東京都特別支援教育推進計画の策定について

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東京都教育委員会は、平成16年7月に「東京都特別支援教育推進計画概要(案)」を発表したところですが、このたび別添のとおり「東京都特別支援教育推進計画」を策定しましたので、お知らせします。

今後、下記のとおり、本計画について都民及び学校関係者等に対して説明会を開催します。

1 東京都特別支援教育推進計画の策定

東京都特別支援教育推進計画は、これまでの「心身障害教育」から「特別支援教育」への転換に当たり、LD等を含め障害のある児童・生徒等の教育に対する都民の期待にこたえるため、都立盲・ろう・養護学校が抱える課題の解決や、小・中学校における特別支援教育の充実への支援の在り方など、これからの都における特別支援教育の推進に関する展望を明らかにする総合的な計画である。

2 東京都特別支援教育推進計画発表までの経緯

  内容
平成15年12月 「これからの東京都の特別支援教育の在り方について」
(最終報告)(東京都心身障害教育改善検討委員会)
平成16年7月 東京都特別支援教育推進計画概要(案)を発表
新しいタイプの学校等、第一次配置計画(案)などを提示
平成16年7月から10月 都民、学校関係者等へ説明会及び意見聴取
  • 意見募集の結果 合計731件
  • 都民に対する説明会 3回(850名)
  • 学校関係者等への説明 27回
  • 請願・陳情 10件
  • 署名数 139,127名
平成16年8月 東京都教育モニターアンケートの実施
平成16年11月 教育委員会において東京都特別支援教育推進計画を策定

3 東京都特別支援教育推進計画の骨子について

(1) 計画の性格

計画の期間は、平成16年度から平成25年度までの10年間とする。

長期計画の実現に向け、当面の具体的な計画として、平成16年度から平成19年度までの「第一次実施計画」を定める。

なお、第二次実施計画以降は、対象となる児童・生徒等の推計や進路希望の動向、学校の実態、社会の動向等を勘案しながら、3年ごとに策定する。

計画の区分 計画期間 計画の策定時期
第一次実施計画 平成16年度から平成19年度 平成16年11月
第二次実施計画 平成20年度から平成22年度 平成19年度中に策定(予定)
第三次実施計画 平成23年度から平成25年度 平成22年度中に策定(予定)

(注) 現在、中央教育審議会において特別支援教育を推進するための制度の在り方に関する検討が行われており、今後、この答申を踏まえた法改正などの動きが予想される。この場合、本計画の内容を一部変更する場合がある。

(2) 計画の基本理念

障害のある児童・生徒等の一人一人の能力を最大限に伸長するため、乳幼児期から学校卒業後までのライフステージを見通した多様な教育を展開し、社会的自立を図ることのできる力や地域の一員として生きていける力を培い、ノーマライゼーション社会の実現に寄与する。

(3) 東京都特別支援教育推進計画の具体的な展開

ア 都立盲・ろう・養護学校における個に応じた教育の充実

障害の重度・重複化、多様化に対応する個に応じた教育の推進や、社会参加と自立に向けた多様な進路希望にこたえる後期中等教育の充実等を図る。

イ 都立盲・ろう・養護学校等の適正な規模と配置

(ア)配置の計画の概要

知的障害養護学校において、今後も見込まれる在籍者数増加への対応、在籍 者が減少傾向にあるろう学校の教育活動の活性化等を図るため、全都的な視野に立って通学区域や地域バランス等に配慮しながら、都立盲・ろう・養護学校全体で適正な規模と配置を図る。

本計画完成時(平成27年度)の学校数は、児童・生徒数の動向や国の法改正等によって変動する場合があるが、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門の併置化等により、現行(平成16年度)規模程度としていく。

平成16年度平成19年度末第一次実施計画 完成時
障害種別 学校数
盲・ろう・養護学校 55校1分校 53校1分校 56校1分校
  盲学校 4校 4校 4校
ろう学校 8校 4校 4校
養護学校 43校1分校 45校1分校 48校1分校
(イ)個に応じた新たなタイプの学校づくり
知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部の設置 主に中学校の通常の学級や心身障害学級等から進学してくる知的障害が軽い生徒を対象とした高等部を設置する。企業就労をめざす職業学科(仮称)と資格取得等を目的とした進学をめざす普通科(仮称)を設置する。
中高一貫型ろう学校の設置 中学部・高等部の6年間を見通した教育課程を編成し、大学進学等をめざす中高一貫型教育を行う学校として設置する。
病弱養護学校の高等部の設置 高校等へ進学した後、病気のために長期欠席や中途退学を余儀なくされる生徒たちを対象に、医療・生活管理体制の整った久留米養護学校(病弱養護学校)に新たに高等部を設置する。

ウ 都立盲・ろう・養護学校の教育諸条件の整備

教員の資質及び専門性の向上、民間活力の導入等による開かれた学校づくり を推進する。

また、学校の施設・設備の充実を図る。

エ 小・中学校における特別支援教育の充実への支援

小・中学校の通常の学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等の特別な教育的支援が必要な児童・生徒への対応について、国の法改正等の動向を踏まえながら特別支援教室(仮称)の設置の在り方等について検討する。

今後の特別支援教育への移行に当たり諸課題を明らかにするため、「特別支援教育体制・副籍モデル事業」を実施する。また、小・中学校における教員の資質・専門性の向上を図る。

オ 一人一人を大切にする教育を推進するための都民の理解啓発の充実

特別支援教育に関する講座、授業公開や交流教育等をより一層充実させるとともに、特別支援教育に関する説明会等を行うなど、広く都民への理解啓発活動を推進する。

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