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第7回 東京都心身障害教育改善検討委員会(議事要旨)

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最終更新日:平成30年(2018)2月28日

1、日時

平成15年3月25日(火曜日)14時~18時

2、会場

都庁第二庁舎31階27特別会議室

3、出席者 (順不同・敬称略)

上野委員長、大南副委員長、吉澤委員、山内委員、米谷委員、濱崎委員、冬木委員、坂田委員、齋藤(尚)委員、近藤委員、佐島委員、津田委員、杉原委員、石橋委員、野村委員、大館委員、比留間委員、臼井委員、石川委員、時任委員、

4、議事内容

(1)開会

(2)事務局より配付資料の確認

(3)第6回東京都心身障害教育改善検討委員会要旨報告

(4)議事

1 専門性の向上について

(1)事務局の資料説明(資料5・6・7に基づき説明)
  • ○ 障害の重度・重複化、多様化への対応や小・中学校における特別な支援を要する子供への教育的対応を進めていくためには、学校の専門性と教員の専門性をより一層向上させていくことが重要である。このためには、学校が主体的・継続的に専門性の維持・向上のための組織的な取組みを進めていくとともに、教員自身が日常的に専門性を磨いていくための取組みを行っていくことが重要である。
  • ○ 心身障害教育に携わる教員に求められる資質・専門性とは、教員一般としての資質・能力として、教育愛や熱意・使命感に基づく基本的・人間的資質、子供の指導に直接かかわる実践的資質及び学級・学年経営など経営能力などがあげられる。これに加えて、心身障害教育に対する基本的な理解、障害を改善・克服するための指導方法、障害種別ごとの基礎的、実践的、専門的な知識・技術や重度・重複障害教育に必要な基礎的、実践的、専門的知識・技術などが必須のものとして考えられる。
     さらに、これからは、障害の重度・重複化への対応や社会参加と自立に向けた指導力、早期からの適切な教育相談への対応等々の心身障害教育の今日的課題を適切に解決できる力や特別支援教育の推進に向けたLD等に関する理解・知識・技術などに加えて、校内・地域・保護者・専門家・関係機関との総合的な連絡・調整などを適切に行うコーディネーターとしての資質・専門性も求められる。
  • ○ 検討の視点の1は都立盲・ろう・養護学校の専門的教育の充実のための方向であるが、第一に、学校としての組織的専門性を高めていくために、外部の専門家や専門機関、大学や企業等との連携を図っていく必要がある。
     また、指導方法・指導技術や教材・教具の開発などについて、研究重点校を指定し、例えば重複障害教育や自閉症児への専門的指導等の研究・開発を推進し、これをモデルとして全校にその成果や実践を普及させていくことなどの取組みが考えられる。
  • ○ 教員の専門性を重視する観点から、引き続き特殊教育教諭免許状を持つ教員の確保に、より一層努める必要がある。このため、例えば、大学との連携による推薦制度の導入などについて検討を進めることも必要だと考える。
     また、採用段階で免許状を保有していない者については、採用後の一定期間内に認定講習等により、必要な免許状の取得を推進していく必要がある。さらに、現任教員についても、認定講習の枠の拡大を図ることにより免許状取得を推進していくことも求められる。
  • ○ 現在でも養護学校においては、OT、PT、STなどの専門資格を取得している教員がいるが、今後は、こうした専門資格の取得を目指している教員への支援制度の検討も必要である。さらに、学校の専門性を高め、それを維持し、向上させるための人材確保とその力を充分に発揮できるような教員人事配置、異動・交流等のあり方について検討し、異動要綱の見直しも含め、改善を進めていくことが必要ではないかと考える。
  • ○ 検討の視点の2はエリアネットワークを活用した、盲・ろう・養護学校と小・中学校のパートナーシップに基づく、相互の専門性向上のための連携と支援のあり方である。各エリアにおいて盲・ろう・養護学校と小・中学校が連携して、合同研究・研修を推進したり、日常的に巡回指導・相談や教育情報の提供・交換を進めていくことが有効と考えられる。
  • ○ 検討の視点の3は専門性の高い人材の育成に向けた都と区市町村の連携と支援のあり方である。都は、所管する人事制度や教職員研修センター等の事業を通じて、各区市町村において主導性を発揮できる専門性の高い人材を育成し、このリーダーが地域の小・中学校においてコアとなって、全体の専門性の向上を図っていくという考え方である。具体的な方策としては、都立盲・ろう・養護学校と心身障害学級間の人事交流の推進や相互の派遣研修などが有効と考えられる。
  • ○ 区市町村立小・中学校の心身障害学級担任教員や通常の学級の担任教員の専門性の向上を図るためには、設置者である区市町村教育委員会の的確な指導・助言が重要である。このため、都教育委員会と区市町村教育委員会がそれぞれの役割に基づき、その指導の中核を担う区市町村教育委員会の担当指導主事に心身障害教育経験者を配置するとともに、未経験者に対しては心身障害教育に関する専門的な研修の充実を図ることなどにより、人材を育成し、適切に配置していく必要がある。
  • ○ 検討の視点4は、小・中学校の設置者としての区市町村が、これからの重要な課題であるLD等の特別な支援を要する子供への教育体制の整備と専門性の向上のために果たすべき役割と方向についてである。ここでは、特別支援教育にかかる専門性の向上を図るための方策について検討する必要がある。このためには、都と区市町村の役割に基づき、リーダーとなるコーディネーターを養成するとともに、そのリーダーや担当指導主事がキーパーソンとなって、研修・研究を推進していくことが必要である。
  • ○ また、区市町村が設置者として、小・中学校の校長や教員に対する研修を充実するとともに、心理・発達等の専門家の導入や連携を図り、巡回相談などを進めていくことも有効であると考える。さらに、こうした区市町村立小・中学校や盲・ろう・養護学校における取組みを支援していく全都的なセンターとして、相談・研修・研究・教育情報提供などの機能を備えた特別支援教育センターの設置についても検討していく必要がある。
(2)委員の主な意見・提言
  • ○ 資料6の3では、平成14年度の盲・ろう・養護学校教諭は総採用175名だが、そのうち免許保有者は89名で、その差は一般教員からの採用である。免許を持っていても採用されない実態がある。採用試験で免許所有者を第一に出来ないか。あるいは、免許(障害種)別の採用は出来ないか。
  • ○ 勉強してきた人がなぜ通らないのか、養成の段階でそのことを考えて欲しい。免許状を保有しているからといってそのまま採用されては現場が困る。
  • ○ 免許保有者の中で採用されている人の95%は養護学校免許だと思う。盲学校教員の免許状は養成機関が限られているので保有者が少ない。ろう学校の場合もそれに近い状況であると思う。盲、ろうの枠が2つでも3つでもあればいいと思う。
  • ○ 特別支援センターが設置されると力になる。
  • ○ 民間活力の導入に関して、教材制作アドバイザー等は非常に力になっている。
  • ○ OT、PT資格取得だが、4年間通って取った人もいるが、実習への参加が厳しい。それらへの対策が望まれる。
  • ○ 専門性というが、資格にとらわれずに内部で人材を見つけていくことが大切ではないか。
  • ○ 先生方の資質を発掘するシステムが必要ではないか。
  • ○ 分業的に専門家が入るのがいいのか、先生方が専門性を身に付けるのがいいのか?
  • ○ 国の総合免許のあり方の検討状況について
    • 現在、中央教育審議会の教員免許状部会のワーキンググループが検討している。
    • 今年の5月にまとめる予定で、二種、一種、専修免許という考えもあるようだ。
    • 複数の障害に対する指導が出来る免許が必要ではないか。
    • 現職の先生はまず二種をとり、その後一種へというような方法が考えられる。
  • ○ 現在、学生の就職状況は、一般の学生は40~50%、障害教育の学生の場合30% 台を少し下回る。しかし、一般免許をもつ学生が特別専攻科で1年間積み上げると80%位が採用される。
  • ○ 専門性には、一つに資格もあるが、教員の専門性は種別によって違う。
  • ○ 高い専門性のある人を配属させて、専門性のない人には研修を行い専門性を高める。
  • ○ 病弱教育の専門性を考えたとき、病気、医療との連携を強めることをもっと入れて欲しい。
  • ○ 外へ行くことも大切だが、毎日の授業の中での研修が大切。
  • ○ ろう学校では、1学年に一人しか教員がいないという状況があり、学校の規模の問題があることから新規採用教員の研修が難しい。
  • ○ 種別でも専門性が異なる。介護の必要なところでは介護的、看護師的専門家が必要なのではないか。
  • ○ 現場ですぐ役立つ研修をして欲しい。現場で勉強しながらというのでは、その間どうしてくれる、というのが親の気持ちである。是非、研修センターでやって欲しい。
  • ○ 私もセンターで講師をしたことがある。一方的に話を聞きせいぜい2~3時間だった。実際に役立つ研修というのは、実習しかない。そういう研修の場が東京都にはないので、夏休みに1カ月程度研修が出来る実習の場、モデル校、指定校が欲しい。
  • ○ 東京、神奈川以外のセンターから講師依頼を受けたが、全て授業研修だった。
  • ○ 研修には、集めて話を聞くものもあるが、LDの一ヶ月研修では実習が入った。LD学会の認定資格の取得には高度な実習が必修単位になっている。
  • ○ 大学、大学院等における再教育も研修である。
  • ○ 盲・ろう・養護学校でLD等への支援ができるのか。いくつかの区市ではLDへの対応が出来るが、専門家のいる学校では人事異動などでも簡単にはできないのではないか。心 身障害学級、盲・ろう・養護学校では待遇の差がある。心障から盲・ろう・養護学校への異動は多いが、その逆はほとんどない。
  • ○ 国のレベルでのディスカッションとここでのディスカッションとでは温度差がある。エリアネットワークのところは弱いと思う。

2 特別支援プロジェクトについて

(1)事務局の資料説明(資料3・4に基づき説明)
  • ○ 東京都では、保健・福祉・教育等の部局ごとに、障害のある子供やその家族に対する様々な支援事業が実施されている。しかし、各部局間において情報を共有することが難しく、連携・協力が十分に図れていないのが現状である。
     こうした現状を踏まえ、都教育委員会においては、障害のある子供やその家族に対する支援体制のあり方を明らかにすべく、「障害のある子供たちが、乳幼児期から学校卒業後まで、継続的かつ密接な地域との関係を保ちながら、地域社会の一員として主体的に生きていくことができるよう、効果的な相談支援体制を構築し、適時・適切な支援を行う」ことを基本理念に、本プロジェクトを実施していきたいと考えている。
  • ○ 「特別支援プロジェクト」とは、就学前の療育機関等における「個別の療育プログラム」や、学校における「個別指導計画」、社会生活への円滑な移行を目指した「個別移行支援計画」など、既存のプログラムを有効に活用しながら不足している部分を補い、これらプログラムの総体の枠組みを「個別の支援計画」として整備することで、関係機関の共通理解と連携強化を図り、障害のある子供とその家族への相談支援体制のあり方を明らかにしようとするものである。
  • ○ 教育・保健・福祉の連携による就学前から学校卒業期までの連続性のある支援の体制を整備することで、保護者が子供や家族のライフステージに見通しがもてるようになり、関係機関が互いの役割を確認しながらより効果的にその機能を発揮できるようになると考える。また、早期からの相談体制が整備されることにより、一人一人のお子さんにとって適切な教育環境を整備・提供するための情報交換も可能になるなどの効果が期待できる。
  • ○ 検討の視点1:関係部局との連携
    • 具体的な支援を実施する「プロジェクトチーム」は、各区市町村が組織する。このプロジェクトチームは、部局を越えた構成員が情報を共有化し、一人一人のお子さんやその家族に対し、いつ・どこで・誰が・何を・どのように行うかといった実際の支援の内容や方法を調整する役割を担うチームである。
    • このプロジェクトチームが実働するためには、各区市町村内において部局を越えた「連絡調整会議」のようなものを設置する必要がある。「連絡調整会議」は、例えば、保健・福祉・教育の担当課長レベルによる構成とし、各自治体の実状に応じた計画の立案やプロジェクトチームの編成、管下関係施設等への通知、課題調整等をその機能とする。
    • さらに、区市町村における「連絡調整会議」や「プロジェクトチーム」の業務が円滑に推進されるよう、都において「局間連絡会議」を設置する。この「局間連絡会議」では、「特別支援プロジェクト」を実施することの理念やガイドラインを提示し、各部局から各自治体の関係部課に対して通知等を行う機能を担う。
    • 都教育委員会としては、関係部局との連携に基づいた「特別支援プロジェクト推進事業」(仮称)を実施し、その研究の成果を区市町村に還元するなど、プロジェクトの実効性を高めるための事業を推進していく。また、都立盲・ろう・養護学校の教育相談機能を充実させ、地域の教育相談センターとしての機能を発揮できるよう、専門性の高い相談担当教員の育成等を行い、区市町村におけるプロジェクトの実施を支援していく。
  • ○ 検討の視点2:情報の共有と保護・管理
    • 引継ぎの際に重要な役割を果たすものが、「就学支援計画」とそれに基づいて行う「ケース会議」である。「就学支援計画」には、障害の様子や療育指導の成果、これまで受けてきた支援サービスや、今後必要と思われる支援内容などを盛り込み、関係機関の担当者が「ケース会議」において確実に引き継いでいく。
    • 部局を越えて情報を伝達・共有するので、子供や保護者の立場に立った情報の保護・管理が大切になる。これについては、本プロジェクトの目的や効果を十分に説明した上で、「就学支援計画」の作成や情報の引継ぎについて、保護者の同意を得てから始める必要があると考える。
  • ○ 検討の視点3:学齢期における支援の将来像
    • 本プロジェクトが、乳幼児期から学齢期へ、そして自立に向けた移行支援の段階へと「個別の支援計画」がその機能を発揮するためには、ライフステージの各段階において作成される計画が、常にファミリーサポートの支援を備えたものである必要がある。
    • そのためには、都立盲・ろう・養護学校に在籍する児童・生徒やその保護者が、「地域とのつながり」を実感できるような制度を整えていく必要がある。例えば、都立盲・ろう・養護学校に就学する児童・生徒について、各区市町村における就学相談の段階で「地域指定校」を指定し、その学校を「副籍校」として位置づけることで、都立盲・ろう・養護学校に通学するお子さんの情報を、そのお子さんが居住する地域の小・中学校と共有し、行事や長期休業中の活動への誘いをしたり、日常の学習活動への参加、交流を深めるなど、地域とのつながりを維持・強化するための工夫が必要であると考える。
(2)委員の主な意見・提言
  • ○ 特別支援プロジェクトの考え方はすばらしいが、区市町村は腰が重い。例えば、バリアフリーにしても規則が出来てから2年過ぎているのに出来ているのは荒川区のみである。
  • ○ 地域全体で盛り上げていくのが大変で、市町村も学校も腰が重い。
  • ○ 教育委員会が先頭に立って、教育に限らず福祉、関係機関の内部の理解啓発が必要である。腰が重いという点については、予算が絡むと難しい。
  • ○ うちは小さい町なのでかなり連携はできると思う。資料5、視点の4について今活用できているのはスクールカウンセラーで、小学校まで面倒をみてもらっている。
  • ○ 研修、専門性とも関係が深いが、練馬区では就学前の特別支援プロジェクトがある。区内には区立保育園が59園あるが、統合保育を行っているので、各園に3人ぐらいの障害児がいる。保育士が保護者から進路について聞かれても答えられないことから、区内の学校で二日間ほど、午前は教室で体験、午後は校長・教頭の講義を聞くということを行った。今後回数なども課題であるが、就学前についてはできていると思う。
  • ○ 資料3の視点3「地域とのつながりの実感」について、病弱教育の方ではできているが、医療行為についてはできていない。
  • ○ この特別支援プロジェクトは画期的だ。地域密着型としては是非実現して欲しい。
  • ○ 視点2は、知的はもう少しで、視点3は学年間の連携さえ出来ていないのできちんとした柱が必要である。
  • ○ 日々の記録やカルテのようなものは学校としてシステム化されているものではない。送った情報が担任まで届かないことがよくある。地域連絡協議会のようなものを作って年何回か話し合う機会、情報公開が必要である。
  • ○ 日々の記録は学校によってやっているところといないところがある。
  • ○ システムが学校には無いか、無いに等しい。
  • ○ 卒業してからカルテが必要な時もあると考えられる。
  • ○ 大事な話がいくつか出ている。もしそうなら、「盲・ろう・養護学校はきちんと引き継ぎなさい」と言わねばならない。外から見てそうだとすると、現状が十分ではないということである。
  • ○ 東京都は特別支援学級、固定学級を分ける方向である。そうすると、特別支援学級の子供が地域との連携から漏れることになる。
  • ○ パートナーシップは小・中にも必要である。
  • ○ 「個別の指導計画」は、文部科学省では「個別の支援計画」であり、いろいろな文言は整理が必要であろう。 資料3の特別支援教育センターがカギになるか。
  • ○ つながりを考えたとき、各学校、地域で地域資源マップを作ることも大切である。
  • ○ 地域交流、交流教育の拡充となっているが、自分の住んでいる地域での交流が大切。
  • ○ カルテの問題は、個別指導計画により以前よりは進んでいるが、教員の異動などキーパーソンが決まっておらず、就学前、就学後、卒業後とつながっていない。教育のみでなく、福祉、医療等との連携が必要ではないか。
  • ○ つながらないのは指導計画ではない。
  • ○ 個別指導計画を学校に、というが保護者にも配っている学校もある。
  • ○ 教育、福祉、医療がつながらないところでいろいろな問題が出てきていると思う。庁舎の中でもつながっていない。このところを地域も含めてつなげていくことが大切であろう。

3 中間まとめに向けた総括的審議

(1)事務局の資料説明 (資料8・9・10に基づき説明)
  • ○ これまで十分に議論を深めることが出来なかった事項、あるいは事項として必要であるが議論のなかったものなど、もう少し協議を深める必要がある事項について、総括的審議をいただきたい。
  • ○ 指針について
    「専門性の向上」に関して、新たに次の指針を加える。
    指針の内容として、

    児童・生徒等の教育ニーズに応じた専門的指導を充実するために、学校の専門性の向上を図る。

    を事務局(案)として記載した。この例示としては、 個別指導計画に基づく専門的指導の充実、専門性の高い教員の確保と育成、研修・研究の充実、専門家・専門機関等との連携・協力、特別支援教育体制の整備などが考えられる。
  • ○ エリア・ネットワーク構想について
    • エリアの規模に関しては、中心となるセンター校からの時間(機動性)、パートナーシップや特別支援プロジェクトから、地域との絆を実感できる(地域性)、医療・福祉等の専門機関と連携ができる(機能性)、そしてエリアにはどの種別にも対応できる(総合性)などの条件が必要である。
    • 肢体不自由養護学校(知・肢併置校を含む。)をセンター校とし、センター校の配置を検討する上では、肢体不自由と知的障害等の併置により、エリアを分割することで、通学区域の縮小化を図り、肢体不自由養護学校の重度化に対応した通学負担の軽減を図ることが必要と考える。
    • センター校は、乳幼児期から卒業後までの支援機能や盲・ろう・養護学校のセンター的機能の核となる特別支援地域センター機能が期待されるので、既存の福祉施設や医療機関等の関係機関の設置状況などの区市町村の実情も視野に入れて、学校配置を検討することも必要になる。また、センター校は、都民や保護者、小・中学校等の教員からの相談や研修等の要請に応じて、盲・ろう・養護学校や心身障害学級及び専門家の派遣や継続的な巡回指導のコーディネートを行うなど、地域の心身障害教育の中核的機関としての機能を担う。
    • パートナーシップの機能については、まずは、エリア・ネットワーク内の盲・ろう・養護学校と小・中学校が相互に協力・協働して支援体制を構築することが必要である。特に、知的障害養護学校は、エリア内の小・中学校の心身障害学級等とパートナーシップを構築することで、より柔軟で迅速な対応を目指し、多様なニーズに応えることが必要である。
  • ○ 都立盲・ろう・養護学校の適正規模・配置について
    • 都立盲・ろう・養護学校においては、盲・ろう学校の在籍者数の減少と知的障害養護学校の在籍者の増加が進行している。このため、今後の都立盲・ろう・養護学校全体の在籍者数等の推移を踏まえて、学校の再編を含む適切な学校規模・学級規模を確保するための方策などを早急に検討していくことが必要である。
    • エリア・ネットワークの機能の推進とともに、教育活動の活性化と児童・生徒の社会性、協調性を育成するための適切な学習集団の確保や、地域における対象児童・生徒の数や障害等の状況、教職員の数など、円滑な学校運営のための適切な規模等の視点から、総合的に検討することが必要である。
    • また、 盲・ろう・養護学校の適正配置の基本的な方向としては、まず肢体不自由養護学校がエリアにおけるセンター校としての役割を担うとともに、通学負担の軽減を図るため、スクールバスの乗車時間60分以内を標準として、学校の配置を考えていく必要がある。
    • 知的障害養護学校は、在籍児童・生徒の通学負担の軽減と適正な学校規模の考え方を総合的に勘案して、通学区域の見直しを行い、配置の適正化を進めていく必要がある。特に、知的障害養護学校の高等部単独校は、通学区域を弾力化することが望ましいことから、対象生徒の状況や地域との連携・協力、地域バランスとともにエリア・ネットワーク構想の趣旨などを踏まえ、適正な学校の配置を検討することが必要である。
  • ○ 通学負担の軽減による寄宿舎の見直しについて
    • これまでの盲・ろう・養護学校の適正配置やスクールバスの整備等の推進により、現在、通学困難を理由に入舎している児童・生徒は、減少状況にある。さらに、今後、盲・ろう・養護学校全体の再編整備によって学区域が縮小されることなどを踏まえると、今後、通学困難等を理由とする児童・生徒数に応じた寄宿舎の配置のあり方を検討する必要がある。
  • ○ 通学区域の弾力化と学校選択について
    • 知的障害養護学校の高等部のあり方については、特色ある学校づくりを推進するとともに通学区域の弾力化を図ることにより、学校選択が可能となるような方向も視野に入れていく必要がある。中学校の心身障害学級や通常の学級から、一人通学が可能な多数の進学者があり、進路等の教育ニーズも多様化していることから、生徒や保護者の学校選択のニーズも高まってきている。
    • このため、比較的障害が軽い生徒を対象とした高等部単独校を増やし、各学校の職業教育などの特色化を進め、通学区域の見直しや弾力化を図ることにより、生徒や保護者の学校選択が可能となるような方向について検討を進めていく必要がある。
  • ○ 学校経営計画の導入について
    • 昨年10月に策定された都立高校改革推進計画・新たな実施計画の中で、都民に信頼される学校経営の確立を改革の基本的な方向の一つとして掲げた。盲・ろう・養護学校においては、経営改善を進めるに当たって、障害の重度・重複化、多様化に応じた教育内容・方法の充実、教育環境の整備、福祉・医療・労働等の関係諸機関との連携の強化などに関する学校経営の観点が重要である。
    • 都教育委員会の学校への支援として、都立学校全体としての経営支援のための取組みの中で、盲・ろう・養護学校に対して、校長裁量枠予算の仕組みの導入や人事異動をはじめとした人事面での支援などを行うとともに、校長との連携を強化していく必要がある。
  • ○ 特別支援教育センターについて
    • 特別な支援を要する子供への教育的対応について、特別支援教育センターを設置して、エリア・ネットワークの実効性を高め、研修・相談・教育情報の提供などについて、盲・ろう・養護学校や区市町村を支援することが必要である。具体的には、教育内容・方法の充実や教育相談、就学・入学相談の充実、心身障害教育に関する理解啓発や情報提供などが求められている。
(2)委員の主な意見・提言
  • ○ 指針について、「学校の専門性」と「教員の専門性」両方の記述が必要ではないか。
  • ○ エリア(地域)でよいのか、児童生徒の居住地域ではないのか。
  • ○ 学校規模について、小・中・高等部3つの設置が良いのか、小・中学部と高等部を分離した方が良いのかなど考える必要がある。また、都立高校への養護学校の分校とか、小・中学校への分校化も考えてはどうか。
  • ○ 適正規模と通学距離は生徒の切磋琢磨の面からすると矛盾する。何か工夫できないか。
  • ○ 地域性や専門性を考慮して適正規模を考えること。また将来的な見通しを立てながら検討する必要がある。
  • ○ 地域の人口等も考慮し、学校の適正規模をもっと柔軟に考えてはどうか。
  • ○ 特別支援学級・教室等の用語使用だが、大本の見出しが「心身障害教育」で良いのだろうか。LD等の指導も含めた「特別支援教育」は幅が広い。また、通常の学級の児童生徒の状態に応じた指導とあるが、LD等以外にも広めることが出来るのかどうか。
  • ○ 寄宿舎について、福祉局のこともあるが、教育的な見地から検討をお願いしたい。
  • ○ 特別支援教育センターの機能については、専門家及び都のコーディネーターの配置、区市町村への派遣等を検討する必要がある。
  • ○ コーディネーターは学校で授業を行うのか。どういう立場なのか。特別支援教育センターではなく、福祉、医療等も含めた特別支援センターはどうなのか。
  • ○ 特別支援教育センターは、各県にあるような教育センターと考えているが、東京はちょっと弱いような気がする。人口比に対するセンター設置が必要である。
  • ○ 「心身障害教育」の名称は変えた方が良い。
  • ○ 学校経営計画の導入はいろいろな面で大事なことで、それによって学校は保護者に選ばれることになる。教員の専門性の面からも教員の待遇を考える必要もある。専門性の高い教員が管理職にならないで、意欲を持ち、情熱を注いでいる。
  • ○ 幅広い意見があって良かった。今後は都独自で進めて良いものと国の流れに沿って進めるものと2つある。例えば、「特別支援教育」の用語をどういう形で使っていくのか。
  • ○ 「心身障害教育」も昭和47年から使い、それなりの歴史があった。専門性についてはチームワークで高めていくことも必要である。それをどのようにするか。
  • ○ 都の目指す教師像はどの学校種でも同じである。人間性が専門性を高める基礎になるのに、それを忘れている。
  • ○ 国は21世紀の教育の質を変えようとしている。国の流れ、目指している方向に都は遅れているのではないか。「心身障害教育」の用語使用もその一つである。少なくとも副題を付ける必要がある。また、資料の図の中に新しさがない。特別支援学校、特別支援教室、特別支援学級などの文言が後退している。盲・ろう・養護学校をそのまま機能させていくと誤解されてしまう。これらを含め、検討の課題としたい。

4 検討委員会日程の追加変更について <事務局より>

△資料12・13を参照 了解される。

お問い合わせ

教育庁都立学校教育部特別支援教育課特別支援教育企画担当
電話:03-5320-6753 ファクシミリ:03-5388-1728
メール:S9000012(at)section.metro.tokyo.jp
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