受け継がれていき学校卒業後、進路先へその資料が移っていく。
     IEPの日本版ともいうべき個別支援計画(就学前の相談がどれだけ学校教育に反映されるか)を基に、これから大きく変えていく際に解決していかなければならない課題が多いので、さらに審議をしていきたい。
  • ○ (1)卒業生が地域で生活できる特別支援を進めてほしい。
      (2)各自がプライドをもって通える学校(不登校の子を出さない学校)にする。
  • ○ (1)エリア・ネットワ-ク構想について、盲・ろう・病弱養護学校は校数が少ないので、どうかかわっていくか。
      (2)特別支援プロジェクトについて、一人一人の子供の個別支援計画を「誰が、いつ、どこで」作っていくのか。どこが主体的にかかわっていくのか。検討が必要である。
  • ○ 「副籍」については、異論なく賛成。具体的内容に対して期待と不安の両面がある。ノーマライゼーションの観点から画期的なことである。障害の関係上遠くの学校へ通学していても、地域の催しや総合的学習、交流を可能な限りで行い、積み重ねていけば、長い目でみた第一歩となる。急がず実績を積み上げていくことが肝要である。
  • ○ 理念はわかるので具体的なデータを提示することが大事である。拙速にならないように丁寧に進めていく。
  • ○ エリア・ネットワ-ク構想のコーディネーターの役割の共通理解(三相構造)
    • (1)エリア・コーディネーター(エリア内全体で最も専門的、他地域へ派遣依頼等)
    • (2)養護学校のコーディネーター(センタ-校としての役割と校内対応と重複)
    • (3)小中学校のコーディネーター(校内の障害教育に関するコーディネート)
    以上校長会等にて構造化する必要がある。
  • ○ エリア・ネットワ-クのかかわりで質問、区市町村の小中学校の心身障害学級の設置率は、例えば町田市は高く、江戸川区は33校中4校という相違がある。これからの都の支援が、どういう道筋、基準で進むのか。
◇設置率に関する課題は、後に実態調査の項でも扱う。都立養護学校の教育環境の整備、学校・教員の専門性について審議を行う。
  • ○ (1)特別支援学校について専門性という観点から、障害の枠を取り除くとのことだが、一つの学校内に幾つもの障害種別を置くことは慎重に進めてほしい。それは複数の障害種の異なる学校内では、子供の学習が十分保証されないと考えるからである。
      (2)寄宿舎の教育的意味、役割を再考してみる必要がある。先輩・後輩の間柄で互いに学び合うことが多大であった経験があるからである。
  • ○ 障害特性に対する専門性を慎重に進めてほしい。何種も障害が重複している子が多く、分かれているとどちらに通うか迷う場合がある。一校内で壁一つの隔たりで学べると幸いである。主障害の他は、巡回でも結構なので障害特性に対しては、慎重に進めてほしい。
  • ○ (1)重複障害の子の学校選択は重い障害の方の学校へ通うべきで、知的と聴覚障害であれば、ろう学校の方へと考える。
      (2)寄宿舎の本来の役割を考えると、通学が困難な子供のためが主原因である。学校教育、家庭・地域の役割の本来的意味を再考する必要がある。
  • ○ 本日は、時間に限りがあるのでパブリックコメント全体について、集中して検討し、次回にさらなる検討を重ね最終報告を目指す。
  • ○ エリア・ネットワークは、特別支援プロジェクトに正に合致している。外部の専門性の高い人材の充実が、このプロジェクトの充実にかかっている。そこで言語部門の人材不足が予測できるので、行政や他の学校の専門家にも知らせる必要がある。
  • ○ (1)複数の障害種別をもつ学校をつくると、専門性が落ちるというが、そうとは限らない。例えばあきる野学園養護学校は、知的と肢体不自由が併設されているが、専門性が高くなることはあっても下がってはいない。青森県に盲とろうが一校内にある学校があるが、混在はない。
      (2)複数の障害があってもレベルは下がらない、また下がらないような教員養成や今後の養成研修をしていかなければならない。
―委員長よりー

「今後の特別支援教育の在り方について」 調査研究協力者会議の立場から四つのポイントを挙げて説明する。

(1)なぜ特別支援教育…理念転換の背景にある世界の動向

サラマンカ宣言、障害者基本計画、調査研究協力者会議

(2)1%の特殊教育から一割の特別支援教育へ … 限定された特殊教育からの脱却

実態調査(6.3 %)、全般的な知的発達の遅れのある児童生徒(調査外2~3%)
特殊教育を受けている児童生徒(現在 1.5 %) 合計10%

(3)理念から具体的行政計画へ …小さな痛みから大きな飛躍へ

行政計画策定に、教師も保護者もその知恵とエネルギーを注ぎ、専門的意見を今こそ反映。

(4)残された課題
  • 担当する教員の質(専門性)と量(人員数)の確保と研修
  • 専門教員免許の保有率の向上と研修の強化
  • 特別支援教育コーディネーター養成と配置の具体的計画の優先
  • TAなど教育支援の厚みを増す体制についての配慮
  • 大学等における指導カリキュラムの早急整備

特別支援教育という理念の提示は、制度に子供を合わせるのではなく、子供の個のニーズに対して、有限のリソースを活用して、いかに応える体制を実現するかであり、柔軟な運用の試みや意欲的なチャレンジに道を拓くものであることを再度確認しておきたい。

次回は、焦点を絞り込み議論を進める。

<事務局より連絡と提案>

(1)次回(第11回)委員会開催予定  9月19日(金曜日)午後2時~5時
 ※ 会議時間を1時間延長して3時間を提案(了承)

お問い合わせ

教育庁都立学校教育部特別支援教育課特別支援教育企画担当
電話:03-5320-6753 ファクシミリ:03-5388-1728
メール:S9000012(at)section.metro.tokyo.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの表記を一部変更しております。
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