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第12回 東京都心身障害教育改善検討委員会(議事要旨)

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最終更新日:平成30年(2018)2月28日

1 日時

平成15年10月20日(月曜日) 午後3時から午後5時15分

2 場所

都庁 第2本庁舎10階 201・202会議室

3 出席者

(順不同・敬称略)出席委員22名、欠席委員9名  上野委員長、大南副委員長、佐島委員、斉藤(佐)委員、吉澤委員、山内委員、米谷委員、濱崎委員、吉田委員、越智委員、矢口委員、芦崎委員、川田委員、内藤委員、時任委員、臼井委員、山際委員、斎藤(尚)委員、野村委員、杉原委員

4 議事内容

1 開会

委員長あいさつ

2 報告

(1)傍聴希望者数の報告と承認

(2)配布資料の確認

(3)第11回議事要旨について

前回の議事要旨を各委員には事前に配布しているが、特に訂正はなかった。最終的に確認していただきたい。委員から、特に訂正がないので、本委員会終了後、事務局で手続を行った上で、東京都教育委員会ホームページで公表することにする。

(4)都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会報告について

東京都教育委員会は、都立七生養護学校における教育内容や学級編制及び教職員の服務等に不適切な実態があったことを契機として、都立盲・ろう・養護学校全校の実態調査を行い、必要な改善策を検討するため、本年7月14日、「都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会」を設置し、去る8月27日に報告書をまとめた。事務局より、この報告についての概要説明があった。

3 議事

<委員長>

本日は次第にあるように、これまでの審議をふまえて「中間まとめに関する意見募集結果に基づく検討課題への最終答申に向けた対応の方向についてのまとめ」の審議を行う。

審議に入る前に、本委員会との関連があるので、東京都の第2回就学指導委員会において検討された特別支援教育と就学相談の在り方に付いて事務局より報告がある。

(1)第2回就学指導委員会において検討された特別支援教育と就学相談について

<事務局>

特別支援教育の展開と就学相談の在り方について、東京都就学指導委員会の検討状況を報告する。

東京都就学指導委員会では、今年度、この件について、既に委員会において2回の検討を行っている。

なお、委員会として、これからも継続的な検討が必要であり、本日は審議結果の報告として、特別支援教育体制への転換に当たって、今後、都と区市町村で検討すべき課題について報告する。

○就学相談の流れの基本的な点について

現在、区市町村教育委員会における就学指導は、域内に住所を有する次年度の就学予定者のうち、障害のある児童・生徒の就学すべき学校の決定及び障害の判断に当たって、区市町村教育委員会が自治事務として就学相談を実施し、専門家の意見を聞いた上で総合的かつ慎重に進められている。(平成14年5月27日14文科初第291号「障害のある児童・生徒の就学について(通知)」文部科学省初等中等教育局長)

これまでは、就学相談の結果、障害があるものの、その障害が、盲・ろう・養護学校に就学すべき障害の程度を定めた、学校教育法施行令 第22条の3、いわゆる就学基準に該当しない者と、該当者のうち特別な事情により認定就学者に認定されたものについては、小・中学校の通常の学級、通級指導学級、固定の心身障害学級のどこで学ぶかについて、保護者の意見も聞きながら区市町村教育委員会によって決定されていた。

しかし、特別支援教育体制の下では、小・中学校の障害のある児童・生徒の就学相談は、すべての児童・生徒を通常の学級に措置し、その上でそれぞれの教育的ニーズに応じてどれだけの時間、どのような形の特別支援教室で学ぶかを判断することが必要になってくる。

○乳幼児期から就学相談までの就学前の課題について

ここでは、「LD等を含む障害のある児童・生徒の早期からの相談支援体制の整備」が求められる。区市町村教育委員会で検討が必要と考えられる課題は、第一に、中間のまとめでも報告している「特別支援プロジェクトの実施」についてである。医療・保健、福祉との連携によるネットワークを構築し、早期からの相談を充実するとともに、「就学支援計画」に基づく就学相談を充実し、子供のライフステージに応じた特別な教育ニーズの把握が求められる。

○幼稚園、保育所との連携に重点をおいた相談支援体制の整備

幼稚園や保育所の教職員に対するLD、ADHD、高機能自閉症の理解に関する研修の充実や特別支援教育及び就学相談等の理解啓発、情報提供に加え、心理士等の専門家による教職員や保護者に対する巡回相談等の実施について検討が必要である。

また、相談担当者の明確化、相談窓口の設置と保護者への周知、教育委員会や専門機関との連携の在り方など、幼稚園、保育所内の体制整備等に関する適時・適切な指導・助言が求められる。

一方、東京都教育委員会においては、広域的な視点に立った幼稚園、保育所の教職員等への理解啓発、特別支援プロジェクト推進事業の実施、教育相談センターとの連携による、LD、ADHD、高機能自閉症に関する相談窓口の整備、民間相談機関に関する情報提供など、専門家との連携による巡回相談への支援について検討を進める必要がある。

就学相談時における検討課題
○就学相談の実施方法、就学指導委員会の組織と役割など、児童・生徒一人一人の特別な教育ニーズを適切に把握する就学相談の在り方

区市町村教育委員会に関係する検討課題として、「LD等の児童・生徒の特別な教育ニーズの把握」があげられる。そのためには、研修の充実等により、保護者の主訴(ニーズ)を適切に受けとめる(インテーク)ことができるような、LD等の障害に関する知識を有する就学相談担当者の育成と確保が求められる。

○LD等の診断に関する専門家チームの設置

昨年の学校教育法施行令の改正では、新たに第18条の2として、「専門家の意見聴取」について、「区市町村教育委員会は、教育学、医学、心理学等の専門的知識を有する者の意見をきくものとすること」という点が明記された。

これまで以上に医師、心理士、学識経験者等の専門家による正確な判断の実施が必要になるとともに、区市町村の就学指導委員会には、専門家チームの判断や就学相談において収集した資料を基に、必要な教育的支援の方法等について委員会としての所見をまとめるなどの役割が求められる。

なお、特別支援学校への就学については、当該児童・生徒一人一人の教育的ニーズを明らかにし、これまでと同様に、就学基準(学校教育法施行令第22条の3)に基づいて適切に判断することが重要である。

東京都教育委員会においては、国の動向を踏まえ、専門家チームの設置や特別支援教室における指導内容及び指導時数決定までの手順等についてまとめた就学相談のガイドラインを作成・提供するなど、区市町村教育委員会への支援が求められる。

また、併せて専門性の高い就学相談員の育成や相談機関との連携を推進するなど、区市町村の就学相談体制の整備・充実に向けた支援が求められる。 

就学後の課題について
○校内委員会及び特別支援教育コーディネーターの役割と就学指導委員会の関係

区市町村教育委員会における課題としては、児童・生徒や保護者への相談支援体制や通常の学級での指導体制などの校内体制の整備や就学前の就学支援計画と就学後の個別指導計画の継続、学級担任と特別支援教室担当あるいは外部の専門家や特別支援学校との連絡・調整などの校内委員会、特別支援教育コーディネーターの活用について検討が求められる。

特別支援教室で学ぶ児童・生徒の教育ニーズや指導時数等の判断や就学後に特別な教育ニーズがあることが明らかになるケースへの対応のシステムについて、専門家チームとの関係を含め検討する必要があると考える。

また、東京都教育委員会においては、特別支援教育体制モデル事業を実施し、就学相談の手続等について試行する中で、全面実施に向けた「ガイドライン」の作成に必要な情報を収集することや、専門家チームによるLD等の判断に必要な支援や就学相談に関する研修会の実施について検討する必要がある。

東京都就学指導委員会として、国の動向にも留意しつつ、特別支援教育体制下の都と区市町村のそれぞれの役割と責任に基づいた就学指導について、今後も継続して検討していく。

<質疑・意見>  ○委員 △事務局
  • ○ LD等の問題に関しては、病院ということではなくて、教育が責任をもって子供に対して実態の把握とその実際の措置(教育)を考えたいということで、診断という言葉は一切使っていない。診断については判断と書き換えたほうが良いのではないか、特別な理由があるのか。
  • △ 特別な理由はないが、学校教育法施行令第18条の2に、既に昨年申し上げた専門家チームの設置、意見聴取がいわれており、LDについては従来ある専門家チーム、あるいは特別な専門家チームなど、意見を聴く場が必要ということで、より医療的、心理的な側面から見て、専門的な判断という意味である。診断という言葉にとらわれているわけではないので検討したい。
  • ○ 就学前の子供をどうやってLDと判断するのか。基準が知りたい。LDと判断できないのではないか。入学してから、1学期程度、心身障害学級の先生が様子を見て、この子はこの程度できるとか分かるのにある期間が必要ではないか。専門家でも短時間では、判断できないと思うがどうやって判断するのか。
  • ○ 本来、校内委員会の概念を出したときに、小学校3年生くらい、つまり、ある程度学力というものが表れたときに判断する。ところが、実際にはADHDや高機能自閉症では、7歳以前に医者は診断する。LDの場合は、確定診断できないまでも、それまでの発達の状況から、LDサスペクトというか、LDとしての疑い、あるいはLDの可能性がかなり高いのではないかという意味での医者の意見は出る。むしろ、最近の状況では、保護者は、学校に行ってからではなくて、生まれたときに、低体重だったりすると、そういうおそれがあるということで、丁寧に見ていくことがある。したがってそのことを踏まえて、最初の就学相談の段階から、親の方から、この子はLDの可能性があるかも知れないので、丁寧に見てくれということがある。そういうことで、むしろ、3年児の段階よりも、もっと前に入れた方がいいのではないかと、これは、LD等となっているので、LDに関しては確定診断はもっと後になると思うが、LDと重複しやすい多動の問題であったり、ADHDの問題であったり、高機能自閉症ですと診断がかなり早いので、そのことも併せてここでは取り入れてあるのだと思う。したがって専門家の側からいえば、確定診断をするというのではなくて、例えばそういうおそれがあるから、それも見ようということで対応をできるだけ早くという意味であると思う。
  • ○ ここで特別支援教育の全体、特別支援学校と出ているので、個別の支援計画を区市町村、特に都の特別支援教育の中に加えておく必要がある。ある子供について、障害が発見されたときから、個別の支援計画が作られるわけだから、それが就学前から就学相談時に活用されるし、就学後もそのまま引き継がれていく。それが個別の支援計画である。文部科学省は平成17年から、盲・ろう・養護学校の個別の支援計画を策定すると、新障害者プランで明記しているから、入れておいた方が良いのではないか。
  • △ 改善検討委員会の特別支援プロジェクトの検討の中で、個別の支援計画、ライフステージに応じた支援計画ということで話題があった。従来のいわゆるプログラム、あるいは、各学校段階による個別指導計画といったものをつなぐ、個別の支援計画を作成していこうと。それが、先ほどの委員の発言にもかかわる部分であるが、就学前の早期からの相談の中で、変わってくる支援プロジェクトがその子供の個別の教育支援計画、あるいは個別支援計画、これを見通して、第一段階として作成していくということであるということなので、これについては、資料につけ加えて記録に書き残していくことにする。
  • ○ 早期からの相談といった場合は、比較的障害の重い子供は、乳幼児期からあるわけで、このネットワークの構築はいろんなところで言われていることだが、障害の種類や重さ、これまでのそれぞれの障害による取組の違いによって、非常に違いが大きいと思う。医療との関係が特に深くかかわるが、例えば、1歳児検診とか3歳児検診とかで、上がってくる場合、LDの子供だったら、小学校に入ってから、それから子供によっては、小学校に入ってもなかなかわからないこともある。こういうこともあるので、これまでの医療・保健・福祉との連携ということが、現実に障害別で、実際にどの程度のところまであるかということが、東京都の場合、障害児の教育ネットワークの構築がポイントであるとか、そのあたりをもう少し、もう1歩進んだ段階でもいいが、出てくると単なるネットワークの構築という言葉だけでなく、今どこをなすべきかということが、障害に応じてはっきりしてくるのではないか。
  • ○ 聴覚障害の場合は、特に大切なのは就学前の教育である。特に生まれたときからの重度聴覚障害の場合は、就学後または就学近くなってから、教育を始めたのでは手遅れになる可能性が高い。現在は新生児のスクリーニングが始まっていて、生まれて半年くらいで聞こえないということが分かる。聞こえないかもしれないということが分かる。それが分かった段階で、プログラムとして教育を始めないと間に合わないということがわかるので、相談ではなくて、指導体制を作る必要があるのではないかと思うのでそれも含めていただきたい。
  • ○ 診断ということについては、医師会の方はかなり神経質である。医師以外の者の診断ということは、すぐかみつかれるので、ここで話している場合はさほど問題にならないが、文章にするときには慎重にする必要がある。
    この就学指導委員会で協議していることと、現場の実態とが、かなりズレがあると感じられる。保育課と障害者福祉課と教育委員会との横の連絡が非常に悪いことが見られる。今の就学相談を進めていく中で、横の連携をしっかりやらないと、取りこぼしが出るということを強く感じている。
  • ○ LD等を含む障害となっているので、こういう書き方になっているのかもしれないが、既に既存の障害領域において就学前から、同じように重度から軽度まで、そういうことに関係なく、一人一人の子供のニーズをということなので、そのあたりが見えにくいという意見と受け止めたが、どうであろうか。
  • △ LD等を含むという文章で軽度という印象をもたれたということだが、事務局として表現が足りなかったかと思う。今、委員から現場の横の連絡ということで指摘があったが、就学前の早期についての教育と医療、療育の連携が、従来いかにされてこなかったということを明確にし、いかに新たに連携していけるのかというところがポイントではないかと思っている。例えば国分寺市のようにかなり連携の体制が構築されつつあるところもある。そういう意味で横の連携については、区市町村によっての差はあるが、それぞれ教育と医療、あるいは福祉の中で一人の子供の、ライフステージに応じて、見ていく体制作りということに取りかかりつつあると考えている。
  • ○ これは報告ということであるが、主要な委員会としての課題もまだ残っているので、議案の中で課題についての意見もいただいていきたいと思う。
  • ○ ライフステージに応じた就学相談ということであるが、これから就学を迎える子供のためのプランとして解釈してよいか。現在、心身障害学級や通級指導学級に通っている子供については、これに当てはまらないと判断してよいか。
  • △ これはあくまでも、就学相談委員会の中で、特別支援教育体制を考えたときに、その就学相談、先ほどの話にも出ているように、就学前にとらわれることなく、障害のある子供たちの個別の支援計画に通じるところで、どういう在り方があるかということで検討しているので、当然こういう在り方が考えられた上で、現在在学している子供が、支援体制の中に置かれたときにどういうふうに支援していけばよいかということはまた別に具体的に、検討していかなくてはならない課題であるというふうに受け止めている。

(2)中間のまとめに関する意見募集結果に基づく検討課題と対応の方向のまとめについて

<委員長>

「中間のまとめについての意見募集結果に基づく検討課題に関する対応の方向のまとめについて」本日は3回目ということで、最終答申に向けたまとめの審議に入りたいと思う。それでは事務局より検討資料について説明をお願いする。

<事務局>

第10回、第11回の委員会で審議した中間のまとめに関する意見募集結果に基づく検討課題について、委員会としての対応の方向のまとめの審議をお願いする。

提出された募集意見について、それぞれ共通な意見をまとめ、主要な事項に整理した上で、これらの提起された課題について、これまでの2回の審議に基づいて、対応の方向をまとめた。対応の方向のまとめの全体の構成については、前回の審議を基本としながら、大きな柱とその中の各項目について、一部、全体の流れを考慮して再構成をした。

「1 小・中学校における特別支援教育体制について」の章について
  • 「特別支援教育の展開と児童・生徒の特別な教育ニーズについて」についての対応の方向
     (1)に新たに、モデル事業の検討に関して、「これまでの心身障害学級における教育の成果や都の実情
    を踏まえること、円滑な移行の在り方についての検討が必要であること」、を加えた。
     (2)では、都におけるこれまでの成果を踏まえて理解推進をすすめていくことの必要性の記述を加えた。
     (4)として、保護者・本人への十分な説明と同意に基づく就学指導の在り方や個別指導計画の作成の在り方についての検討の必要性の事項を、新たに加えた。
  • 「特別支援教室の設置の在り方について」についての対応の方向
     (2)の、特別支援教室の柔軟な設置形態についての事項を分けて記述するとともに、「一人一人の特別な教育ニーズに適切に対応できる柔軟な設置形態について、国の動向や地方分権を踏まえつつ、各区市町村の実情に応じた在り方を検討していく必要がある」ことを加筆した。
  • 「特別支援教室の教育内容・方法」についての対応の方向
     (1)として、「特別支援教室では、児童・生徒の在籍校において、個々の児童・生徒の特別な教育ニーズに即し、個別指導計画に基づく柔軟な指導方法・内容での指導ができる。この利点を最大限に生かすことにより、今まで以上に、児童・生徒一人一人の障害の状態や発達段階に即した指導内容の質を高めることが必要である」ことを、新たに加えた。
  • 「校内組織体制の整備」についての対応の方向
     (1)の特別な教育ニーズのある児童・生徒の中で、特別支援教室における指導を必要としない程度の 児童・生徒に対しても、「通常の学級において適切な教育を受けることのできる支援体制を整備する必要 がある」という部分を加え、このために、校内委員会及び特別支援教育コーディネーターは、すべての小・中学校に置く必要があるとした。(2)については、「特別支援教育への移行に当たっては、これまでの心身障害教育が培ってきたノウハウを十分に役立てる必要があることから」という部分を加筆した。
  • 「移行に当たっての条件整備」についての対応の方向
     (1)に、新たに、「特別支援教室の指導体制については、今後、国の動向を踏まえ、適切な教員配置の在り方について検討する必要がある」ことを加えた。
「2 都立盲・ろう・養護学校における特別支援教育体制について」の章について
  • 「特別支援学校の設置の在り方について」の対応の方向
     (3)に新たな内容として、「日常的・応急的に医療的な配慮を必要とする児童・生徒への対応については、都における救急体制整備事業の経緯や国の動向を踏まえ、養護学校全体の対応課題として検討していく必要がある」ということを追加した。
  • 「学校の適正規模・適正配置」についての対応の方向
     (2)の前段部分に、新たに「一方、知的障害養護学校在籍者の増加による教室不足については、全体の再編計画との連携を図りながら、速やかに対応していく必要がある。」との記述を加えた。
「3 エリア・ネットワーク構想、副籍について」の章について
  • 「エリア・ネットワークの考え方について」の対応の方向
     (1)に島しょ部も含めた検討の必要性の記述の中に「都の実情に応じた在り方」という文言を加えるなど、若干の文章整理を行った。
  • 「特別支援プロジェクトについて」の対応の方向
     前回の(1)に、新たに(2)から(4)までの内容を加えた。(2)では、LD等の児童・生徒や保護者に対する適切な就学支援の重要性、幼稚園・保育所や就学前の
    療育機関との連携による就学支援計画の提供のためのLD等の児童・生徒への理解推進や就学相談についての理解啓発の推進、そのための自治体内の日常的な連携体制の構築の必要性について記載した。
     (3)では、就学指導の在り方の検討の推進と現在進めている教育相談体系化推進事業の普及・支援等について触れている。
     (4)では、特別支援プロジェクトの役割として、「個別の支援計画の提供」を明示した。
「4 特別支援教育の展開と学校・教員の専門性について」の章について
  • 「特別支援教室における専門性」についての対応の方向
     前回1章にあったものを、この4の専門性の章にまとめたもので、必要な文章整理を行った。内容的には、変更はない。
  • 「通常の学級の担任への理解啓発について」の対応の方向
     (1)として、通常の学級の担任等に対する理解啓発の重要性と、そのための計画的な研修等の必要性について、明記した。
  • 「特殊教育教諭免許状保有率の向上などについて」の対応の方向
     前回の(1)に、(2)から(4)までを新たに追加した。
     (2)として、教員採用に当たっての教員養成大学との連携などの具体的検討の必要性、(3)として、各学校における、人事考課制度の活用や校内研修等による専門性向上のための取組、外部の専門家やNPO等の民間活力の導入・連携など、開かれた学校経営について、(4)として、校長のリーダーシップに基づく自律的学校経営改革とその支援について、それぞれ追記した。
「5 その他の意見」の章について

対応の方向については、前回は示さなかったが、これまでの審議を踏まえて、新たに案を示した。

(1)として、都における特別支援教育への移行は、社会のノーマライゼーションの進展を踏まえ、LD等を含む障害のある児童・生徒一人一人の特別な教育ニーズの的確な把握に基づく個に応じた柔軟な教育支援を目指すものであることを共通に理解することを必要とするもの

(2)として、東京都心身障害教育改善検討委員会は、都民からの意見募集に基づいて、最終答申に向けた十分な審議を行い、都民にわかりやすい内容の最終報告とすることに努める必要がある、とするものである。

<意見・提言>  ○委員  △事務局
  • ○ 検討のためのたたき台の図にある固定配置の教員、この資料の特別支援教室の担当教諭となっている
    ところは、これを担任とすべきだ。国が教員の固定配置をできないといった場合は、都は独自で教員を確保できるのか。今までどおりの学級編成定数であることが大事である。
  • ○ これまで、通級学級1校と心身障害学級1校を見学し、現場の声を聞いてきたが、固定の教員が必要であると感じた。固定の教員がいないと、パニックを起こした子が出たとき勉強どころか生活もままならない状態になると感じた。保護者はそれぞれ考えが違うので、保護者が選択する自由を第一に考えてほしい。
  • ○ 大切な審議なので、結論を急がず、時間をとって納得のいく十分な審議をしてほしい。
  • ○ 現在、東京都では、院内学級が区市町村の小・中学校の分教室として設置されている。障害種別に難聴、弱視、病弱、知的障害とあるが、学級としてどのように継続性を持っていくのかということについて、現在より質が下がらない良い形が見えてくるような議論が必要である。町田市の弱視学級はすべて巡回指導で学校を訪問している。必要なのは、システムと同時に障害に応じた専門性のある教員、設備がどのように継続されるかということについて、当事者の意見を聞くことが大切である。
  • ○ 病弱教育の問題については、東京都教育委員会も検討してきたと思う。現在、都立病院が統合という方向にある。府中にもできるので久留米と合わせて多摩地区の方には病弱養護学校や分教室は整備される。23区についても検討していく必要があると思う。現在の病院内の訪問教育については肢体不自由養護学校等で行っている。心身障害学級、特別支援教室、病弱養護学校の教育を含めて、検討課題として書き込んでおいたほうがよいと思う。
  • ○ 例えば、弱視であれば、その特別な専門性のある教員と設備が地域の中で得られるということが必要である。それが継続性を持ち障害種別に応じ、今よりも柔軟に展開できるような形で特別支援教育を考えていく。相当数の時間の指導を必要とするいわゆる固定学級では、中・軽度の知的障害や自閉症の子が多く、教科学習では、別に指導計画を組むことになるが、今よりもよくなるという計画を示さないといけないわけである。当事者が納得できるプランを示すことが大事である。このように障害種別や固定、教員の問題にしても課題があるということを書く必要がある。
  • ○ ある保護者は、特殊教育が改善されると、障害児が受ける指導が大幅に少なくなる可能性があるといっている。指導を受けるところで指導を受けないと将来的な不安にもつながるので、指導時数については、明記してほしい。
  • ○ 固定的教員の配置について、この教員を担任にできないのか。
  • ○ 実態調査をしたが、その結果について教えてもらっていない。教えてもらえるのか。
  • ○ 「検討していく。」という文言があるが、最終答申で「検討していく。」とはどういうことなのか。法令改正を待つのであれば、「法改正を待って」と書くのがよい。
  • ○ モデル事業については、モデル事業としての、どのようにして、どうなるというプランなりイメージというものが見えにくい。
  • ○ 教員の配置についてですが、現在の教員の配置は何を基準にしているのか。児童数で決めるとすると、4月以降でないとわからない。
  • △ 実態調査については、現在集約中である。10月中にはまとめ、結果は教育委員会に報告し、都のホームページで公表する。
  • △ 東京都では、養護学校に在籍する児童が、居住する身近な小・中学校に必要に応じて通うことを副籍と考えているが、その背景はノーマライゼーションの考え方のもとにある。これまで固定の学級に籍を置いていた子が、通常の学級に籍を置いて、特別支援教室に必要な時間通うというシステムの考え方は、盲・ろう・養護学校に就学する子供についても同様なことが言えて初めてノーマライゼーションであり、特別支援教育体制への転換の背景にあるということが言えるのではないか。国の最終報告の中で、小・中学校については通常籍という考え方が打ち出された。東京都としては、盲・ろう・養護学校に就学する子についても同様の考え方を当てはめるシステムはないかという中で生まれてきたのが副籍という考え方である。説明会等で一部、副籍という考え方が拡大解釈されて、それが、小・中学校の負担になっていくのではないかという指摘もある。基本的には、その子のニーズに応じてというのは、固定の学級が必要であるという子と同様に、個別指導計画等の教育計画の中でどの程度の時間、どのような形でやるかということについては、内容・方法の検討ということで、小・中学校、あるいは区市町村の教育委員会と盲・ろう・養護学校の中でより具体的に慎重に検討されていかなければならないと考えている。
  • ○ 副籍について、現在都立の盲・ろう・養護学校に在籍する児童・生徒を対象にするということで、特別支援学校という名称にならなくても、盲・ろう・養護学校として副籍が可能だと解釈していいか。
  • △ 現在、交流教育の中のひとつとしてとらえられているのではないかと思う。副籍という言葉を用いるかどうかということと、特別支援学校という体制の時間的なことや定義の部分とは別に、内容として、実績として必要であれば、交流教育の中で考えるべきことである思うし、そうしているやに聞いている。
  • ○ 「検討する。」という文言について、各区市町村の実情や国の動向を見て検討していくとか、これからの特別支援教育の進展、保護者や小・中学校の意見など様々なこととの関係があるので、断定せずに柔軟な対応ができる表現でよいと思う。
  • ○ 専門性について、教師の中には、経験豊富で専門性の高い教師がいる。このような教員にマイスターとか、認定教員制とかがあってもいいのではないかと思っている。
  • ○ 人のクオリテイのシステムがないところで,学校や校長が評価されている。認定講習をやるのはいいが、これはあくまでも経過措置であって、大学での免許取得が大前提の基本条件である。
  • ○ 教育の専門性は専門家の配置だと思う。校内も就学相談も教員定数配置も全体的に考える必要がある。そして、子供の教育的ニーズの両方の側面から考えることが大切である。盲・ろう・養護学校でも同様である。盲・ろう・養護学校だけで人員が足りないと騒ぐのでなく、全体的に見て、社会資源をどう活用するかと考えることが大切である。
  • ○ エリアのところは気になるところである。これからの方向性をさらに示してくれると特別支援教育の現実味が出ると思う。
  • ○ 副籍については、保護者は期待している。個別のニーズに応じるということだが、個別のニーズだけでなく、全体についても考えてほしい。
  • ○ 重度・重複学級の整備の問題について、このことについての表現は、「肢体不自由養護学校における通学負担の軽減、障害の重度・重複化、多様化への適切な対応」の一文のみであり、内容の意味が読み取りにくく、理解しにくい。
  • ○ 教員の免許状について、現在、特殊教育に関する教員免許状を取得できる大学は極めて少ない。先ほどの免許状についての考え方はもっともだと思う。
  • ○ 教員免許取得法が改正されて,知的障害養護学校に関してはその辺の縛りがなくなった。免許を持つということは、必要最低の要件であるので、採用時には免許を持ち、また研修を積みましょうということである。
<副委員長>

就学支援計画から個別指導計画へ、さらに個別の教育支援計画になるのだろう。現在の個別指導計画の概念は、都の個別指導計画Q&Aの中に書かれているが、個別の教育支援計画はそれをはるかに超えている。言葉にこだわると、そこで止まってしまうおそれがある。個別の指導計画は消さないで、次は個別の教育支援計画に行くのだという順序性があるとよい。

副籍に関することは、心配なのは、区市町村の小・中学校の先生方の過重負担にならないかということである。都立に余裕が出てきて、小・中学校が大変になるのは、ノーマライゼーションの考え方がよくても変な話である。両方に行けるようにしておくことが大事だ。

検討委員会と行政である教育委員会の役割がごっちゃになって議論していることがある。検討委員会で議論したことが絵に描いた餅にならないようにするのは、都民であり、行政だと思う。検討委員会が出す報告を、行政が施策として移せばいい。施策としては、すぐやるものと3年とか5年かかるものとがある。先ほどの意見として出た「検討する。」だが、この検討するには大事な含みがある。モデル事業だと、モデル事業をやりながら検討していくということ。ここでは結論は出ないので「検討する。」と残してある。「検討する。」は後で、より具体化することである。例えば、校長会などで、より具体化するということである。

条件整備でやらなければならないのは、不足教室の解消である。教育内容の充実のための指導計画があっても、教室がないと実施できない。条件整備は重要である。

<連絡事項 事務局>
  • 次回 第13回東京都心身障害教育改善検討委員会
  • 日時 11月6日(木曜日) 15時から17時
  • 会場 都庁第二本庁舎 10階 201・202会議室

お問い合わせ

教育庁都立学校教育部特別支援教育課特別支援教育企画担当
電話:03-5320-6753 ファクシミリ:03-5388-1728
メール:S9000012(at)section.metro.tokyo.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの表記を一部変更しております。
お手数ですが、メール送信の際は(at)を@に置き換えてご利用ください。

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