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第6回 東京都心身障害教育改善検討委員会(議事要旨)

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最終更新日:平成30年(2018)2月28日

1、日時

平成15年1月28日(火曜日)15時~17時

2、東京都庁第二庁舎31階27特別会議室

3、出席者(順不同・敬称略)

上野委員長、大南副委員長、西川委員、吉澤委員、山内委員、米谷委員、濱崎委員、冬木委員、小坂委員、坂田委員、斎藤委員、越智委員、佐島委員、津田委員、杉原委員、石橋委員、野村委員、有留委員、比留間委員、石川委員、時任委員

4、議事内容

(1)開会

(2)事務局より配付資料確認

(3)第5回東京都心身障害教育改善検討委員会議事要旨報告

(4)意見・提言等(○委員、△事務局)

検討事項「区市町村への支援、~特別な支援を要する児童・生徒への支援のあり方~」について資料3にもとづき事務局より説明。

1 小・中学校における特別な支援を要する児童・生徒の現状と課題

ア 通常の学級における特別な支援を要する児童・生徒への対応

「今後の特別支援教育の在り方について」(中間まとめ)で、文部科学省からは、全国調査の結果として通常の学級に在籍している児童・生徒の中におよそ6%のLD・ADHD・高機能自閉症児等が存在することが報告されている。東京都では、その対象者の一部は、現在、通級指導学級等で対応しているが、今後、LD・ADHD・高機能自閉症児等に対する教育ニーズの高まりがあり、対応が重要である。

イ 心身障害学級の対象者の増加に伴う学級の集中化、多様化の進行

学級の増加に伴い、一つの学校に心身障害学級が集中化・大規模化する傾向がある。また、在籍・通級している児童・生徒の障害の状態が多様化する傾向がある。他に、学校全体が小規模化している中で、小・中学校において、心身障害学級が占める割合が大きくなるということは、学校内の施設・設備面や教員の配置などにおいて適切であるとは言えない。今後は、固定学級及び通級指導学級の適正規模・適正配置のあり方を検討する必要がある。

ウ 身近に心身障害学級を設置した小・中学校が少ない

都はこれまで拠点校方式により、障害種別ごとの心身障害学級を設置し、成果を上げてきた。しかし、児童・生徒の通学・通級の負担や地域での生活を考えたとき、できるだけ身近な学校で学べるようにすることが必要である。

今年度より横浜市は、「個別指導学級」という名称で、できるだけ通学区域の小・中学校で学ぶことを基本とし、知的障害の児童・生徒に対しては、必要があればどの学校にも学級を設置している。そのため、ほとんどの学校に固定学級がある。横浜は横浜としての地域性やこれまでの経過により、このようにしている。今後、東京都も、心身障害学級設置校までの通学・通級の負担をできるだけ軽減し、身近な学校で学べるようにすることが課題である。

エ 担当教諭の専門性が十分でない

心身障害学級は盲・ろう・養護学校に比べ、教員集団としても小さく、専門性を高めることが難しい状況である。研修の充実や人事制度の検討を行い、担任の専門性を高めることが重要である。公立小・中学校の心身障害学級(固定学級)担当教員の免許状保有状況は資料にあるとおり、全国平均は27.8%に対して、都は29.6%である。

オ 心身障害学級と通常の学級との連携が十分ではない

現在、心身障害学級は、それぞれ学級に在籍する児童・生徒の指導をしているが、通常の学級の児童・生徒との交流が不十分な場合が多々見られる。ノーマライゼーションの観点からも、小・中学校に設置されている利点を活かして交流をさらに深めねばならない。

また、心身障害学級の担任が、在籍・通級している児童・生徒の指導だけではなく、広く学校全体の特別な支援を要する児童・生徒にも目を向けることにより、今後の特別支援教育体制におけるキーパーソンになっていくと思われる。

学校全体としての特別支援教育に対する理解促進及び校内体制の整備による連携・協力が今後の課題である。

2 特別支援教育体制の整備についての基本的な考え方

ア  地域の子供たちの教育は身近な学校で行う

障害の程度に応じた支援ができるだけ身近な学校で受けられるよう、都も区市町村も努力していくことが今後さらに必要である。子供の状態によっては、十分な教育を受けるためには、これまでのように盲・ろう・養護学校へ通学する場合もあるし、地域の小・中学校で支援を受けることが可能かもしれない。できるだけ生活基盤のある地域を中心に、支援体制を整えていく必要がある。

イ 特別な支援を要する児童・生徒の教育環境の整備
  • ○従来の心身障害教育は、児童・生徒の状態に応じ、適切な教育の場において指導の充実を図ることを基本的な考え方としてきた。今後は、その成果も踏まえながら、児童・生徒一人一人のニーズに応じた教育的支援を行うという視点に基づいて改善・充実を図る必要がある。
  • ○従来の東京都の教育は盲・ろう・養護学校や心身障害学級、通級指導学級など児童・生徒の状態に応じて設けられた教育の場により、手厚い指導をしてきた。今後はこれに加え、通常の学級に在籍していて、特別な支援を要する6%の児童・生徒まで含み、特別支援教育として、一人一人が必要とするニーズに合わせた支援の方法を考える必要がある。
  • ○従来の盲・ろう・養護学校及び小・中学校心身障害学級における心身障害教育に加え、通常の学級に在籍するLD等の特別な支援を要する児童・生徒への特別支援教育の充実が求められている。東京都と区市町村は、各々の責任において、身近な地域における特別支援教育体制を整備し、連携・協力して特別支援教育を推進する。
  • ○これまでも、LD等の一部の児童・生徒については、通級指導学級や教育相談所等で対応してきた。しかし、6%という数に対応できるものではない。今後はLD・ADHD・高機能自閉症等に対する特別支援体制の整備を早急にすること。この体制整備は、小・中学校を設置している区市町村と東京都が同じ目的に向かって、その役割を担い、連携・協力していかなければならない。

3 検討の視点

[視点1] 改善の基本的な考え方

特別支援学級は、従来の固定の心身障害学級のことである。これまでは、児童・生徒も教員も通常の学級と一定の距離をおいた傾向があるが、通常の学級との交流を今以上に深め、垣根を取り払っていく必要があり、図ではそれをイメージして図案化した。また、特別支援教室とは、通常の学級に在籍しているLD等の児童・生徒の指導・相談を行う場で、全ての学校に設置することを原則とする。ここでは従来の通級指導学級を改編して、通級指導学級の担当者が巡回指導を行い、専門家による巡回指導による指導や相談を行うとともに教員への指導も行う。

(1)区市町村の改善の方向
  • ア 特別な支援を要する児童・生徒の教育の場の整備・充実
    区市町村が原則的に、全ての小中学校に特別支援教室を設置する。その教室では、心理の専門家等による巡回相談等を実施することが必要である。心理の専門家等については、いくつかの区市町村では既に実施されているが、発達心理に関する専門家等による巡回相談や、パートナーシップによる盲・ろう・養護学校の教員派遣や特別支援プロジェクトによる専門家等の派遣を活用し、支援を充実させる。
  • イ 心身障害学級の適正配置
    今の集中化・大規模化している心身障害学級を見直し、その適正配置をすすめることが必要である。
  • ウ 専門性の向上
    いくつかの区市町村ですでに実施されているPT(理学療法士)やOT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)等を非常勤で配置することや、盲・ろう・養護学校の教員派遣の活用などにより、心身障害学級の専門性をより高めていく。また教員の研修体制を充実する必要がある。
(2)東京都の改善の方向
  • ア 特別な支援を要する児童・生徒の教育に対する支援
    教員の専門性の向上のための研修の実施が必要である。次に、巡回指導を実施するための通級指導学級の改編が必要である。従来の通級指導学級は設置校に児童・生徒が通級してくる形態だが、通級する児童・生徒の負担が大きいことや、保護者の付き添いが必要などの点について課題がある。今後は、自分が通う学校に指導のための教室があり、自分の障害の状況などに応じた学校を選択できるという視点が重要である。そのためには、通級指導学級の担当者も学校を巡回するなどの改善が必要である。都もこのような形態の学級を認めていくことを検討しなければならない。
  • イ 心身障害学級の充実に対する支援
    エリアネットワークによる支援を充実させていく必要がある。これまでの改善検討委員会で検討されてきたエリアネットワークだが、小・中学校から考えた図を示した。校内委員会とは、各学校に設置していくもので、児童・生徒の実態を把握し、特別な支援を要する児童・生徒の指導について検討を行う委員会である。また、特別支援教育コーディネータは、各学校で指名するもので、特別な支援を要する児童・生徒のために、学校内及び関係機関との連絡調整を行う教職員のことである。いずれも文部科学省の中間のまとめでは必要性が謳われている。
    次に、心身障害学級の拡充である。区市町村の心身障害学級(すなわち特別支援学級)の適正配置が推進されるよう助言を行うとともに、教員の配置をする。
  • オ 専門的教育の推進のための支援
    指導内容・方法の開発に関する研究を行うことが必要である。次に、特別支援センターによる支援が必要である。現在は、東京都には心身障害教育に関するセンター的役割を果たすところがない。今後は、東京都特別支援教育推進室に特別支援教育に関する研修・研究・相談や、各種の情報提供を行う機能を新設し、区市町村を支援していく事が必要である。
    最後に、教員の採用や異動等のあり方について検討を深めていくことが重要である。
[視点2]特別支援学級・教室のあり方

国では、「特別支援教室」としているが、東京都では学校の配置状況や交通手段、心身障害学級の実績等を勘案すると、特別支援学級(現在の固定の心身障害学級)と特別支援教室(現在の通級指導学級を改編した教室)が必要ではないかと考える。そしてこの特別支援学級・教室を強化・充実するために、校内委員会の設置や特別支援教育に対する方針の提示や、特別支援教育コーディネータの指名とその養成などが必要である。

[視点3]東京都と区市町村の連携
ア エリアネットワークによる専門的な指導の活用

エリアネットワークによる盲・ろう・養護学校の教員の専門性を生かした巡回指導や、特別支援学級・教室の担当教員との相互の教員派遣研修や人事交流、次に、特別支援プロジェクトによる専門家の巡回相談や関係機関との連携などが必要である。

イ 盲・ろう・養護学校の専門的機能の活用、特別支援センターの設置など

都立盲・ろう・養護学校の専門的機能の活用、区市町村立盲・ろう・養護学校との連携・支援、将来的には、身近な地域で特別支援教育を実施していくということを考えると、区市町村立の養護学校という形態もさらに増える可能性があるのではないか。

次に、都立盲・ろう・養護学校への通級、さらには特別支援教育の理解啓発、情報提供、相談機能の充実が必要である。教員の研修・研究の支援などを担う特別支援センターの設置が区市町村への連携・支援のためには重要である。

4 小・中学校における特別支援学級・教室のモデルについて

これは、一つのエリアの小学校の例である。第一小学校から第六小学校までの6校のモデルである。すべての学校に、6%ほど在籍する特別な支援を要する児童・生徒のための特別支援教室を設けている。第三小学校の「特別支援学級」には、第一小学校から第六小学校までの中に在籍する知的障害のある児童・生徒が、ここに通学して指導を受ける。従来の固定学級の考え方である。特別支援教室は、すべての学校にあるがこのモデル案では、第一小学校を巡回指導の拠点校として、専門性の高い教師の配置をする。

教員Aは第一小、第五小、第六小を担当し、異なる曜日に巡回して指導を行う。教員Bは、第二小、第三小、第四小を担当する。ここで、第四小を例にする。単学級の学校で児童数183名のうち通級指導学級に通級している児童は1名。通常の学級にいる特別な支援を要する児童を6.3%とすると、約12名、計13名が特別な支援を要する児童ということになる。この学校には教員Bが木曜日に巡回指導を行い、1校時から6校時までの中で、一対一の個別指導やグループ指導など木曜日に集中して指導を受ける。巡回指導の担当教員のみでなく、区市町村で、専門の指導ができる専門家を採用し、巡回指導に充てることも考えられる。例えば、臨床心理士など。

「校内支援体制」により、LDやADHD等の児童に対し、研修を積んだ校内の教員が、交代で特別支援教室において指導を行うことも考えられる。

第二小学校では、水曜日には弱視や難聴の子供への支援として、弱視の子は盲学校へ、難聴の子はろう学校に通級して指導を受ける。逆に、盲・ろう学校の教諭が巡回指導に行く場合もある。特別支援教室で指導を受ける児童でも、巡回指導では十分ではない、自分の学校では指導を受けたくない、小集団指導が必要などの場合を勘案し、第一小学校の金曜日に第一小学校の子も含めて、集団による指導(現通級指導学級形態)を受けるなどのパターンを例示した。

◎ 小・中学校心身障害学級設置校長(小学校1名、中学校1名)からの意見聴取

(1)心身障害学級設置小学校長からの意見要旨
  • ○LD・ADHD・高機能自閉症を含めて、新たな教育体制を構築していくことには賛成である。新たな制度の中で、このような児童のニーズに応じた指導が可能となることは大きな展望を開くことになる。
  • ○心身障害学級については、身近な地域に学級がなく、遠くの学校に通学せざるを得ないなどの課題も発生している。今後は、もっと身近な地域の中で必要な支援が受けられる制度設計が必要と考える。
  • ○児童・生徒にとって質の高い教育的サービスを提供するためには、担当教員の資質の向上を図ることが欠かせない。担当教員に特殊教育の専門免許状の取得を義務付けることも、重要であろうが、子供一人一人をよく見て、必要な支援が考えられるような基本的な資質能力を有する教員の養成が必要である。
  • ○地域において医療や福祉の関係機関と連携し必要に応じて、医師やPT、OT、STや臨床心理士等からの支援が受けられるような体制をつくることである。
  • ○心身障害学級等の実情は各地域によって様々である。したがって、各区市町村の実情や、各学校に在籍する児童・生徒の実態に応じた工夫や、弾力的な運用が可能となるような制度とすることが望ましいと考える。
  • ○小・中学校においては、今後、早急に校内における特別支援教育の体制整備を図っていく必要がある。特別支援教育コーディネータの指名や校内委員会等の設置などについて可能なところから、順次整備していく必要がある。また、コーディネータについては系統的な養成を行う必要がある。
(2) 心身障害学級設置中学校長からの意見要旨
  • ○生徒数が減じる中でこのように情緒障害学級のニーズが高まるということは、通級指導学級の生徒の中に特別な支援を必要とする生徒が増えているということを示している。
  • ○現在情緒障害学級が設置されている学校は設置されている区市町村においても1校から2校であり、生徒にとっては通学するのに不便をきたしている状況がある。
  • ○障害に対しての専門性をもった人が、直接あるいはその生徒の担任等への指導や援助が必要である。
  • ○特別支援教室を各学校に設け、専門性をもつ者による巡回指導と生徒を拠点校へ通級させる方法は有効であると考える。
  • ○専門性を有する教員について、情緒障害学級の教員もLD等への専門性の高い指導については不十分なところがある。研修の機会をさらに増やすとともに、特殊教育の専門免許状の取得を義務付けるなどの施策が必要である。
  • ○LD等の指導については、在籍している通常の学級の担任だけでなく校内指導体制の整備のために、校長・教頭・主幹などに対しても特別支援教育を必要とする児童・生徒の理解や指導法を学ぶ研修の機会を設ける必要がある。
  • ○学校経営上いかに特別支援教育を支えていくかの校内体制づくりが重要である。
  • ○特別支援教育の推進は、現在、心身障害学級を設置していない学校を含め全小・中学校で必要である。しかし、現在の状況は心身障害学級が設置されていない学校におけるLD等の理解が進んでいるとはいえない。
<審議における意見・提言等> (○:委員の発言  △:事務局)
  • ○ 特別支援学級・教室のモデルについて具体的に聞きたい。全ての学校に置くのか?
  • △ 特別支援学級は、従来の拠点校の方法である。特別支援教室は、全ての学校に設置し、自校の中での通級ができるようにするという考え方である。いくつかの学校にいる子供を1つの学校に集めるのでなく、その子供が在籍する学校の中で指導を受けられるようにする。ただし、子供によっては、小集団による指導が必要な場合もあり、ニーズに応じて拠点校に集まることもある。
  • ○ 人的措置は?
  • △ 現在の通級指導学級の教師が、区市町村内の小・中学校を巡回し、個別指導することもある。
  • ○ 図の第二小学校のLD・ADHD・高機能自閉症等の児童を集めた教室を、各学校で設置し、その教室を特別支援教室と呼ぶのか。
  • △ モデルの第二小学校の例は、ほとんどの曜日と時間は、通常の学級で学習し、(月)や(火)に巡回指導の教師がくるので、その曜日に個別の指導を受ける。子供たちは、(月)、(火)の中の指定された時間に個別の指導を受ける。1日中集めて指導するのではない。
  • ○ この図はわかりやすい。一つのモデルになるのは、町田市の弱視学級の例である。すでに行われているが、弱視学級の教員がタクシーなどを利用しながら、弱視の子供がいるすべての学校を巡回して指導する。大田区や世田谷区の弱視学級でも巡回指導を行っている。通常の学級にいるLD・ADHD・高機能自閉症等の児童にも、そのようなサービスをすることが必要だろうし、各学校に教室があるのはよい。ニーズの少ない弱視等は巡回指導や盲学校等の指導を受けることもできるだろう。
  • ○ 巡回指導の拠点校について伺う。従来の通級指導学級が、いわば巡回指導の拠点校かと思うが、障害別に弱視、難聴、LD・ADHD・高機能自閉症等とつくるのか、それとも全部を一括しての拠点校とするのか。また、すべての小・中学校に特別支援教室を設置する、とこの改善検討委員会で言い切るのが妥当か。
  • △ これはあくまでモデル案である。その自治体の実態や判断による。自治体の状況、障害のニーズに応じて設置してもらうもので強制ではない。国でも作っていこうとする方向でもある。この改善検討委員会の中では、都のこれまでの経過や地域の状況等があるので、東京都方式として新たに提案していきたい。
  • ○ 第三小学校のモデルは、今までは、知的障害の児童だけの指導を行っていたが、週に1回位の指導が必要なLD児等も指導する形。第二小学校の例では、弱視や難聴の児童を盲・ろう学校へ通級させるか、盲・ろう学校の先生が指導にやってくるかの形である。全ての学校に特別支援のための場を設け、そこには、従前からある学級にいる先生が中心となって指導する。全体にサービスを行き渡らせようという基本的な構想である。
  • ○ 一つの学校にいろいろな形態があってよいと思う。籍を学級に固定する児童もいれば、通常の学級に在籍して週に何時間か個別の指導を受ける児童もいる。教員の配置については、指導を必要とする児童の人数とその指導時数により、校内のニーズに合せて考える。学籍にこだわると固定か巡回指導かで分かれてしまう。一つの学校でいろいろなニーズに対応できるようにするとよい。
  • ○ 検討の視点(1)で区市町村の改善の方向で、特別支援教室を小・中学校に設置していこうという考えが示されたが、現在の通級指導学級と概念的には同じものであり、一人一人の子供のニーズに応じて充実していこうというものですばらしいことである。現在の全国の実態から、自校通級と他校通級があるが、比率でいうと圧倒的に多いのが他校通級である。特別な指導を受ける場合でも、当然、教科の授業も他の子供と同じように受けたいと思っている。東京都では、できるだけ自校通級を増やす方向で考えたい。巡回指導を含め、一人一人のニーズに応える充実した仕組みができる。
  • ○ 中学校に情緒障害の生徒がたくさんいるという。中学卒業後、都立の盲・ろう・養護学校に進むのか、あるいは、通級指導や巡回指導で十分な指導を受け、本人の発達もあって普通高校に進学するのか、障害の種類と程度によって指導の状況を見極めていかなくてはならない。適正就学と関わってくるが、子供にとって効率のよい指導時間、学んだことが身に入る手立てをきちんと押さえていくことが必要である。
  • ○ 現場で行っている協力体制として、ろう学校と難聴学級設置校とで研修会や情報交換会を長年継続している。通常の学級に在籍していて、ろう学校で教育したほうがよいという児童については、ろう学校への通級を広げている。
  • ○ この検討案では、今までと比べて、一人の子供の適正な教育の場が広がっていく。そういう意味で賛成である。特別支援教室の自校通級で問題となるのは、巡回指導拠点校の教員の資質である。免許の有無だけではなく、人間性や児童理解力などがキーポイントになる。力のある教員をどう養成していくか、区市町村はどれだけ豊かな先生を早急に確保できるかが課題になる。
  • ○ 検討案は、子供の側からみると分かりやすい。つまり、どの子もまず自分の学校で指導を受けるということで、特別支援学級がなくても巡回指導が受けられる場がある。場合によっては、近くに拠点校があり、そこに行くことができる。また、盲・ろう・養護学校との連携で、専門性のある教育を通級して受けたり、先生が通ってきて指導してくれる。問題点は、その児童がどの時間に、どのような教育を受けたらよいかをコーディネートする人、これは免許にも人間性にもかかわるのだが、このような教育に対応できる教員がどう育ってくるかである。
     もう一つ、ADHD児が特別な指導を受けたいのだが、その学校には知的障害の固定学級しかない場合は自分の学校で教育を受けることができない。固定学級や通級指導学級など、固い分け方は日本の特色で、諸外国では、学籍にこだわらず、状態に応じて指導を受ける時間を決めている。行政の中でサービスの仕方として整っていくとよい。
  • ○ 病弱学級も大切である。病弱学級の場合は、病院の中に院内学級があり、入院中の児童・生徒を支援している。今後とも継続して行われなくてはならない。
  • ○ 肢体不自由についても特別支援教育が受けられるようにお願いしたい。盲・ろう・養護学校を選ぶ子、地域の身近な学校に通級したいという子もいる。どの子のニーズにも合うようにお願いしたい。
  • △ 肢体不自由の学級は、児童数の減少で減ってきている。肢体不自由養護学校は学区域が広く、スクールバスの乗車も長時間となる。各区市の中に通級できる場が設置されると地域の中で適切な教育が受けられる。各地域のニーズにより設置を考えていく必要がある。
     教員の人事の面で、都立学校の教員が心身障害学級に異動したいという人もいるが小・中学校が過員のために出られない現状がある。人事交流を促進したい。
     通常の学級に在籍する知的障害やLDやADHD等の子にどのようにサポートしていけばよいか、適正就学を考えていかなくてはならないが、難しいところである。
  • ○ 保護者のニーズは地元の小・中学校にあるのだが、バリアフリーの面であきらめたという話をよく聞く。適正就学ではこの点も含めて、身近な地元で教育を受けられるようにしたい。専門性の追求だけでなく、なぜ地域なのかも考えていきたい。
  • ○ この計画を実現させるのは教員の専門性ではないかと思う。今、心身障害学級は専門性が低下していることが課題となっている。教員の養成は間に合うのか。
  • ○ 固定性の特別支援学級と通級の特別支援教室のあり方について、中間まとめの中では誤解がある。特別支援教室は固定性をなくすということではない。固定性の学級に、例えばもう一人校内から通級してきても、それを認めるというのが新しい特別支援教室である。固定性で在籍のある児童がいるのだから、それ以外の児童は入れないというのではない。現在でも校長の裁量や保護者の要望で、固定性の学級でも、一部の児童を受け入れているところもある。今回の案は、特別支援教室の中で多くの時間を過ごす児童もいれば、ごく少ない時間を過ごす児童もいる。その児童の障害がいくつか重なっていれば、巡回指導や通級指導などが考えられる。
     専門性のことでは、都道府県などの特別支援センターに専門の先生がいて、それぞれの障害に応じて各区市町村に派遣されていくことがよいのではないか。
     別の会議で審議が進められていることに免許状の総合化がある。従来は、盲学校教諭免許状・ろう学校教諭免許状・養護学校教諭免許状であった。それをはずして、資格を得れば複数の障害を担当できるようになるであろう。
     もう一つ、現在、区市町村立の養護学校はあまりない。小・中学校は区市町村立で、高等学校は都立でと考えていくのがよいのではないか。財政負担等の面で課題があり、どうするか考えなければならない。
     盲・ろう・養護学校と心身障害学級との連携では、すべての先生が相互に教育を知っていないと支援はできない。
  • ○ 障害の総合免許については、大学レベルですべての障害について専門性のある教育を行っていかなくてはならない。コーディネータについては、障害児教育にキャリアのある優秀な先生がいる。管理職の方々も研修をして身に付ける必要がある。日本では馴染みが薄いので研修が大事である。
  • ○ 区市町村への支援ということで、高等部については、施設面から考えても東京都で進めて欲しい。
  • ○ 盲・ろう・養護学校の専門性を生かし、地域の学校が障害者を受け入れる環境となることはよいことである。学校は、授業を受けるだけでなくグループ活動、クラブ活動など周囲とのかかわりも大切な勉強である。聴覚障害者はなかなか交流ができない。普通学校に通う聴覚障害者は周りに理解のある人の協力が必要だ。指導だけを充実してもうまくいかない。そう考えると、(2)の視点に校内委員会の設置・特別支援教育のコーディネータの指名は、学校で生徒の理解啓発がすすむような体制の足がかりとなる。また、学校内のバリアフリーを強く進めることも必要である。
  • ○ モデル案は、実現可能となるよう推し進めていかなくてはならない。三つの懸念がある。
    • 拠点校ができて専門性の高い教育が行われるためには、かなり専門性の高い教員が配置されなければならない。早い時期に確保できるのか。
    • 学校は、動きが遅い。もっと迅速に動き、質の高い教育を行う必要がある。
    • このようなシステムに学校が慣れるのには時間がかかるのではないか。教員は、外から入ってくる人と良い関係をつくるのに時間がかかる。教員自身が柔軟性をもって対応していく心構えが必要である。
       これらのためには、早めにモデル校を作って私たちに見せて欲しい。
  • ○ これまでの改革は、部分的な改善であった。今回はチャレンジで根底から変えていくものであると考える。12月に障害者基本法がでて、教育のあり方も大きく変わっていく。地方分権が同時に進んでいる。上からのしばりでなく、子供の視点から柔軟にできる時代になったことに期待している。
  • ○ LD、ADHD児も高校に進学していく。障害のあるすべての高校生に対する支援も考えて行く必要がある。特別支援学級と特別支援教室をクロスさせると、すべての障害のある子に支援ができる。また、地域格差への配慮が必要である。人口何人に対して学級をいくつ設置する、というような一定の基準を設けて、都がモニターしていくことが大切である。
  • ○ 障害のある児童・生徒が通う学級が設置されていない学校では理解されにくいという状況がある。身近なところに学校があることは賛成だが、いかに各自治体が理解を示してくれるかである。教育の現場はチャレンジしないことが多い。バリアフリーも必要である。今まで心身障害学級のなかった学校にいかに支援ができるか、横の連携も必要である。
  • ○ 今日は、この制度の実現に向けてという点で意見がまとまったのではないか。検討の視点(2)特別支援学級、特別支援教室という考え方はユニークである。名前は紛らわしいので分かりやすくなるよう考えていきたい。それぞれの区市町村でやりやすいようにやればどうかという意見があるが、今は固定性の学級が多い。通級指導学級が何種類もあって集中してしまうことがあるが、これからは、もっと分散していくことも考える。そうなると、専門性のある教師の配置や施設・設備面で、現在と同じか上回るものができるかどうか。人数の点では、少なすぎると指導しにくい。保護者の意見でも、ある程度の人数がいると勢いがあってよいという。通学時間にしても自分の家の前に学校があったら子供を通わせるであろうか。近いからよいというものでもない。心身障害学級が集約すると困る、分散すると教員も児童・生徒も集まらないということでは、本来考えてきたことが実現できなくなることもある。
  • ○ LDやADHD、高機能自閉症というのは、以前は全く相手にされなかった障害である。これが昨年、全国の調査がでた。数字を示すということは、行政がそれに対応するということである。LD児が4.5%,ADHD児等が2.9%、それに知的に遅れている子が2~3%いる。今までは、障害児教育といってきたのは、わずか1%だった。それが10%となった。教育の考え方がかわってきた。障害の軽い子供にまで目が向けられるようになればもっとニーズが必要な子供に対しても、もっと専門性が求められることになる。私たちは、歴史の流れを変えていきたい。

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