第4回東京都心身障害教育改善検討委員会議事要旨

更新日

1.日時

平成14年11月28日(木曜日)15時~17時

2.場所

東京都庁第二本庁舎31階27特別会議室

3.出席者(順不同・敬称略)

上野委員長、西川委員、斉藤委員、吉澤委員、山内委員、米谷委員、濱埼委員、冬木委員、小坂委員、坂田委員、斎藤委員、近藤委員、越智委員、佐島委員、杉原委員、石橋委員、大舘委員、比留間委員、臼井委員

4.議事内容

(1)開会

(2)事務局より配布資料説明

(3)第3回東京都心身障害改善検討委員会議事要旨報告

  • 傍聴者入場

(4)意見・提言等(○は委員の発言、△は事務局)

「教育環境の整備に関する検討の視点」及び「改善のためのグランドデザインについて」(事務局より説明)

    本日は、今後の改善・充実の方向の中で、特に「エリア・ネットワーク」及び「パートナーシップ」の2点を中心に論議を進めたい。

    このエリア・ネットワークの構想はよいと思う。ただ、図における盲・ろう・養護学校の役割がやや希薄ではないかと思う。パートナーシップが強調された図になっていないか。

    全体としての構想はよい。大切なことは、どんな障害のある子も、どんな地域に住んでいても、必要なサービスを受けられるということである。この図は、支援を提供する側の効率を高める圏域となっている。一方、住んでいる地域を基本のエリアとする考え方も重要ではないだろうか。

    今ある肢体不自由養護学校14校をエリアとして分ける考え方には、広さの違い等もあり不安である。

    エリア・ネットワーク構想には、ハードウエアとソフトウエアの両面がある。最初はセンター構想についてどう考えるかハード面を押さえたい。

    改善・充実を図り、機能を高めていくためには、このエリアの数についてどう考えていくか課題としている。子供の側から見たサービスの問題は、次回以降に検討していく予定になっている。

    エリアの数を固定的に考えないで、統廃合された公立学校の校舎等も視野に入れ、もう少し小さな規模のエリアも考えられないか。

    空いているから使うというのではなく、どのような形で各種別の適正規模・適正配置を考えていくか、エリアをどう構築していくか検討していきたい。

    教室不足・長距離通学等の解決のためには、この構想はよいアイデアである。ただし、学校規模を巨大化させないこと、単なる統合とせずに専門性を残しておくこと等、様々なニーズへの支援が充実してできるようにしていきたい。

    これからは通常の学級も含め、施策を進めていくことが重要である。その意味で、図の破線は実線で表してもよいのではないか。

    盲・ろう・養護学校は、地域のセンター的役割を果たす学校である。インクルージョンの考えからしても、実線で結んだ方がよいと思う。

    エリアがどのくらいあればよいのかということについては、柔軟に考えていきたい。盲・ろう・養護学校の一つ一つの学校がセンター校ではないだろうか。

    今後の福祉は、当事者主体である。民間当事者団体、関係団体等もこの図に示されるとよい。

    エリアの数は固定的に考えるのではなく、面積比や人口比等も考慮し、子供の状態や地域のリソ―ス等も視野に入れていくようにしたい。

    これからはサービスを与える側から受ける側への発想の転換を図る必要があり、エリア構想も弾力的な運用を図っていく必要がある。

    パートナーシップの課題について、地域によっては小中学校の心身障害学級担当教員の専門性を危惧している。知的養護学校から心身障害学級へ行きたいという教員は毎年いるが、都で養護学校に採用された者は異動できないため、断念せざるを得ない。交流や一元化のネックになっている。また、後期中等教育の充実では、職業学科の不足も課題である。

    教員の専門性を高めていくための論議は最終回で行っていく予定である。後期中等教育の充実は、「図2-1」の例で示しているように、小中高一貫型校と高等部単独型校とで考えており、今後充実を図るように考えていきたい。

    後期中等教育を受けたい時にどういう形の受け皿があるのか、その在り方やパートナーシップをどう保っていかねばならないか等の課題がある。

    中高一貫型の学校ができたから、幼少の学校がいらなくなるというのではない。むしろ、そのような学校ができるから、幼少の学校が大事になると考えたい。

    本年度の学校調査を見ても、児童・生徒数は減少しているが、盲・ろう・養護学校ではこの10年間の推移を見ても逆に増えている。今後も広い視野で考えていく必要がある。

    心身障害学級は、どちらかというと知的障害に重点が置かれていて、肢体不自由が横に置かれている感がある。地域で教育を受けることの大切さを忘れずにエリア構想を進めて欲しい。

    全ての学校をバリアフリー化していくというのが、世界の流れである。センターさえつくれば課題が解決するというのではない。

    子供たちを取りまく環境の中で、喘息やアトピーが増えている。こういう問題も義務教育段階だけでは解決できない。パートナーシップを推進する中で、幼少中高、医療を含めて条件整備をお願いしたい。

    教員の人事交流は他県では効果をあげている例もあり、パートナーシップを進めるためには大事な問題である。

    このエリア・ネットワークの図は、盲・ろう・養護学校あるいは心身障害学級という心身障害教育の側から見た支援の図式である。小中学校との関係は、パートナーシップを進めるためには破線を双方向の実線の矢印にしたらよいのではないだろうか。

    サービスの狭間にある子供たちについても考慮していってほしい。

    国の改革によって、今後の心身障害教育も大きく変わろうとしている。国の「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」では、軽度の障害の子供たちを対象に全国調査を行っている。これまでの数字と合わせると、全体では10パーセント近くの子供たちが支援を待っている。1パーセントの特殊教育から10パーセントの特別支援教育へという時代である。これからは、障害の種別や重い・軽いということで単純に分けるのではなく、ニーズに応じていかにサービスできるかが大切ではないだろうか。財政的な課題もあるが、互いに知恵を出し合っていきたい。本委員会としては、ここでまとまったものをただ報告するというのではなく、パブリック・コメントという形で広く意見を求めていきたい。この続きは次回としたい。

(5)事務局より事務連絡(次回の予定)

(6)閉会

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